【テレアポ④】「間に合ってます」はチャンス?テレアポ定番の断り文句を切り返す

「うちは間に合ってますので」

「価格が高いんですよね?」

「今、忙しいんで」

これらは、テレアポの現場で営業担当者の心をへし折る言葉と言っても過言ではないでしょう。

この一言を告げられた瞬間に、頭の中は真っ白。用意してきたスクリプトはどこかへ消え去り、「申し訳ございません、失礼しました…」と、力なく電話を切ってしまう。あなたの会社でも、そんな光景が毎日繰り返されてはいないでしょうか。

しかし、もし、その絶望的な「壁」にしか見えない断り文句が、実はアポイントへの「扉」だとしたら、どうでしょう?

この記事は、テレアポで誰もが遭遇する「定番の断り文句」を、単なる拒絶と捉えるのではなく、むしろ「対話のきっかけ」であり、相手の状況を知るためのチャンスと捉え直すための、具体的な思考法と対処法について解説します。

この記事を最後まで読めば、なぜお客様がその言葉を口にするのか、その裏にある本音が見えるようになります。

そして、どんな断り文句を言われても動じることなく、会話の主導権を握り、最終的に受注と売上に繋がるアポイントを獲得するための、実践的な武器が手に入ります。

目次

なぜ、あなたの会社の営業は“反論”してしまうのか?

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テレアポがうまくいかない営業担当者ほど、お客様の断り文句に対して、真正面から「反論」してしまいます

「他社でやっています」と言われれば、「いえ、弊社のほうがもっと優れています!」と張り合い 、「価格が高い」と言われれば、「そんなことはありません!」と食い気味に否定する。

これは、議論で相手を打ち負かせば、アポイントが取れると勘違いしているからです。

しかし、考えてもみてください。突然電話をかけてきた見知らぬ相手に、自分の選択を否定されて、愉快に思う人がいるでしょうか?いませんよね。

相手は「この営業は、私の話を全く聞く気がないな」と感じ、ますます心を固く閉ざしてしまうだけです 。

お客様が営業電話を断る本当の理由は、突き詰めれば「メリットを感じない」か「面倒くさい」かのどちらかしかありません。断り文句は、その本音を隠すための、当たり障りのない“言い訳”に過ぎないのです。

だからこそ、その言葉の表面的な意味に反論しても意味がありません。私たちがすべきは、その言葉をきっかけに、「面倒くさい」という気持ちを上回る「会うことのメリット」を提示することなのです。

【ケース別】断り文句をチャンスに変える切り返し術

では、具体的にどのように対処すれば良いのでしょうか。代表的なお断り文句を例に、「やってはいけないNG対応」と「アポに繋がるOK対応」を比較しながら見ていきましょう。

ケース1:「他社と付き合いがあるので、大丈夫です」

最も多い断り文句ですが、これも最大のチャンスです。

  • NG対応 ❌ 「そうですか。ただ、弊社のサービスは〇〇という点で、他社様より優れておりますので…」
    →なぜダメか?:相手の現在の取引先と、それを選んだ意思決定を、真っ向から否定しているからです 。相手からすれば「ケンカを売られている」ようにしか感じません。
  • OK対応 👍 「ご状況をお聞かせいただき、ありがとうございます。さすがですね!やはり既に取り組んでいらっしゃるのですね」と、まずは相手の選択を承認し、褒めます。その上で、「ちなみに、そちらのサービスはご状況いかがですか?」と、相手の現状に興味を示し、質問をします
    これにより、相手は「この人は売り込むだけでなく、自分の話を聞こうとしてくれている」と感じます。そこから「今すぐ切り替えてほしいというわけではなく、今後の比較検討のために」と、会うことのハードルを下げて提案するのです 。

ケース2:「今、忙しいので…」

これも「とりあえず断る」ための常套句です。

  • NG対応 ❌ 「失礼しました」とすぐに引き下がるか、「いえ、ほんの1分で結構ですので!」と相手の状況を無視して食い下がる。
    →なぜダメか?:相手の「忙しい」という気持ちに全く寄り添えておらず、ただの「空気が読めない営業」だと思われてしまいます 。
  • OK対応 👍 「お忙しいところ大変失礼いたしました。そうですよね、〇〇様がお忙しいことは重々承知しておりました」と、まずは相手の状況に最大限の共感を示します
    そして、「ただ、そのお忙しい〇〇様のお時間をいただく以上の、価値あるご提案ができると確信しておりまして」と、「忙しいとわかった上で、それでも会ってほしい」というこちらの熱意を伝えます。感情的な断りには、こちらも感情で返すのが基本です。

ケース3:「価格が高いので、うちは無理です」

まだ何も説明していないのに、会社のイメージだけでこう言われることも多々あります。

  • NG対応 ❌ 「いえいえ!決してそんなことはございません!」と、全力で否定する 。
    →なぜダメか?:相手の「高い」という“印象”を否定しても、何の解決にもなりません 。相手は「またこの話か」とウンザリするだけです。
  • OK対応 👍 「ご意見ありがとうございます。実際に、もう少し安くならないかというお声もいただくことはございます」と、まず相手の意見を一度、事実として受け止めます
    その上で、「ただ、私たちがご提供する価値を考えれば、決して高くはないとご納得いただける自信がございます。価格が高いか安いかは、その費用から何が得られるかで決まりますので」と、議論の土俵を「価格」から「価値(コストパフォーマンス)」へと移します

ケース4:「今は特に考えていないので…」

これも真に受けてはいけません。考えていないのは当たり前です。

  • NG対応 ❌ 「そうですか…」と諦める。
    →なぜダメか?:相手の言葉を鵜呑みにし、自ら対話の可能性を閉ざしてしまっています。
  • OK対応 👍 「それはそうですよね。突然のお電話で『ちょうど考えてました』とはならないこと、重々承知しております」と、相手の状況を完全に受け入れます
    そして、「ですので、今日ご決断いただきたいわけではございません。まずは今後のために、私の顔と名前だけでも覚えていただきたく、一度ご挨拶にお伺いできませんでしょうか」と、決断のハードルを「買う」から「会う」へと、極限まで下げます

【上級者向け】受付を思考停止させる「謎の会議」テクニック

受付は、いわば会社の第一防衛ラインです。彼女たち、彼らは「怪しい営業電話を社長に繋がない」というミッションを帯びています。

ここに正直に「新規営業の件で…」と伝えても、マニュアル通りに処理されるのがオチです。

そこで、この防衛ラインを無力化し、思考停止させるテクニックがあります。それは「取引先のような顔で、意味不明なことを言う」作戦です 。

  • NG対応 ❌ 「〇〇株式会社の野村と申します。新規のご提案でお電話いたしました」
    →なぜダメか?:「新規」「提案」という言葉で、相手に「これは断るべき営業電話だ」と瞬時に判断させてしまうからです。
  • OK対応 👍 「(少し馴れ馴れしいトーンで)あ、どうも、野村です。『しあいさつ』の件でお電話したんですけど、社長、いらっしゃいますか?」
    →なぜ良いか?:ポイントは2つです。
    一つは「社長とマブダチですよ」という雰囲気を醸し出すこと。
    もう一つは「しあいさつ」という、何となくすごそうだが、全く意味のわからない言葉をぶつけることです 。受付の人は、意味がわからないため「これは営業だ」と判断できず、「私が知らない重要な会議かもしれないから、社長に繋いでおこう」と、思考停止に陥りやすくなるのです 。これは「納豆会議の件で」でも「ブランドニューワールドの件で」も、意味不明であればあるほど効果的です 。

【上級者向け】大声からの「ヒソヒソ話」で社長のアポをねじ込む

この「謎の会議」テクニックで、運良く社長に繋がったとします。しかし、本当の戦いはここからです。受付から「何かよくわからない人から電話です」と取り次がれた社長は、当然、警戒心MAXの状態で電話に出てきます

ここからは、180度キャラを変え、アポイントを「ねじ込む」フェーズに入ります。

  • NG対応 ❌ (社長)「はい、もしもし?」 (営業)「あ、お世話になっております。私、〇〇株式会社の…」
    →なぜダメか?:相手のペースに合わせてしまうと、「何の用だ」「興味ない」の一言で終わってしまいます。
  • OK対応 👍
    ステップ1:【大声で気迫のゴリ押し】
    (社長)「はい、もしも…」(営業)「(食い気味に、フロア中に響き渡る大声で)大変申し訳ございません!野村と申します!一度ご挨拶でお伺いさせて頂きたく、今週、社長のお時間よろしい時、いつでございますでしょうか!?
    →なぜ良いか?:相手が何かを考える隙を与えず、こちらの気迫と熱量で圧倒します 。突然の大声と勢いに、相手は驚き、思わずペースを乱されます。

    ステップ2:【ヒソヒソ話で期待感を煽る】
    もし、これで社長が「いや、もういいよ、興味ないから」と抵抗してきたら、最後の手段です。 「(急にトーンを落とし、内緒話をするように)…社長、分かってます。社長の貴重なお時間を奪おうとしていることは、重々分かっております。ただ、お時間頂ければ、それに値するお話を必ずします。それを分かった上で、会ってくださいとお願いしております
    →なぜ良いか?:大声からの急なトーンダウンが、相手に「何か特別な話なのか?」という興味を抱かせます 。そして、絶対に商品の話はしないこと。「それはお会いした時にお話しします」と貫くことで、「会わなければ聞けない情報」という価値が生まれ、アポイントに繋がるのです 。

根底にあるのは「共感」と「理由の提示」

これらの対処法に共通しているのは、

「①まず相手の言葉を否定せず、共感・承認する」
「②その上で、相手が会うべき理由を、相手の言葉を使いながら提示する」

という2つのステップです。

テレアポとは、相手の警戒心を解き、会うための「理由」をプレゼントする仕事です。

心理学でも証明されている通り、人は「理由のある依頼」を断りにくい生き物なのです 。あなたの提案は、お客様があなたに会うための、立派な「理由」になっていますか?

次に「他社でやってる」と言われたら、こう聞いてみてください

百の理論より、一の実践です。 次に電話をかけて「他社さんとお付き合いがあるので」と言われたら、落ち込む前に、笑顔でこう聞いてみてください。

「さすがですね!ちなみに、そちらのサービスは上手くいっていらっしゃるのですか?」

この一言が、一方的な売り込みを、双方向の「対話」へと変えるきっかけになります。相手は驚き、そして少しだけ、あなたに興味を持ってくれるはずです。

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「お断り」を“科学”し、強い営業組織を創る

お断りは、営業担当者個人の感覚やセンスで乗り越えるものではありません。組織としてデータを蓄積し、対処法を「型」として共有することで、誰もが安定して成果を出せるようになります。

  • どんな断り文句にも動じない、科学的な営業手法を組織に導入したい…
  • 営業担当者の精神的な負担を減らし、離職率を下げ、生産性を向上させたい…
  • テレアポを、単なる根性論から、再現性のある戦略的活動へと進化させたい…

もし、あなたが経営者として本気でそうお考えなら、ぜひ一度ご相談ください。

トレテクでは、今回ご紹介したような人間心理に基づいた実践的なトークスクリプトの作成から、現場で使えるようになるまでのロールプレイング、そして成果を最大化するための仕組み作りまで、一気通貫でサポートいたします。

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お断りの言葉が、恐怖から喜びに変わる。そんな営業の新しい世界を、あなたと、あなたの会社のメンバーと共創できる日を、心から楽しみにしています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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トレテク代表 久保埜 実(くぼの みのる)
セールスパーソン戦力化コンサルタント
【著者プロフィール】

医療系企業の営業職として従事しながら、“セールスパーソン戦力化コンサルタント”として、東京都八王子市と日野市を中心に事業を展開。
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特に、商談やプレゼンテーションという交渉の改善に重点を置く。

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