お客様の購入意欲を高めるには? 「それ、いいね!」のツボを押す3ステップ

「うちの製品の性能は、どこにも負けないはずなんだが…」

「あれだけメリットを伝えたのに、なぜお客様には響かないんだろう…」

経営者や営業マネジャーであるあなたは、自社の営業担当者からそんな嘆きを聞いたことはありませんか? 商品力には絶対の自信がある。他社との違いも明確に説明できる。

しかし、なぜかお客様の反応は薄く、一向に契約に繋がらない。売上が伸び悩む多くの会社が、この根深いジレンマに陥っています。

この記事は、そんな「良いものなのに売れない」という謎の答えを探し求める、すべてのビジネスパーソンのために書きました。

安心してください。この記事を読み終える頃には、あなたの会社の営業がなぜお客様の心を掴めないのか、その「致命的なツボの外し方」が白日の下に晒されます。

そして、お客様が思わず「それ、買いたい!」と前のめりになる、驚くほどシンプルで、かつ強力なコミュニケーションの秘訣が手に入ります。

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目次

良かれと思ってやっている、致命的なプレゼンの間違い

商談ルームの、少し乾いた空気。あなたの会社の営業担当者は、自信に満ちた表情で語り始めます。

「弊社の新ツールを導入すれば、AIが御社の文書作成業務を効率化し、作業時間を実に8割も削減できるんです!」

素晴らしい提案です。数字もインパクトがある。しかし、お客様の表情は「へぇ」「なるほど」と、どこか他人事。焦った営業担当者は、さらに言葉を続けます。「しかも、競合のA社製品と比べてコストは2割安く、サポート体制も万全でして…」。

話せば話すほど、自分の声だけが空虚に響き渡り、お客様の心のシャッターがガラガラと閉まっていくのを感じる…。

これこそ、多くの営業組織が陥っている「独りよがりプレゼン」です。

営業担当者は、自社製品の「魅力」や「メリット」を語ることこそが仕事だと信じて疑いません。しかし、それは大きな勘違いです。お客様が聞きたいのは、あなたの会社の製品がいかに素晴らしいか、という自慢話ではないのです。

お客様の頭の中は、常に自社のことでいっぱいです。「うちの会社で言うと、どの業務が楽になるんだろう?」「稟議書には、なんて書けば上司は納得するだろうか?」「現場のあの人たちは、本当に使ってくれるだろうか?」…。

この、お客様の頭の中にある「固有の言葉」や「固有の文脈」を完全に無視して、こちら側の言葉でメリットをいくら連呼しても、それはただの騒音でしかありません。

お客様が本当に「買いたい」と感じるのは、そのサービスが、自分たちの世界で、自分たちの言葉で、どのような価値をもたらしてくれるのかを、ありありとイメージできた瞬間だけなのです。

購買意欲のツボを押す、たった3つのステップ

では、どうすればお客様の心を鷲掴みにし、購買意欲に火をつけることができるのでしょうか。答えは、営業の役割を「説明者」から「翻訳家」へとシフトさせることにあります。そのための具体的な3つのステップを見ていきましょう。

ステップ①:あなたの言葉を捨てよ。お客様の「固有の文脈」で語り直せ

営業が語るべきは自社のメリットではなく、お客様がそのメリットを「自社の言葉で」どう享受できるか、です。

例えば、「AIで8割削減」という一般論は、お客様の社内稟議で使われる言葉にはなりません。「毎週月曜の定例会議の議事録作成時間が、3時間から30分になる」という固有の言葉に翻訳されて初めて、買う理由に変わるのです。

売れない営業ほど、「弊社は〇〇ができます」という主語で話します。一方、売れる営業は、「御社の〇〇という業務が、このようになります」と、常にお客様を主語にして話します。

先ほどの「AIで文書作成時間を8割削減」という提案も、お客様の言葉に翻訳するだけで、全く違う響きを持ち始めます。

「先ほど、毎月の請求書発行に手間がかかっていると伺いました。もしこのツールを使えば、その作業はボタン一つで完了し、経理の〇〇さんが月末に2日間も残業している現状を、ゼロにできるかもしれません」

どうでしょうか。こう言われれば、お客様は「他人事」ではなく「自分事」として、その価値をリアルに感じることができます。これが「お客様の言葉で語る」ということです。

営業は、自社のパンフレットに書かれた言葉を暗唱するオウムであってはなりません。お客様一人ひとりの状況に合わせて言葉を紡ぎ出す、「翻訳家」でなければならないのです。

次の商談で、自社製品のメリットを一つ言うたびに、「もしこれを御社で使うとしたら、どの業務に当てはまりそうでしょうか?/この業務がどれだけ効率的になるでしょうか」などと問いかけてみましょう。

ステップ②:「なぜ今?」の深掘りを怠るな。顧客の“必然性”にこそ宝がある

お客様の言葉で語るためには、まず、そのお客様が置かれている「文脈」を深く理解する必要があります。その最大のヒントが、「なぜ、今、この商談に時間を使っているのか?」という理由です。

多くの営業は、この極めて重要なポイントを、驚くほどあっさりと聞き流してしまいます。 「なぜ本日お時間を?」 「いやぁ、最近社長がDXだ、DXだとうるさくてね」 「左様でございますか!それでしたら弊社にお任せください!」

…これでは、あまりに浅い。経営者であるあなたなら、この会話の薄っぺらさがお分かりになるはずです。

なぜ、世の中でDXが叫ばれてから何年も経つのに、“最近になって”社長は言い始めたのか? 以前から言っていたが、最近になってそのトーンが変わってきたのか?

そこには、会社の業績、ライバルの動向、あるいは社長個人の危機感など、極めて重要な「背景」が隠されているはずです。

その「必然性」(社長の鶴の一声、競合の動き、業界の変化など)こそが、お客様の購買意欲の源泉であり、社内を動かすための最も強力な大義名分になるからです。

この背景を深掘りすることで、提案の精度は劇的に高まります。「社長が抱える“あの危機感”を払拭するためには、この機能が必要です」と語れば、それは単なる機能説明ではなく、お客様の必然性に寄り添った、唯一無二のソリューションになるのです。

「社長がDX推進を…」ときっかけを話されたら、「差し支えなければ、なぜ“今”、社長はそのようにおっしゃっているのでしょうか?」と、一歩踏み込んで背景を聞いてみましょう。

ステップ③:まどろっこしさを回避せよ。「もし仮に」で本気度を測れ

深掘りが重要だとは言え、お客様を質問攻めにしては、「早く本題に入ってくれよ」と思われてしまうリスクもあります。かといって、焦って商品説明に入っても空振りする。この絶妙なバランスを、どう取ればいいのでしょうか。

ここで絶大な威力を発揮するのが、「もし仮に」という魔法の言葉です。お客様の課題が明確になる前に商品説明をしても響きません。かといって、ヒアリングばかりでも相手を退屈させてしまう。このジレンマを解消するのが、「もし仮に」という仮説ベースの問いかけです。

お客様の課題の輪郭がある程度見えてきた段階で、こう問いかけるのです。

「なるほど、過去に導入したツールが現場で使われず、お困りなのですね。もし仮に、誰でも直感的に使えて、現場の皆さんが喜んで使ってくれるようなツールがあったとしたら。本格的な導入を開始できるのは、例えば年明けの1月からでしょうか? それとも、来年度の4月というイメージでしょうか?」

これは、お客様の「本気度」を測るための、極めて優れた診断ツールです。

もし、お客様がこの質問に対して、「そうですね、もし本当にそんなものがあるなら、年度内の1月にはスタートを切りたいですね」と具体的に答えてくれれば、あなたのヒアリングが「ツボ」を押せている証拠です。購買意欲は、確実に高まっています。

逆に、「うーん、どうでしょう。まだ他の会社の話も聞いてみないと何とも…」と、ぼんやりした答えが返ってきたら、それはまだ課題の核心を掴めていないサインです。

慌てて先に進むのではなく、もう一度ヒアリングに戻り、「過去のツールがダメだった、一番の理由は何だったのでしょうか?」あるいは「このまま今の状況が続くと、どんな問題が起こるとお考えですか?」といった質問で、課題の解像度をさらに上げていく必要があります。

この「もし仮に」という問いかけを挟むことで、営業は常に顧客との認識のズレを確認しながら、最適なタイミングで最適な提案を繰り出すことができるようになるのです。

繰り返しになりますが、「もし仮に、先ほどおっしゃっていた課題を完璧に解決できるとしたら、いつ頃から始められると理想的ですか?」と、未来のスケジュールについて聞いてみましょう。

読者の次のアクション:まずは「もし仮に…嬉しいですか?」と聞いてみる

「お客様の言葉で語る」という、新しい営業スタイル。その第一歩は、決して難しくありません。

次の商談で、何か一つ、お客様の課題を解決できそうな自社のサービスについて話した後に、こう付け加えてみてください。

「もし仮に、これが実現できるとしたら、〇〇様ご自身は、嬉しいですか?」

機能的なメリットではなく、相手の「感情」に問いかける、シンプルな質問です。この一言が、商談の空気を変え、お客様が心の奥底で本当に望んでいることを引き出す、強力なトリガーになるかもしれません。

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「売り込み」をやめ、「翻訳」を始める。それが成長への第一歩

あなたの会社の営業は、いつまで自社の都合や言葉を一方的に押し付ける「プロダクトアウト型の営業」を続けますか?

これからの時代に求められるのは、お客様一人ひとりの固有の文脈に深く寄り添い、自社の価値を相手の言葉に「翻訳」して届けられる営業です。それこそが、お客様から真に信頼され、安定的な売上と契約を生み出し続ける、唯一の方法に他なりません。

もし、

  • 「良いものなのに売れない」という根本的なジレンマを解決したい…
  • 営業担当者を「説明員」から「顧客のビジネスパートナー」へと進化させたい…
  • お客様から「ぜひ、あなたの会社から買いたい」と言われるような、強い営業組織を構築したい…

と、本気でお考えの経営者・営業マネージャーの方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度ご相談ください。

トレテクは、営業担当者一人ひとりのスキルアップはもちろんのこと、会社全体で「顧客の言葉で語る」文化を根付かせるための、組織変革をサポートします。

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あなたの会社が、独りよがりの熱弁を卒業し、お客様と心で通じ合える、真のパートナーへと生まれ変わる。そのお手伝いができる日を、心から楽しみにしています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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トレテク代表 久保埜 実(くぼの みのる)
セールスパーソン戦力化コンサルタント
【著者プロフィール】

医療系企業の営業職として従事しながら、“セールスパーソン戦力化コンサルタント”として、東京都八王子市と日野市を中心に事業を展開。
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多くのコンサルティング会社のような座学による知識の習得だけで終わらない、お客様の営業現場に即した独自の実践的なコンサルティングが強み。
特に、商談やプレゼンテーションという交渉の改善に重点を置く。

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