テレアポで『ガチャ切り・受付ブロック』を突破するための、3つの心構えと5大技術【前編】

「営業のお電話でしょうか? …申し訳ございません、通常おつなぎできません」
この冷たい一言で、あなたの会社の貴重な営業リソースと、担当者の心は折られていないでしょうか。テレアポは「辛いもの」「断られるもの」と諦めていては、未来の売上も受注も生まれません。
この記事は、そんな出口の見えないテレアポに悩む営業担当者、そして彼らを率いる経営者やマネジャーのために書きました。
この記事を読めば、「ガチャ切り」や「受付ブロック」を恐れない、自信と誠実さに基づいたテレアポの本質が分かります。テレアポが「嫌な作業」から「価値を届ける確信の行動」へと変わるはずです。
なぜ「受付ブロック」を抜け出せないか?
受付:「株式会社〇〇でございます」
営業:「お世話になっております、株式会社△△の田中と申します。採用のご担当者様をお願いいたします」
受付:「えーと…営業のお電話でしょうか?」
この瞬間、営業担当者の心臓は少しだけ速くなります。ここでどう答えるか。
「いえ、情報提供でして…」 「以前、〇〇様と名刺交換を…」(※していない)
多くの営業研修では、このように「営業」という言葉を隠すテクニックが教えられます。しかし、その嘘やごまかしは、電話口の相手に一瞬で見抜かれています。
「(どうせ営業だろ…)申し訳ございません。通常、営業のお電話はおつなぎできない決まりになっております」→ガチャ…
今日もまた、貴重なリストが一つ消費されました。担当者は「テレアポなんて、やっても無駄だ」とうなだれ、チームの士気は下がる一方。これでは、経営者が望む売上アップなど夢のまた夢です。
なぜ、あなたの会社の電話は、担当者に繋がる前に切られてしまうのでしょうか。それは、テクニック以前の「心構え」が間違っているからかもしれません。
テレアポを実践するにあたって憶えておきたい3つの心構え
テレアポには、本質となる「3つの心構え」があります。難しいテクニックではありません。今日からあなたの会社の営業チーム全員が実践できる、シンプルな心構えです。
1. 嘘をつかない。「営業です」と堂々と名乗る
- 結論:「営業電話ですか?」と聞かれたら、即座に「はい、営業です」と誠実に答えること。
- 理由:嘘やごまかしは、その瞬間に相手との信頼関係を破壊するから。「情報提供です」と言ったが最後、「それを営業と言うんですよ」と相手を不快にさせるだけです。
- 一歩目:次に「営業ですか?」と聞かれたら、「はい、営業のお電話です。ただ…」と堂々と答える練習をする。
「営業のお電話でしょうか?」と聞かれたら、一瞬の間もなくこう答えましょう。
「はい、営業のお電話させていただいております」
この誠実さが、まず相手の警戒心を少し解きます。続けて、「今回は〇〇の新しい取り組みのご提案でして、最終的には我々お役に立てると思って良いご提案ができればと思っているんですが、各社さんの事例や情報などもご紹介したくお電話しました」と。
「営業です」と認めた上で、「なぜ電話したのか(=あなたにメリットがある)」を伝える。この正直さが、結果として「少々お待ちください」と、次のステップに進む確率を上げるのです。
なぜ、多くの営業は「営業です」と堂々と言えないのでしょうか? それは、「この電話は、相手の役に立たないかもしれない」と、心のどこかで不安に思っているからです。つまり、相手のことを徹底的に調べ、「絶対に御社の役に立てる」という確信を持つための「準備」が不足しているのです。
準備不足のまま電話をかけるから、自信がなく、ごまかしたくなる。自信を持って「はい、御社のための営業です!」と言い切るためにも、事前準備こそが最強の武器となります。
2. 感謝を伝え、「電話に出てくれてありがとう」という前提で話をすすめる
- 結論:アポが取れるか以前に、電話に出てくれた事実そのものに心から感謝すること。
- 理由:多くの営業が「アポをくれる人が良い客」と無意識に思い込み、感謝を忘れているから。
- 一歩目:電話がつながった瞬間、「お忙しいところ、ありがとうございます」と本心で伝える。
テレアポは、こっちが営業したくて電話をかけています。多くの営業はこの大前提を忘れがちです。電話に出てくれただけでも感謝すべき相手です。
この「感謝の前提」を忘れるから、「ありがとう」の言葉が出なくなり、態度が横柄になります。「アポをくれない客=悪い客」とさえ思ってしまう。
しかし、考えてみてください。ほとんどの営業電話が感謝もそこそこに用件を話し始める中で、一本だけ「お忙しい中、本当にありがとうございます。貴重なお時間をいただき恐縮です」と丁寧な電話がかかってきたら、どう感じるでしょうか?
「なんか、すごく感じのいい電話だな」
そう思ってもらうだけで、他の9割の営業とは一線を画すことができます。感謝は、最強の差別化戦略なのです。
3. ちゃんとお願いし、「自信があるからこそ、会ってください」と伝える
- 結論: 自信のあるサービスだからこそ、電話で済ませず「直接会って、この価値を伝えさせてほしい」と熱意を持ってお願すること。
- 理由: 「テレアポ=売れてないサービス」という世の中の誤解を解き、本気度を伝えるため。
- 一歩目: なぜ電話したのか?の理由に「御社に必ずお役に立てると確信したので、直接お話しさせてください」という一言を加える。
電話口から「自信があるサービスなら、テレアポしなくても引き合いが来るのでは?」という、最も核心を突いた質問がされることもあります。多くの営業なら、ここで言葉に詰まるでしょう。しかし、
自信があるから電話をしないのではなく、自信があるからこそ、ネットや展示会では出会えなかった御社に、直接口説きに行かせてください、という思いで電話をしましょう。
この自信と熱意です。経営者の皆様、あなたの会社の営業担当者は、これだけの熱量を持って「うちのサービスは最高だ」と電話口で伝えられているでしょうか?
「どうせ断られる…」というマインドでかける100本と、「このサービスを伝えないのは、むしろ相手にとって損失だ」というマインドでかける10本では、どちらが受注に繋がるかは明白です。
⏰ 実践編:「あと5分で会議」をどう乗り越え、アポを掴むか?
心構えが整っても、現場では予期せぬ壁にぶつかります。なんとか受付を突破し、キーパーソン本人に繋がった瞬間の一言。
「あ、ごめんなさい。今ね、あと5分で会議行かなきゃいけないんですよ」
絶望的な状況です。あなたならどうしますか?
- A: 「では、改めてお電話します!」(→二度と繋がらない)
- B: 「5分で説明します!」(→早口でまくし立て、結局何も伝わらない)
ここで取るべき行動としては、
「本当ですか!失礼いたしました。ではすいません、5分だと移動もあるかと思いますので、”2分間だけ”お時間いただいて、我々のご紹介させていただけますでしょうか?」
相手の「5分」という言葉を鵜呑みにせず、会議室への「移動時間」まで配慮し、あえて「2分」とハードルを下げる。そして、ポケットからスマートフォンを取り出し、宣言します。
「ありがとうございます。あの、ストップウォッチつけましたので、2分だけご紹介させてください」
この行動が、相手に「この営業は、本当に時間を守る人だ」という強烈な信頼を植え付けます。
彼は2分間でサービス概要と「なぜ新卒採用をやっていない御社に電話したのか」の核心だけを伝え、そして2分が経つ直前に、こう切り出しました。
「すいません、あと10秒で2分になります。ぜひ新しいご提案をさせていただきたいので、来週月曜か火曜の10時で一度お時間いただけないでしょうか?」
相手は「いや、いきなり来てもらっても…」と戸惑いますが、ここで彼は「時間厳守」という信頼のカードを切っています。無理にアポを取ろうとせず、かといって引き下がりません。
相手が「また改めて」と言った瞬間、彼は畳み掛けます。
「分かりました!では改めてご連絡させていただきたいのですが、1点だけ。今お名前を伺いましたが、直通、もしくは一番繋がりやすいご連絡先を伺ってもよろしいでしょうか?」
これがゴールでした。彼は2分間で契約を取ろうとしたのではなく、「次も確実に繋がるホットライン」を獲得しに行ったのです。
その後は、キーパーソンの携帯電話番号を獲得。そして後日、約束通りにかけ直した2回目の電話で、じっくりと相手の課題(人員補強の悩みなど)を聞き出し、見事に60分の商談アポイント(受注に向けた第一歩)を獲得し…という流れが理想です。
まずは「時間を守る」という小さな勇気から
今回のコラム【前編】では、テレアポにおける「心構え」と「実践的な流れ」を見てきました。
いきなり全てを真似する必要はありません。もしあなたの会社の営業チームがテレアポに疲弊しているなら、まずはたった一つのことから始めてみませんか?
それは、「お客様との時間を、1秒たりとも無駄にしない」という覚悟を持つことです。
「2分だけ」と宣言し、ストップウォッチで測ったように、「5分だけ」と言われたら本当に5分で電話を切る勇気を持つこと。
この「時間を守る」という小さな誠実さの積み重ねが、「この営業は信頼できる」という大きな信頼に変わり、やがては大きな契約へと繋がっていきます。
営業チームの「テレアポが辛い」を「自信」に変えませんか?
- あなたの会社の営業担当者は、自信を持って「営業です」と言えているでしょうか?
- 「どうせ断られる」と、お客様への感謝を忘れていないでしょうか?
- 「あと5分」と言われた時に、相手の信頼を勝ち取る行動が取れているでしょうか?
もし、経営者として、自社の営業チームを「断られる恐怖」から解放し、お客様に価値を届ける「自信に満ちた集団」に変えたいと本気でお考えなら、そして、その結果として安定的な売上と受注を掴む「本質的な営業力」を育てたいなら、ぜひ一度ご相談ください。
トレテクでは、単なる小手先のテクニック研修ではなく、人間心理に基づいた「信頼されるコミュニケーション」をゼロから構築し、貴社の安定的な売上成長をサポートします。
まずは60分の無料オンライン相談で、貴社の営業チームが抱える課題を、ぜひお聞かせください。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
(次回、【後編】では、「資料送っといて」「早口で忙しい」といった、テレアポ特有の「お断り文句」への具体的な対処法を徹底解説します。)
