「検討します」…停滞した商談を動かすため、お客様の心理を捉える4ステップ

「非常にいい感触だったはずなのに、『いったん持ち帰り、検討します』と言われたきり、連絡が途絶えてしまった…」
「担当者の方はあんなに乗り気だったのに、なぜ…?」
営業の現場で、あと一歩で契約というところで、お客様の「検討します」という言葉によって、商談がピタリと止まってしまう。そんな経験に、頭を悩ませている経営者や営業マネジャーの方も多いのではないでしょうか。
この記事は、そんな「検討の停滞」という、売上達成の最大の壁に悩む方々のために書きました。
この記事を読めば、お客様の「検討します」の裏に隠された本当の停滞理由を見抜き、それを一つひとつ解決し、停滞した商談を再び動かし、確実な受注へと繋げるための、具体的な「裏側」攻略のステップが分かります。
お客様の「検討します」・・・営業の心が折れる瞬間
商談ルームは、和やかな雰囲気で進みました。あなたの会社のサービス説明に対し、目の前の担当者Aさんは何度も頷き、「これ、いいですね!」「まさに探していました」と、非常に前向きな反応を見せてくれています。あなたも「これは決まった!」と確かな手応えを感じていました。
しかし、商談の最後。クロージングに入ろうとした瞬間、Aさんの口から出たのは、あの言葉でした。
「ありがとうございます。非常に良い内容でしたので、いったん持ち帰り、社内で検討します。決裁者にも話を通してみますので、少しお時間をください」
その言葉を聞いてから、1週間、2週間…。
あれほど前向きだったAさんからの連絡はありません。「その後、いかがでしょうか?」とメールを送っても、「今、関係部署と調整中です」という短い返信があるだけ。次第に、返信の間隔も長くなっていきます。
「あの時の手応えは、一体何だったんだ…」
「決裁者に、一体どんな説明がされているんだろうか…」
時間だけが過ぎていき、気づけばその商談は「保留」という名の失注フォルダに入ってしまっている。これでは、会社の目標とする売上を達成することなど、夢のまた夢です。
このような「検討停滞」は、営業担当者のモチベーションを著しく低下させ、経営者にとっては、見込んでいた売上が消える、最も恐ろしい事態と言えるでしょう。
なぜ停滞する? その裏にある「壁」と、その攻略法
まず、大前提として、このコラムでお話しする内容は、お客様があなたの提案に対し「51%対49%」で、少なくとも「買いたい」という気持ちが少し上回っている状態を前提としています。全く買う気のないお客様を動かす話ではありません。
その上で、なぜ商談が停滞するのか。それは、お客様の会社の中に、営業担当者からは見えない「壁」が存在するからです。その壁を突破するための、4つの戦略的ステップをご紹介します。
解決策①:目の前の担当者の「買いたい」を6割から9割へ引き上げる
- 結論: 決裁者や他部署へのアプローチを焦る前に、まずは目の前の担当者の「購買意欲」を最大化させましょう。
- 理由: お客様の担当者も、面倒な社内調整や決裁者への説得には、大きな労力(パワー)を使いたくないからです。
- 一歩目: 「なぜ、このサービスを良いと思ったのですか?」と改めて問いかけ、導入後の成功イメージを一緒に具体化しましょう。
多くの場合、担当者の方が「いいですね」と言っている状態は、まだ「6対4」くらいで“買いたい”と思っている程度です。
この「6割」の熱量で、「決裁者を説得してください」とお願いしても、担当者の方はどうでしょうか? 忙しい決裁者の時間を確保し、反対されるかもしれないリスクを冒してまで、あなたのサービスを強く推薦してくれるでしょうか。
おそらく、難しいでしょう。人間は、自分が本当に「これは9割(もしくは10割)間違いない!」と確信しない限り、面倒な調整ごとのために全力で動くことはできません。
ですから、営業担当者が決裁者への説明を急かすのは逆効果です。まずやるべきは、目の前の担当者の方の「6割」の意欲を、「9割」まで引き上げること。「このサービスを導入すれば、自分の課題は解決し、会社は良くなる」と本気で信じてもらうことです。
そのためには、「どうですか、買いたいでしょう?」と押すのではなく、「そもそも、なぜ買いたいと思うようになったのですか?」と、お客様自身の言葉で、その理由を深掘りしてもらうことが極めて効果的なのです。
解決策②:担当者を「社内スパイ」にせず、「作戦会議」のパートナーにする
- 結論: お客様の社内関係者が複数いる場合、担当者一人に丸投げせず、「作戦会議」を開いて一緒に攻略手順を考えましょう。
- 理由: お客様の担当者自身が、どういう手順で社内の合意(ごうい)を取ればよいか分かっていないケースが非常に多いからです。
- 一歩目: 「この契約を進める上で、他にどなたの確認が必要ですか?」と問いかけ、関係者の全体像(地図)を一緒に整理しましょう。
担当者の方はOKでも、その裏に「決裁者」や「関係部署」が複数控えている。これは、法人営業で最も難しい場面の一つです。
ここで最悪なのは、担当者の方に「あとはよろしくお願いします」と丸投げしてしまうこと。
なぜなら、担当者の方も、どうやって複雑な関係者を説得し、合意(ごうい)を取っていけばいいか、その「青写真(あおじゃしん)」を描けていないことがほとんどだからです。
この時こそ、営業担当者の腕の見せ所です。「どう進めたらよいか、一緒に作戦会議をしませんか?」と提案するのです。
そして、
- 「関係者は、全部で何名いらっしゃいますか?」
- 「それぞれの部署(あるいは人)は、今、どのような認識をお持ちですか?」
- 「過去に、他のベンダー(業者)と接触された事実はありますか?」といった質問を通じて、まずは「関係者の全体像」という名の“地図”を、担当者の方と一緒に作成するのです。
彼らを孤独な「社内スパイ」にしてはいけません。あなたの受注のために一緒に戦ってくれる、「パートナー」として扱うことが重要なのです。
解決策③:『似たお財布』の承認プロセスを調べてもらう
- 結論: 社内の通し方が不明な場合、過去の「似た予算規模(おさいふ)」の案件がどう承認されたかを調べてもらいましょう。
- 理由: 「研修」の前例がなくても、「システム導入」など、似たカテゴリーや予算の承認プロセスは必ず社内に存在しているからです。
- 一歩目: 「ちなみに、以前導入された〇〇(別のサービス名)は、どのような流れで契約に至ったか、参考に教えていただけませんか?」と聞いてみましょう。
作戦会議を開いても、担当者の方が「うちの会社、こういうの(例:研修)をちゃんと導入した前例がなくて…どう進めたらいいか分からないんです」と止まってしまうことがあります。
ここで「そうですか…」と引き下がってはいけません。
例えば、あなたが「営業研修」を売っているとします。「研修」というカテゴリーで前例がなくても、「営業部門の予算」を使った別の買い物、つまり「似たお財布(おさいふ)」から出費した前例はあるはずです。
そこで、担当者の方にこうお願いするのです。
「研修としては前例がないかもしれませんが、例えば、今お使いの営業支援システム(SFAやCRM)は、どのような経緯で導入が決まったのでしょうか? 決裁者はどなたで、どんな議論があったのか、もしよろしければ調べていただくことは可能ですか?」
これは非常に強力な一手です。なぜなら、
- 「今から通す稟議(りんぎ)」という未来の話ではなく、「過去に存在した事実」なので、担当者の方も調べやすい。
- カテゴリーが似ていれば(この場合は「営業の強化」というお財布)、承認のプロセスや決裁者が誰だったのか、大いに参考になる。
このように、具体的な「過去の事実」を調べてもらうことで、止まっていた担当者の思考と行動を、再び前に進めることができるのです。
解決策④:放置しない!「価値ある理由」で定期接触を続ける
- 結論: 社内調整には時間がかかります。放置すれば必ず忘れられるため、価値ある情報提供を続け、優先順位を保ちましょう。
- 理由: 担当者の方は、あなたの案件以外にも、たくさんの日常業務を抱えており、忙しさに紛れて後回しになってしまうからです。
- 一歩目: 「進捗いかがですか?」と急かすのではなく、「御社の〇〇の課題解決に役立つ資料です」と、相手にメリットのある連絡を続けましょう。
さて、担当者の方が「分かりました、社内で情報収集してみます!」と動き出してくれたとします。これで一安心…ではありません。
担当者の方は、他にもたくさんの仕事を抱えています。少しでも忙しくなると、あなたの案件のための情報収集や社内調整は、あっという間に優先順位が下がってしまいます。
「気がついたら、他の忙しいことにかかりきりになっていた…」というのが、最も多い停滞の理由です。ですから、営業担当者は、担当者の方の優先順位が下がらないよう、定期的に接触し続ける必要があります。
ただし、「その後、いかがですか?」という「催促(さいそく)」の連絡は絶対にNGです。相手のストレスになるだけです。そうではなく、
「先日お話しされていた〇〇の課題について、参考になりそうな他社事例がありましたので、お送りします」
といった、相手にとって価値のある情報提供を理由に、接触を続けるのです。この小さな接点を持ち続けることが、担当者の方の熱量を冷まさせず、面倒な社内調整を乗り越えてもらうための、生命線となります。
まずは「停滞リスト」の1社に、価値あるメールを送ってみよう
「検討します」と言われた後の、新しいアプローチのヒントは掴めたでしょうか?大切なのは、これを読んで「なるほど」と納得するだけでなく、実際の現場で試してみることです。
とはいえ、いきなり全てを実践するのは難しいかもしれません。でしたら、まずは、たった一つの、しかし非常に重要なことから始めてみませんか。
今、あなたの会社の営業担当者が抱えている「検討します」と言われたまま、商談が停滞しているお客様のリストを1社、思い浮かべてください。
そして、その担当者の方に対して、「催促」ではない、「価値ある情報(例えば、役立つコラムや関連ニュース、簡単な事例紹介)」を添えたメールを1通、今日中に送ってみてください。
この、相手の優先順位を静かに引き上げる小さな行動こそが、止まっていた歯車を動かし、大きな契約に繋がる第一歩になるかもしれません。
どんなお客様の心理も考察できる、本物の営業チームとは
あなたの会社の営業担当者は、「いいですね!」と即決してくださるお客様だけでなく、「検討します」と停滞してしまったお客様の、その「会社の裏側」にまで入り込み、一緒に障害を取り除き、受注まで伴走することができているでしょうか?
- 相手の会社の「関係者の地図」を読み解き、
- 「似たお財布」の事例から攻略の糸口を見つけ、
- 担当者の熱量を切らさずに、ゴールまで導いていく。
それこそが、これからの時代に求められる、本質的な営業力であり、安定した売上を築くための鍵となります。
もし、
- 「『検討します』と言われた後の、具体的な次の一手が分からない…」
- 「担当者の熱意はあるが、いつも最後の詰め(社内攻略)で失注してしまう…」
- 「個人の感覚に頼る営業ではなく、組織として『停滞を突破する力』を身につけたい…」
と、本気でお考えの経営者、営業マネジャーの方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度ご相談ください。
トレテクでは、単なるセールストークの研修ではなく、お客様の「見えない壁」を突破し、契約へと導くための、戦略的な営業プロセス構築をサポートします。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
