私たちの会社にとって「営業」とは何か AI時代に生き残る「営業」を再定義しよう

「営業は、とにかく頭を下げてお願いする仕事だろう?」

「結局は気合と根性。足で稼ぐ体育会系の仕事だよね」

もし、あなたの会社で、未だにこんな言葉が交わされているとしたら。それは、会社の成長を阻害し、大切な社員を疲弊させている、極めて危険なサインかもしれません。

経営者やマネジャーから売上に関する相談の多くに共通しているのが、「営業」という仕事に対する、古く、そして根本的な「勘違い」です。

この記事は、「うちの営業は、なぜか疲弊している…」「目標を達成するために、無理な営業をさせてしまっているかもしれない…」と悩む、すべての経営者とマネジャーのために書きました。

この記事を読めば、多くの人が囚われている「営業」という言葉の呪いを解き、社員の疲弊を防ぎながら、AI時代においても安定的に売上を伸ばし、自然と契約や受注が舞い込む「本物の営業組織」を作るための、具体的な思考法がわかります。

目次

地獄の“お願い営業” ~ あなたの会社は、まだ消耗戦を続けますか?

今回のコラムの超要約資料を先に確認する

「とにかく商品を売り込んでこい!」 「目標達成のためなら、頭を下げてでも契約を取ってこい!」

かつての日本では、それが「営業」の常識だったかもしれません。しかし、時代は大きく変わりました。特にコロナ禍を経て、優秀な営業職の価値は急騰し、「20代で年収800万円出すから来てほしい」と高待遇で募集をかける企業も珍しくなくなりました。

にもかかわらず、多くの現場では、いまだに古い価値観が蔓延しています。

あるアンケート調査では、就職活動中の学生に「営業をやりたいか?」と尋ねたところ、「やりたくない」と答えた学生は、なんと88.3%にものぼりました。これは、多くの若者が「営業」に対して、「商品を無理に売り込む仕事」「十分な知識がなくてもできる、体育会系の仕事」といった、ネガティブなイメージを抱いていることの表れです。

そして、この勘違いは、若い世代に限りません。私と同世代である50代の経営者の方々の中にも、「営業とは執念だ」「泥臭さが重要なんだ」と信じている方は、決して少なくありません。

もちろん、執念や泥臭さが、仕事において無意味だとは言いません。しかし、「執念があるから、商品を売り込む」というのは、全く別の話です。

お客様にお願いし、頭を下げさえすれば商品が売れた時代は、とっくの昔に終わりました。むしろ、商品を売り込めば売り込むほど、お客様の心は離れていく。これは、現代のビジネスにおける「常識」です。

もし、あなたの会社が、こうした時代遅れの「お願い営業」や「売り込み営業」を推奨しているとしたら、それは「ブラック企業」と呼ばれても仕方がないでしょう。

優秀な人材は定着せず、残った社員も疲弊し、結果として売上は先細っていく。そんな負のスパイラルに陥ってしまうのです。

その「常識」、間違いです。AI時代に生き残る営業組織が持つ“3つの新常識”

では、これからの時代に求められる「営業」とは、一体何なのでしょうか。AIに仕事を奪われることなく、むしろテクノロジーを武器にして成果を出し続ける。そんな強い組織を作るために、今すぐインストールすべき「3つの新常識」をご紹介します。

新常識①:「お願い」ではなく「利益の支援」。営業の“定義”をアップデートする

そもそも「営業とは何か?」と問われた時、あなたは何と答えるでしょうか。私が営業コンサルタントとして活動してきた中でたどり着いた定義は、これです。

「営業とは、お客様の利益を支援し、その正当な対価をいただく仕事である」

ポイントは、「お客様」「利益」「正当な対価」の3つです。

まず「お客様」とは誰か。それは、「私たちが提供する価値を正しく評価し、正当な対価を支払ってくれる人」です。

例えば、高級輸入車ディーラーにとって、国産車しか買う気のない人は、厳密には「お客様」ではありません。その人の心変わりを促すことができなければ、追いかけるべきではないのです。

次に「利益」とは何か。それは、「お客様が本当に得たいと思っている結果」のことです。お客様が抱える問題を解決したり、要求を満たしたりすること。そして、その利益にはレベル感があります。そのレベル感を正確に捉えなければ、真の貢献はできません。

そして最も重要なのが「正当な対価」です。これは、提供する価値に見合った、適切な報酬のことです。目先のノルマ達成のために安易な値引きを繰り返せば、会社に残るはずの利益がこぼれ落ち、事業そのものが成り立たなくなります。しっかりと売上を確保し、利益を残すまでが営業の仕事なのです。

この3つが揃って、初めて営業は「Win-Win」の関係を築けます。お客様は課題を解決できてWin。会社は正当な対価を得て利益を確保しWin。そして、その成果を上げた営業担当者も評価されてWin。この「Win-Win-Win」のサイクルこそが、持続的な成長の源泉です。

「お願いして売る」「騙してでも売る」という発想は、お客様を不幸にし、会社を疲弊させる「Lose-Lose」の関係しか生みません。まず、この営業の定義を、組織の共通認識として持つことが、すべての始まりなのです。

新常識②:「売る」は活動の一部。「信頼関係の構築」こそが本業である

多くの人が「営業」と聞いてイメージするのは、お客様と対面し、商品を提案してクロージングする「商談」の場面ではないでしょうか。しかし、それは営業活動の全体像から見れば、ほんの一部分に過ぎません。

実は、人見知りで、うまく喋れない人であっても、圧倒的な結果を出す営業担当者は存在します。むしろ、そういう人の方が多いかもしれません。なぜなら、彼らは「商談」という一部分だけでなく、その前後のプロセスを非常に大切にしているからです。

本当に重要なのは、

  1. 見込み客の発見・獲得:自分たちの価値を正当に評価してくれる「未来のお客様」を、そもそもどうやって見つけるのか。
  2. 見込み客の育成: 発見した見込み客と定期的に接触し、有益な情報を提供しながら「お客様を育てる」ことで、信頼関係を構築する。

この2つのプロセスに、いかに力を注げるか。これが、現代の営業の肝です。

この「前の活動」をしっかり行っていれば、お客様は自然と「買いたい」という気持ちになります。「お願い」する必要などなく、むしろ「ぜひ、あなたの会社から買いたい」と言ってもらえる状態を作り出すことができるのです。

世界中に熱狂的なファンを持つApple社を考えてみてください。彼らはいちいち「買ってください」とお願いしなくても、新製品が出れば人々が列を作ります。これは、企業や製品に対して、揺るぎない「信頼」が構築されているからです。

もちろん、すべての会社がAppleになれるわけではありません。だからこそ、「営業」という“人”の力が重要になります。

会社のブランド力が盤石でなくても、一人の営業担当者がお客様と真摯に向き合い、信頼関係を築くことで、売上を安定させ、会社を成長させることができるのです。

新常識③:「法人営業」はスポーツと同じ。正しい知識とトレーニングが成果を決める

営業には様々な種類がありますが、大きく「個人向け(BtoC)」と「法人向け(BtoB)」に分けられます。そして、日本の就業者のうち、販売・営業職に従事する862万人(2017年時点)の多くは、この「法人営業」に携わっています。

この二つは、似ているようで全く異なる「競技」です。

住宅や保険といった個人向けの高額商品は、お客様個人の感情、つまり「この人から買いたい」という情緒的な部分が、契約の意思決定に大きく影響します。担当者の人間力や誠実さが、何よりもものを言う世界です。

一方、法人営業では、担当者がいくら熱心でも、それだけでは物は売れません。なぜなら、意思決定には課長、部長、そして経営者といった複数の人物が関わり、「なぜ、その商品が必要なのか?」「導入することで、会社にどんな利益があるのか?」という機能的・論理的な説明が求められるからです。

そこでは、うまく喋ることよりも、

  • お客様の課題を正確に理解し、
  • それに対する解決策を論理的に資料にまとめ、
  • 約束したことを、スピーディーかつ誠実に実行する

といった、コツコツとした真面目な活動が「信頼」に繋がります。この信頼こそが、安定的な受注を生み出すのです。

法人営業は、スポーツに似ています。生まれ持った才能だけで勝てる世界ではありません。正しい知識を学び、適切なトレーニングを積めば、誰でも必ず上達します。たとえ今は経験がなくても、30代からでも40代からでも、トッププレイヤーになることだって可能なのです。だからこそ、営業にはロマンがあります。

AIは営業の「敵」ではなく、最強の「武器」である

「AIが進化すれば、営業の仕事はなくなるのではないか?」 これは、半分正解で、半分間違いです。

AIに代替されるのは、「営業」という職種全体ではありません。営業活動の中に含まれる、単純な「作業」や「業務」です。例えば、定型的なメールを送ったり、情報を収集したり、といったことです。

むしろ、これからの優秀な営業は、AIやデジタルツールを「武器」として使いこなし、これまで以上に高度な価値を提供するようになります。

面倒な作業をテクノロジーに任せることで、人間でなければできない「お客様の課題を深く理解する」「信頼関係を構築する」といった、本質的な活動に、より多くの時間を注げるようになるからです。

事実、経済産業省は、高度なコンサルティングを伴う営業・販売職は、2030年までに114万人も増えると予測しています。

テクノロジーの進化を恐れる必要はありません。正しく理解し、使いこなすことで、あなたの会社の営業力は、これまでとは比べ物にならないレベルへと進化を遂げるでしょう。

まずは、あなたの会社の「営業の定義」を書き出すことから

さて、ここまで「営業」に関する新常識をお伝えしてきました。 ヒントは掴めたでしょうか。

大切なのは、知識として知るだけでなく、実際の現場で試してみることです。とはいえ、いきなり全てを実践するのは難しいかもしれません。でしたら、まずは、たった一つの、しかし最も重要なことから始めてみませんか。

「私たちの会社にとって、営業とは何か?」

この問いに対する答えを、ぜひ一度、あなたの会社の言葉で、たった一文で書き出してみてください。そして、それをマネージャーや社員の皆さんと共有してみてください。

その一文が、時代遅れの「お願い営業」から脱却し、社員が誇りを持ち、お客様から選ばれ、安定した売上と受注を生み出し続ける、強い組織への第一歩となるはずです。

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どんな相手からでも「買いたい」を引き出す、本物の営業組織へ

あなたの会社の営業担当者は、どんなタイプのお客様とも冷静かつ効果的に対話し、信頼関係を築くことができているでしょうか。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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トレテク代表 久保埜 実(くぼの みのる)
セールスパーソン戦力化コンサルタント
【著者プロフィール】

医療系企業の営業職として従事しながら、“セールスパーソン戦力化コンサルタント”として、東京都八王子市と日野市を中心に事業を展開。
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