お客様が自ら上司を連れてきたくなる、営業の”商談状況”づくり

「担当者レベルでは話が進むのに、そこから先に進まない…」

「営業の成約率を上げるには、決裁者に会うのが一番だと分かっている。でも、そのアポイントがどうしても取れない…」

多くの経営者や営業マネジャーが、この見えない壁にぶつかっています。現場の担当者といくら良好な関係を築いても、肝心の意思決定者である決裁者に会えなければ、売上や受注には繋がりません。

そして、営業担当者は「決裁者に会わせてください」とお願いしては、やんわりと断られ、時間を浪費していく…。

なぜ、こんなにも決裁者に会うのは難しいのでしょうか。

この記事は、そんな「決裁者アポイント」という永遠の課題に、根本的な解決策を求めている方々のために書きました。

この記事を読めば、「会わせてください」と頭を下げるお願い営業から脱却し、担当者が「ぜひ、うちの上司に会ってください!」と自ら前のめりになって決裁者を連れてきたくなる、全く新しいアプローチと考え方が分かります。

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目次

その一言が、担当者の心を固く閉ざさせる

商談は盛り上がり、担当者との間には確かな手応えを感じている。 「この勢いで決裁者まで繋げたい!」 そう考えた営業担当者は、自信を持ってこう切り出します。

「つきましては、最終的なご判断をいただくために、ぜひ一度、〇〇部長にもお時間をいただけないでしょうか?」

この瞬間、それまで和やかだった担当者の表情が、わずかに曇るのをあなたは見逃してはいけません。 「あ、いや…部長は何かと忙しいので…。話は私からうまく伝えておきますから、大丈夫です」

この言葉の裏で、担当者の頭の中では、必死にリスク計算が始まっています。

「この営業を上司に会わせて、もし『なんでこんなつまらない話に俺の時間を割かせたんだ?』なんて言われたら、どうしよう…」

「提案内容が浅いと判断されたら、『お前は見る目がないな』と、自分の評価まで下がってしまう…」

「万が一、上司の機嫌を損ねでもしたら、自分の面目は丸潰れだ。リスクしかない…」

そうです。担当者にとって、安易に営業を上司に引き合わせることは、自分のキャリアを危険に晒す「ハイリスク・ノーリターン」な行為なのです。

あなたの会社の営業担当者は、この担当者の「見えない恐怖」に気づかないまま、「良い商品なんだから、会ってくれさえすれば分かるはずだ!」と、無邪気に押しの一手で、自ら契約への道を閉ざしてしまってはいないでしょうか。

発想の転換:「お願い」するのをやめる

では、どうすればいいのか。答えは、驚くほどシンプルです。

担当者に「決裁者に会わせてください」とお願いするのを、きっぱりとやめるのです。

その代わりに、担当者が「この営業を上司に会わせることが、自分にとって最大のメリットだ」と、自発的に思うような状況を作り出すことに、全力を注ぐのです。

「お願い」するのではなく、「仕向ける」と言い換えてもいいかもしれません。

そのためには、営業の思考基盤を、根本から入れ替える必要があります。「自社の商品を判断してもらうために、決裁者を呼んでもらう」という発想を、一度ゴミ箱に捨ててください。

そして、代わりにこの問いを、自分自身に投げかけるのです。

「決裁者と担当者の間に“元々あった文脈”に、どうすれば自分の提案を乗せられるだろうか?」

これが、決裁者への扉を開く、唯一にして最強の鍵となります。

鍵は「元々あった文脈」に乗っかること

決裁者と担当者の間に存在する「ミッション」を把握し、それを達成するための「武器」として、自社の提案を位置づけましょう。

営業の都合ではなく、担当者自身の「評価されたい」「ミッションを成功させたい」という根源的な欲求に寄り添うことで、彼らを強力な味方に変えることができるからです。

「今、部長から特に言われていることや、期待されていることって何ですか?」という質問を投げかけてみると、二人の関係性を理解できるかもしれません。

あなたの会社の営業が目の前に現れるずっと前から、その担当者と決裁者の間には、目には見えない「文脈」が流れています。それは、決裁者から担当者へ与えられた「指示」「方針」、そして「ミッション」です。

「来期までに、この部門のコストを10%削減せよ」
「新規顧客の獲得ルートを、あと3つ開拓するように」
「部内の業務効率を改善し、残業時間を月20時間以内に抑えろ」

担当者は、このミッションを背負い、日々プレッシャーを感じています。もし、このミッションの難易度が高く、達成の目処が立たずに困っていたとしたら…?

そこに、あなたの会社の営業が現れ、提案する商品やサービスが、そのミッションを達成するための、まさに「完璧な武器」に見えたとしたら、どうなるでしょうか。

担当者の思考は、こう変わります。

「この提案を使えば、部長から与えられたあの難題をクリアできるかもしれない…」
「これを成功させれば、自分の評価は間違いなく上がるぞ…」
「これは、自分のために、ぜひとも上司に話を通すべきだ!」

こうなれば、もうあなたからお願いする必要はありません。担当者は、自らの意思で、喜んで決裁者とのアポイントをセッティングしてくれるでしょう。

なぜなら、その商談は、もはや「営業の提案を聞く場」ではなく、「自分のミッションを達成し、評価を上げるための重要な会議」へと、意味合いが完全に変わっているからです。

補論:直接決裁者にアプローチする場合の鉄則

もちろん、担当者経由ではなく、直接決裁者にアプローチする方法もあります。テレアポ、メール、SNS、あるいは顧問の紹介など、手法は様々です。しかし、ここでも成功の鉄則は変わりません。それは、徹底的に「個別性」を追求し、「無差別感」をなくすことです。

決裁者のもとには、毎日、山のような売り込みが届きます。その中で、「他の誰でもなく、なぜ“今”、“あなた”に連絡しているのか」という理由を、具体的かつ簡潔に伝えられないアプローチは、開封すらされずにゴミ箱行きです。

テレアポの場合

慌てた未熟な口調は禁物。落ち着いた成熟したトーンで、「〇〇というメディアで社長がおっしゃっていた△△という方針に感銘を受け、お電話いたしました」と、事前に調べていることを示しましょう。

そして、電話の受付の方には「恐れ入ります、責任者の方に『こういう内容でお電話です』と、このままお伝えいただけますでしょうか?」と、伝えるべきセリフそのものを、こちらから丁寧に用意してあげるのです。

忙しい受付担当者は、この一手間で、あなたの「本気度」と「質の高さ」を感じ取り、取り次ぎの精度が格段に上がります。

メールやSNSのDMの場合

「貴社のますますのご清栄を…」から始まるコピペ文面は、読まれた瞬間にアウトです。

相手の最近のインタビュー記事やSNS投稿に触れ、「〇〇というお言葉に深く共感し…」と、「あなただから連絡した」という強烈な個別メッセージを打ち出す。

登場確率の低い、手間のかかったアプローチだからこそ、多忙な決裁者の目に留まり、「この人は、他のその他大勢とは違うかもしれない」と、会う価値を感じてもらえるのです。

まずは「二人の間のミッション」を探ることから

決裁者への道は、決して平坦ではありません。しかし、その扉を開ける鍵は、意外にも、目の前の担当者の心の中に隠されています。

次にあなたの会社の営業担当者がお客様を訪問する際、一つの宿題を出してみてください。

「自社の商品の話をする前に、まず、目の前の担当者が、その上司から何を期待され、どんなミッションを背負っているのかを探ってみよう」と。

そして、勇気を出して、担当者にこう聞いてみるのです。

「差し支えなければですが、〇〇さん(担当者)が今、部長から最も期待されている役割やミッションって、どんなことなんですか?」

この質問こそが、担当者の心を動かし、「お願い営業」の無限ループから抜け出し、決裁者への揺るぎない橋を架ける、最初の、そして最も重要な一歩となるはずです。

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トレテク代表 久保埜 実(くぼの みのる)
セールスパーソン戦力化コンサルタント
【著者プロフィール】

医療系企業の営業職として従事しながら、“セールスパーソン戦力化コンサルタント”として、東京都八王子市と日野市を中心に事業を展開。
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