成果に直結する「時間の使い方」の決定的な差に気づき、営業の無駄をなくす方法

「ウチの営業は、毎日遅くまで残って頑張っている。なのに、なぜか売上が思うように伸びない…」

「便利なITツールを導入して効率化を図ったはずが、営業担当者の『忙しい』は一向に解消されない…」

多くの経営者や営業マネジャーの方が、このようなジレンマを抱えているのではないでしょうか。営業担当者は汗を流し、時間を費やしており、その努力は本物です。しかし、その努力がなかなか売上や受注という成果に結びつかない。

この、もどかしい状況の根本的な原因は、実は「努力の量」や「ツールの有無」ではなく、「時間の使い方の本質的な間違い」にあるのかもしれません。

この記事は、そんな出口の見えないトンネルの中にいるような感覚をお持ちの経営者、そして現場を率いるマネジャーの方々のために書きました。

この記事を読めば、あなたの会社の営業が陥っている「忙しさのワナ」の正体を解き明かし、そのムダな努力を、確実に契約へと繋がる成果に直結させるための、本質的な考え方と具体的なアクションが分かります。

今回のコラムの超要約資料を先に確認する

目次

あなたの会社の営業は、なぜ時間の使い方を間違えるのか?

ではなぜ、営業担当者が費やした時間や努力が、成果に結びつかないということが起きてしまうのでしょうか。

理由は大きく分けて2つあります。これらは、多くの営業が良かれと思ってやってしまいがちな、しかし致命的な「勘違い」から生じています。

解決策の要点

時間をかけるべきは「作業」ではなく「情報の非対称性」の解消。

顧客と自社の間にある「情報格差」を埋める活動にこそ、最も時間を使うべきです。

顧客が何を本当に求めているかを知らないままでは、的外れな提案や資料作成に膨大な時間を浪費してしまうからです。

「この人に話すと得をする」と顧客に思わせるための情報提供を一つ、実践してみましょう。

「売り手」と「買い手」では、見ている世界(競技種目)が全く違うと知る。

営業担当者は、「買い手」の視点を徹底的に学ばなければなりません。

売り手の論理だけで動くと、買い手が本当に価値を感じるポイント(例えば、メリットだけでなくリスクを教えてくれること)を完全に見逃してしまうからです。

社内で「買い手役」と「売り手役」に分かれ、「なぜ買ったのか?」「なぜ買わなかったのか?」を議論する場を設けてみましょう。

ここからは、この2つの解決策について、より深く掘り下げていきます。

解決策①:時間をかけるべきは「情報の非対称性」の解消

多くの営業が時間を無駄にしてしまう最大の原因は、「情報の非対称性」にあります。

これは、売り手側と買い手側とで、見えている情報が全く違う状態を指します。買い手である会社には「もっと簡単なやり方がある」という情報が見えているのに、売り手である会社にはそれが見えていない。この情報格差が、すべての悲劇の始まりでした。

「そんなの、お客様に聞けばいいじゃないか」と思うかもしれません。しかし、問題はそう単純ではないのです。多くの場合、お客様自身も「これを満たしてくれたら契約します」という決定的なポイントを、明確に言語化できていません。

「発注の決め手となる条件はありますか?」とストレートに聞いても、「うーん、そうですねぇ…」と、はっきりした答えが返ってこないことの方が多い。

決定ポイントというのは、一回の質問で明らかになるものではなく、営業担当者とお客様との対話のキャッチボールを繰り返す中で、少しずつ輪郭を現してくるものなのです。

では、どうすればお客様は、その重要な情報を「この人になら話してもいいかな」と思ってくれるのでしょうか。

答えはシンプルです。「この営業に情報を教えると、自分たちにとって良いことがある(メリットがある)」とお客様に感じてもらうことです。そのための行動にこそ、営業は最も時間をかけるべきなのです。

具体的には、以下の4つのような行動が挙げられます。

1/4 お客様の「頭の中」を整理してあげる

お客様が抱える課題や悩みは、ご本人の中でも整理できていないことがほとんどです。営業がヒアリングを通じて、その漠然としたモヤモヤを

「なるほど、御社の課題はAとBの2点に集約されますね」

と整理してあげるだけでも、お客様にとっては明確なメリットです。

「この人に話すと、頭がスッキリする」と感じてもらえれば、次も話したくなります。

2/4 「カウンター情報」を提供し、専門家としての価値を示す

お客様から「今、うちの会社はこんな状況で…」と情報をいただいたら、

「でしたら、〇〇という観点もチェックされてみてはいかがですか?このデータはご存知でしたか?」

というように、お客様が知らないであろう有益な情報をカウンターで提供するのです。

情報をもらったら、それ以上の価値ある情報で返す。これが、信頼を勝ち取る王道です。「この人は、ただ売るだけじゃなく、私たちの成功を助けてくれるパートナーだ」と感じてもらえます。

3/4 具体的な「次のアクション」を提言する

いただいた情報に基づき、

「その課題でしたら、まずは〇〇という方法で現状を分析してみるのが有効です。弊社がお手伝いできるのは△△の部分です」

といった、具体的なアクションに繋がる提言をします。

ただ話を聞くだけでなく、具体的な一歩を示してくれる存在は、非常に頼りになります。

お客様の「手間」を少しだけ肩代わりする

例えば、お客様がやるべき情報収集や比較検討の一部を、

「その部分でしたら、私が代わりに調べてまとめておきますよ」

と、少しだけ代行してあげる。

この「ちょっとした労務提供」は、お客様の心に強く響きます。「ここまでやってくれるのか」という感動が、情報の壁を壊すのです。

これらの行動に時間をかけることで、お客様は「この人に情報を渡せば渡すほど、自分たちが得をする」と学習します。その結果、社内のメンバーに話すかのように、率直な情報を共有してくれるようになる。

こうして「情報の非対称性」が解消されて初めて、営業の努力は的を得たものになり、効率的に売上へと繋がっていくのです。

解決策②:「売り手」と「買い手」では、見ている世界が全く違うと知る

時間の使い方を間違えるもう一つの大きな理由は、売り手と買い手の「構造的な違い」、言わば「戦っている競技種目が違う」という事実への無理解です。

  • 売り手(営業)のゴール:提案し、見積もりを出し、ハンコをもらうこと(=受注)。
  • 買い手のゴール:①適切な相手を選び、②導入したサービスで目的を達成すること(=購買の成功)。

同じ商談の席についていても、両者が見ている景色は全く違います。

例えば、買い手は「失敗したくない」という気持ちが非常に強いため、「この商品には、こういうメリットがある一方で、こういうリスクやデメリットも考えられます」と、正直にリスクを示唆してくれる営業を、心の底から信頼します。

しかし、売り手の多くは、「受注したい」という気持ちが強すぎるあまり、自社製品のメリットをアピールすることに必死で、リスクやデメリットに触れることを極端に恐れます。これは、買い手の心理とは真逆の行動です。

なぜ、こんなにも致命的なすれ違いが起こるのか。それは、ほとんどの営業担当者が、「企業の買い手」として購買の意思決定に深く関わった経験がないからです。自分がやったことのない競技のルールや選手の気持ちを、正確に理解することはできません。

では、どうすればこの「種目の違い」を乗り越えられるのでしょうか。最も効果的なのは、社内にいる「買い手」と「売り手」が直接対話する機会を設けることです。

どんな会社でも、自社で営業活動を行う一方で、他社から何かを購入する「買い手」になる瞬間があるはずです。営業チームで使うパソコン、新しいソフトウェア、社用車など、何でも構いません。

その購買に関わった担当者(=買い手役)と、営業担当者(=売り手役)を集めて、ディスカッションするのです。

  • 「なぜ、最終的にあの業者に決めたのか?」
  • 「検討の過程で、どんな情報がありがたかったか?」
  • 「逆に、どんな営業の言動に不信感を抱いたか?」
  • 「価格以外に、何が決め手になったのか?」

こうした生々しい「買い手の本音」を、自社の営業担当者が聞くことは、どんな高額な研修よりも価値があります。

自分たちが普段、お客様に対して行っているアプローチが、買い手の目にはどう映っているのか。その構造的なズレを痛感することで、初めて行動は変わります。

これは、会社の規模に関わらず、今日からでも始められる、極めて有益な取り組みです。

まずは「30分間の社内ヒアリング」から始めよう

ここまで、営業の時間の使い方を根本から変えるための2つの視点をお伝えしてきました。

いきなり全てを実践するのは難しいかもしれません。でしたら、まずはたった一つの、しかし最も重要なことから始めてみませんか。

まずは、あなたの会社の営業チームの中で、最近何かを購入したメンバーを探してみてください。そして、「なぜそれを買ったのか?」「選ぶ過程で何が決め手になったのか?」をヒアリングする、30分間のミーティングを開いてみましょう。

その小さな一歩が、あなたの会社の営業活動を、「頑張っているのに報われない努力」から「成果に直結する賢い努力」へと変える、大きなきっかけになるはずです。

今回のコラムの超要約資料を最後に確認する

本質的な営業力で、会社の未来を創る

個々の営業担当者の頑張りを、勘や根性論に頼るのではなく、再現性のある仕組みとして会社の売上と成長に繋げていく。それこそが、これからの時代を生き抜く経営者に求められる役割ではないでしょうか。

もし、

  • どんなタイプのお客様にも対応できる、本質的に強い営業チームを育てたい
  • 営業担当者の精神的なプレッシャーを減らし、もっと創造的に働いてほしい
  • 的外れな努力をなくし、売上を最大化する本質的な戦略を学びたい

と本気でお考えの経営者、マネジャーの方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度ご相談ください。

トレテクでは、単なるセールストークの研修ではなく、人間心理の深い理解に基づいた、本質的なコミュニケーション能力の向上をサポートします。そして、それが最終的に、貴社の安定的な成長に繋がることをお約束します。

まずは、60分間の無料オンライン相談で、貴社の現状の課題や、目指したい未来について、気軽にお話しいただければと思います。もちろん、無理な勧誘は一切いたしませんので、ご安心ください。

▶︎▶︎ 60分無料オンライン相談はこちらから ◀︎◀︎

また、日々の営業活動のヒントや、コンサルティングの現場からの気づきなどを、Instagramでも発信しています。よろしければ、こちらもフォローしていただけると嬉しいです。

▶︎▶︎ Instagramで活動をチェックする ◀︎◀︎

あなたの、そして貴社の営業が、お客様から心から信頼され、選ばれ続ける存在になるためのお手伝いができることを、楽しみにしています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

社員が育ち、売り上げも伸びる 中小企業の営業スキル向上をサポート
セールスパーソン戦力化サービス 【トレテク】

トレテクでは、営業が自ら売上を作れる“営業の型”を構築し、実践で成果を出せるよう支援します。

営業が苦手な社員でも大丈夫。実際に多くの方々が研修を通じて成長し、売上を伸ばしています。
あなたの会社に合った“営業の型”を一緒に作りませんか?

まずは無料相談からお問い合わせください

トレテク代表 久保埜 実(くぼの みのる)
セールスパーソン戦力化コンサルタント
【著者プロフィール】

医療系企業の営業職として従事しながら、“セールスパーソン戦力化コンサルタント”として、東京都八王子市と日野市を中心に事業を展開。
全国から依頼をいただく。
多くのコンサルティング会社のような座学による知識の習得だけで終わらない、お客様の営業現場に即した独自の実践的なコンサルティングが強み。
特に、商談やプレゼンテーションという交渉の改善に重点を置く。

無料相談実施中です。Webサイトの【💬無料相談】からお問い合わせください。

FacebookやInstagramでも役立つ情報を配信中。
下記アイコンからフォローをよろしくお願いします。
シェアしてもらえると、嬉しいです。
  • URLをコピーしました!
目次