新規開拓で設定する「5つの数字(KPI)」を活用し、受注数を伸ばす

「『新規開拓しろ!』と営業チームに号令をかけても、なぜか一向に契約が増えない…」

「展示会やWebからの問い合わせは来ているはずなのに、それが売上に繋がっている気がしない…」

「いったい、ウチの新規開拓の“何が悪い”のか、原因が分からない!」

中小企業の経営者や営業マネジャーの皆さま。 そんな「空回りする新規開拓」に、頭を悩ませてはいませんか?

この記事を読めば、あなたの会社の新規開拓が「どこでつまづいているのか」を、たった5つの数字で正確に把握できます。そして、ムダなコストをかけずに受注率を劇的に上げるための、具体的な「KPI(重要業績評価指標)」設定の技術が分かります。

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目次

なぜ営業とマーケは対立し、互いのせいにするのか

ある月曜の営業会議。 重苦しい空気の中、経営者であるあなたが、営業マネジャーとマーケティング担当者を呼びました。

経営者:「先月の新規開拓だが、目標に対して受注がゼロだった。いったいどうなっているんだ?」

マーケ担当:「社長、そんなことを言われましても…。先月の展示会では、目標の200枚を超える300枚の名刺(リスト)を獲得しました。Webからの問い合わせも過去最高です。私たちはやるべきことをやっています。営業チームが、そのリストをちゃんとフォローしてくれていないんじゃないですか?

営業マネジャー:「何を言うんだ! あのリストを見たが、ほとんどが情報収集目的の“冷やかし”ばかりじゃないか。あんな質の低いリストを渡されても、電話をかけるだけ時間のムダだ。現場は既存客の対応で手一杯なんだ。もっと“今すぐ客”に繋がるリストを持ってきてくれないと、契約なんて取れるわけがない!」

…いかがでしょうか。 これは、日本中の多くの会社で起きている「悲劇」です。

マーケティング部門は「リスト(分母)を増やした」と主張し、営業部門は「リストの質が悪い」と反論する。 お互いが「自分たちは頑張っている」と思い込み、責任をなすりつけ合う。 これでは、売上が上がるはずもありません。

しかし、断言します。 これは、どちらかのチームの「気合い」や「頑張り」が足りないから起きているのではありません。 問題はたった一つ。新規開拓のプロセスを「測るモノサシ(数字)」を、誰も持っていないことです。

この「数字のモノサシ」さえあれば、「本当の犯人(=ボトルネック)」が誰の目にも明らかになり、こうした不毛な対立は今すぐゼロにできます。

新規開拓の「本当の課題」を明らかにする4つのステップ

では、どうすれば「測れる」組織になれるのでしょうか? ここでは、あなたの会社の新規開拓を劇的に変える、4つの戦略的ステップをご紹介します。 これは、闇雲(やみくも)に頑張る「根性論」ではなく、ムダを徹底的に排除する「技術論」です。

ステップ1:「待ち」か「攻め」か? あなたの営業タイプを明確にする

結論まず、あなたの会社の新規開拓が「反響型(SDR)」か「能動型(BDR)」かを、はっきりと区別しましょう。

理由:どちらのタイプかで、最初に追うべき数字と「責任の所在」が、全く変わってくるからです。

一歩目:あなたの会社の営業チームに、「今月の新規リストは、どこから来ていますか?」と聞いてみてください。

新規開拓と一口に言っても、その「始まり方」によって、戦い方は大きく2つに分かれます。

タイプA:反響型(はんきょうがた)営業 (SDR)

これは、「待つ」営業スタイルです。会社として、Webマーケティング(ネット広告など)、SNS、展示会への出展、チラシのポスティング(投かん)など、何らかの「プロモーション活動」を先に仕掛けます。

そして、それを見て興味を持ったお客様からの「お問い合わせ」や「名刺交換」といった“反響”に対応していくのが、このタイプです。

タイプB:能動型(のうどうがた)営業 (BDR)

これは、「攻める」営業スタイルです。 会社としての大きな仕掛けを待つのではなく、営業担当者自身が「リスト」を作ります。

例えば、過去に取引があった「休眠顧客(きゅうみんこきゃく)」のリストや、業界地図を見て作った「ターゲットリスト」に対し、こちらから能動的に電話(テレマーケティング)やメールを送って、アポイントを狙っていくのが、このタイプです。

なぜ、この2つを分ける必要があるのでしょうか? それは、次のステップで説明する「課題の分離」に直結するからです。あなたの会社が、今どちらのタイプに力を入れているのか、まずはっきりとさせることが、分析の第一歩となります。

ステップ2:「5つの数字(KPI)」で営業プロセスを分解する

結論:新規開拓の「頑張り」を、たった5つの具体的なKPI(数字)に分解して、計測しましょう。

理由:「頑張ってます」という曖昧(あいまい)な報告ではなく、「どこで契約のタネが消えているか」を、客観的に把握するためです。

一歩目:今日から、営業日報や管理シートに「①フォローアップ数」「②コネクト数」「③有効会話数」「④商談数」「⑤有効商談数」の5項目を追加しましょう。

新規開拓のプロセスは、「ファネル(漏斗=じょうご)」の図でよく例えられます。 上から入ってきたタネが、下に落ちるにつれて減っていくイメージです。 この「減っていく過程」を、5つの数字で追いかけます。

① フォローアップ数

これは、「行動を起こした数」です。

反響型なら、「お問い合わせがあった数」や「展示会で名刺交換した数」。 能動型なら、「こちらから電話やメールを送ったリストの数」です。 これが全ての始まり、分母となります。

② コネクト数

これは、「実際に連絡が取れた数」です。

「電話しました」だけではダメです。留守番電話や、メールを送信しただけでは、コネクト(接続)したことになりません。 実際に相手と繋がり、話すことができた数をカウントします。

③ 有効会話数(ゆうこうかいわすう)

これは、「相手が興味を持ってくれた会話の数」です。

コネクトできても、「あ、結構です」「忙しいんで」と、1z0秒で電話を切られてしまったら、それは「有効な会話」とは言えませんよね。相手がこちらの話に少しでも耳を傾け、「興味あり」と判断できた会話の数だけをカウントします。

④ 商談数(しょうだんすう)

これは、「実際に商談(アポイント)になった数」です。

有効な会話の結果、「じゃあ、一度詳しい話を」と、具体的なアポイントやWeb会議の約束が取れた数です。

⑤ 有効商談数(ゆうこうしょうだんすう)

これは、「受注に繋がりそうな“質の高い”商談の数」です。

商談をしても、相手が単なる情報収集だったり、全く決裁権(けっさいけん=決める力)のない担当者だったりすると、契約には至りません。 「これは本気だ」「決裁権を持つ人が出てきた」という、手応えのある商談だけをカウントします。

経営者の皆さま、驚くかもしれませんが、ほとんどの中小企業が、このシンプルな5つの数字すら計測していません。 だから、「頑張っているのに決まらない」という、原因不明の病に苦しみ続けるのです。

ステップ3:「課題の分離」で、本当の原因を見つける

結論:KPIを測る最大の目的は、チーム内の「責任のなすりつけ合い」をなくすことです。

理由:数字で事実を見れば、「営業が悪い」のか「マーケティングが悪い」のかが一目瞭然(いちもくりょうぜん)となり、具体的な改善策が打てるからです。

一歩目:もし①フォローアップ数(=反響の数)自体が極端に少ないなら、それは営業ではなく、その前の「マーケティング活動」を問題にしましょう。

先ほどの「共感パート」で起きていた、マーケ担当と営業マネジャーの対立。 もし、あの会社がステップ2の「5つの数字」を測っていたら、会話はこう変わります。

経営者:「先月の数字を見た。まず、マーケティング部。展示会とWebで①フォローアップ数(反響リスト)は300件だ。これは目標達成だ、素晴らしい」

マーケ担当: 「ありがとうございます!」

経営者: 「だが、営業チーム。この300件のリストに対し、②コネクト数(実際に連絡が取れた数)が、たったの30件しかない。これはどういうことだ?」

営業マネジャー:「…申し訳ありません。リストの質が悪いと思い、フォローの優先順位を下げていました」

経営者:「『質が悪い』かどうかは、その次の数字を見ればわかる。そのコネクトした30件のうち、③有効会話数は25件。④商談数は15件だ。これは非常に高い確率だぞ! つまり、リストの質は悪くなかった。むしろ、非常に良かったと言える」

いかがでしょうか。 「気合い」や「印象」ではなく、「数字」で事実を突きつければ、本当の課題がどこにあるかは一瞬で分かります。

このケースの“犯人”は、マーケティング部ではありませんでした。 「質が悪い」と思い込み、行動しなかった営業チームの「マネジメント」に問題があったのです。 これが「課題の分離」です。

逆に、①フォローアップ数(反響の数)自体が目標の10件しかなく、営業がいくら頑張っても売上が立たないのなら、それは営業の責任ではありません。その前の「マーケティング活動」に、もっとコストと知恵を投下すべき、という経営判断ができるのです。

ステップ4:「分母」より「率」を追うことがコストをかけずに売上を上げる方法

結論:闇雲(やみくも)にリストの「数(分母)」を増やすのではなく、各KPIの間の「率(コンバージョン率)」を上げることに集中しましょう。

理由:反響数やリスト数を増やす活動(広告、展示会)には大きなコストがかかりますが、「率」の改善は、今いる営業チームの「戦術」だけで可能だからです。

一歩目:「どうすれば②コネクト率が上がるか?」「どうすれば③有効会話数が増えるか?」をチームで議論してみましょう。

ステップ2の「5つの数字」を使って、能動型(BDR)の営業チームの活動を分析してみましょう。

  • ターゲットリスト数:500件
  • ①フォローアップ数(電話した数):300件
  • ②コネクト数(連絡が取れた数):50件
  • ③有効会話数(興味を持たれた数): 10件
  • ④商談数:2件
  • ⑤有効商談数:0件
  • 最終受注:もちろん0件

この結果を見て、経営者であるあなたは、どんな指示を出しますか? 「リストが足りない! もっと5000件に電話しろ!」と、分母を増やす指示を出しますか? それでは、営業担当者が疲弊(ひへい)し、ストレスで辞めていくだけです。

賢い経営者は、「率」に着目します。 このチームの問題は、どこにあるでしょうか?

  • ②コネクト率(= 50件 ÷ 300件): 約17%
  • ③有効会話率(= 10件 ÷ 50件): 20%
  • ④商談化率= 2件 ÷ 10件): 20%
  • ⑤有効商談率= 0件 ÷ 2件): 0%

数字で見ると、課題は明らかです。「商談は取れているのに、有効な商談になっていない(0%)」こと。そして、「電話をかけても、そもそも連絡が取れていない(17%)」ことです。

ならば、打つ手は明確です。

「商談で、なぜ相手に響かなかったのか?」「決裁権のある人に会うには、電話口で何を話すべきか?」を徹底的に議論する。

「なぜコネクト率が低いのか?」「電話をかける時間帯が悪いのではないか?」「メールの件名を変えてみてはどうか?」という「戦術」を議論する。

このように、「率」の改善にフォーカスするのです。

リストの「分母」を増やすには、広告費や展示会費など、莫大(ばくだい)なプロモーションコストがかかります。それは会社の利益(粗利)を圧迫します。しかし、「率」を上げることには、1円のコストもかかりません。 必要なのは、あなたの会社の「知恵」と「戦術」だけです。

「コネクト率を17%から25%に上げる」 「商談化率を20%から30%に上げる」 この小さな「率」の改善こそが、ムダなコストをかけずに売上を最大化する、中小企業が取るべき唯一の戦略なのです。

まずは「50件のリスト」で、あなたの会社の“健康診断”をしよう

KPI設定の重要性、ご理解いただけたでしょうか? 大切なのは、この知識を「知っている」ことではなく、今日から「試してみる」ことです。

経営者や営業マネジャーであるあなたが、今すぐできる「一歩目」をご提案します。

まずは、あなたの会社の「能動型(BDR)」の営業活動(例えば、休眠顧客の掘り起こし)で構いません。「リスト50件」だけを用意してください。

そして、その50件のリストに対して、先ほどの「5つの数字」(①フォロー、②コネクト、③有効会話、④商談、⑤有効商談)が、それぞれいくつになったか、今日から1週間だけ、テストで計測してみてください。

たった50件です。これなら、すぐに始められるはずです。 そして、その結果出てきた「率(%)」を、じっと眺めてみてください。

「ウチの営業は、そもそも電話をかけていなかったのか…」 「連絡は取れても、会話で断られていたのか…」 「商談はしても、契約に繋がっていなかったのか…」

たったこれだけの“健康診断”で、あなたの会社の新規開拓が抱える「本当の課題」が、数字として、くっきりと見えてくるはずです。

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あなたの会社の「ムダな空回り」が「確実な受注」に変わる日を、楽しみにしています。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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トレテク代表 久保埜 実(くぼの みのる)
セールスパーソン戦力化コンサルタント
【著者プロフィール】

医療系企業の営業職として従事しながら、“セールスパーソン戦力化コンサルタント”として、東京都八王子市と日野市を中心に事業を展開。
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