価格の決め方で迷ったら?鍵を握るのは「人気商品の値段」

ビジネスを始めて最初にぶつかる壁の一つが「いくらで売るか」、つまり値付けです。

副業で月5万円を目指す人も、フリーランスとして会社員以上に稼ぎたい人も、ここでつまずくと売上そのものが伸びません。

この記事では、私が営業の現場で20年以上使ってきた視点から、センスに頼らず誰でも再現できる価格の決め方を、2つの基本と実践上の注意点に分けて整理します。読み終える頃には、自分の商品にいくらつけるべきかの判断軸が手に入るはずです。

目次

そもそも値付けが難しい理由

価格設定は、ビジネスの悩みランキングで常に上位に入るテーマです。理由はシンプルで、「正解が一つに決まらない」から。値付けはよく「アート」と言われます。科学のように答えがバシッと決まるわけではなく、しかも一度は正解だった価格も、時間が経てば不正解に変わったりします。

だからこそ、多くの人が「なんとなく」で決めてしまい、後から苦しむことになります。でも、答えが一つに決まらない世界にも、押さえておくべき原則は存在します。ここを仕組みとして理解しておけば、迷いは一気に減ります。

価格の決め方は基本の2つ

価格の決め方には、大きく分けて2つのアプローチがあります。順番に見ていきましょう。

1つ目:原価+欲しい利益

たとえばハンドメイドでアクセサリーを作って売るとします。材料費に500円かかって、数時間かけて作ったものを300円で売る。これは原価割れで、シンプルに赤字です。では材料費と同じ500円ならどうか。これも作業賃がまったく含まれていないので、実質アウトです。

こんな価格で売り続けても、持続可能性はゼロ。まっとうに商売を成立させたいなら、原価をしっかり計算し、そこに欲しい利益を乗せて価格を決める。これが基本中の基本です。

ただ、ここで多くの人が止まります。「その欲しい利益をいくらにすればいいのか分からない」というわけです。ビジネスセンスのある人は「自分が得るべき妥当な利益」を感覚的に決められますが、多くの人はそうはいきません。そこで登場するのが2つ目の方法です。

2つ目:人気商品と同じ価格

より実践的なのが、そのジャンルのトッププレイヤーが設定した価格をマネするやり方です。

  • ポテトチップスが1袋150円で売れているなら、自分も150円で売る
  • 人気ヨーグルトが1個180円なら、自分も180円で売る
  • 近所の人気美容室のカット価格が5,500円なら、自分も5,500円で提供する
  • 人気noteが月額500円なら、自分も月額500円で売る

ここでのポイントは、必ず「人気商品」の価格を参照すること。大して売れていない商品や、目立たないサービスの価格をマネしても意味がありません。

なぜ人気商品の価格が「正解」なのか

人気商品が今その価格になっているのには、明確な理由があります。それ以上でもそれ以下でも、うまくいかなかったからです。

  • それより高い価格では、単価が上がっても客数が減り、トータルの売上が落ちる
  • それより安い価格では、薄利多売になって旨味がなくなる

つまり、人気商品の価格より高い・安い価格は、そのジャンルのトッププレイヤーたちがすでに試して失敗した価格だと考えられます。それを無視してゼロベースで独自路線を突っ走っても、いいことはなさそうです。

もちろん、それより高くしたり安くしたりしていいケースもあります。ただしそれは十分な根拠がある時だけ。たとえば「より高い付加価値をつけられる」「トッププレイヤー以上にコストカットできる仕組みを持っている」といった場合です。根拠がないなら、人気商品の価格をベースにする。これが賢いスタートラインです。

【注意】なお、参照するのはあくまで自分と同じ土俵、つまりスモールビジネスをやっているライバルの人気サービスです。大手スーパーに並ぶクッキーの価格をマネしても、それは大企業の戦い方であって、小規模事業者のやり方とは前提が違います。

見落としがちな落とし穴「客寄せ商品」

ここで一つ、多くの人が見落とすポイントがあります。それは、めちゃくちゃ売れている商品が、利益を出している商品とは限らないということです。

マーケティングの世界では、新規顧客を集めるための比較的安価な商品をフロントエンド商品、利益を出すための高価格商品をバックエンド商品と呼びます。

たとえば、ハンバーガーを安く提供して大々的に集客し、実はドリンクで稼いでいる。よく知られた構造です。もし自分が参考にしようとしている人気商品が「客寄せのためのフロントエンド商品」だった場合、その価格をマネして頑張っても、利益を出すのは難しくなります。

だからこそ、価格をマネするときはバックエンド商品まで含めてトータルで戦略を練ることが欠かせません。表に見えている安い商品だけを真似ても、稼ぎの仕組みは真似られていないのです。

フロントとバックの値付けルール

値付けの世界にも「正しい」と思われる原則があります。それが「フロントエンド商品を高くしてはいけない」ということです。

これは、自分の商品やサービスに自信のある人ほどやりがちな落とし穴です。「一番安い商品ですら、他より高い」。これで集客するのは、本当に難しい。フロントエンド商品は安くてナンボです。

先ほど「原価割れはダメ」とお伝えしましたが、実はフロントエンド商品だけは例外です。原価割れでも、原価レベルの提供でも構いません。なぜなら、バックエンド商品と合わせれば十分な利益が出るからです。無料お試し期間、初回限定の割引、最初の3ヶ月は月額100円――こうした施策が世の中に多い理由も、ここにあります。

そして、その分バックエンド商品は勇気を持って高価格を追求する。小規模事業者は「利益がたくさん出るものを、少なく売る」効率商売でこそ勝てます。フロントで集めて、バックで稼ぐ。この設計ができるかどうかが、収益を大きく左右します。

今日のまとめと最初の一歩

価格の決め方の基本は、この2つでした。

  1. 原価に欲しい利益を乗せる(原価割れ・原価提供はやめる)
  2. 人気商品と同じ価格をベースにする(欲しい利益が決められない人はこちら)

その上で、実践では次の点を守るだけでも、値付けはぐっと安定します。

  • 競合の人気商品の価格をベースにする
  • フロントエンド商品とバックエンド商品を用意する
  • フロントエンド商品は絶対に高くしない
  • バックエンド商品は勇気を持って高価格に

最後に一つだけ。ビジネスを始めたばかりの段階で、オリジナルの価格戦略を試す必要はありません。すでに儲かっている人の値付けをマネするところから始めるのが、最小の努力で最大の結果を出す近道です。市場が受け入れている価格には、すでに答えが出ているのですから。

とはいえ、「自分の商品はフロントとバック、どう組み立てればいいのか」「価格設計と営業トークをどう連動させるか」まで踏み込むと、一人で判断するのは難しくなります。

私は営業×AI実装ディレクターとして、複数業界での20年以上の営業経験をもとに、価格戦略から実際の商談設計・仕組み化までを一貫してご支援しています。値付けや売り方の設計でお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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トレテク代表 久保埜 実(くぼの みのる)
セールスパーソン戦力化コンサルタント
【著者プロフィール】

医療系企業の営業職として従事しながら、“セールスパーソン戦力化コンサルタント”として、東京都八王子市と日野市を中心に事業を展開。
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