営業が人間心理の”本質”を捉え、初対面のお客様との距離を縮める魔法の言葉

皆さんは「初対面の人」と会うとき、どれくらいエネルギーを使っていますか? 新しいお客様、取引先の担当者、採用面接に来た候補者…特に経営者や営業の最前線に立つ方々は、日々、新しい出会いの連続ですよね。
その出会いの一つひとつが、ビジネスの未来を左右するかもしれない。そう思うと、初対面のコミュニケーションって、実はものすごく重要で、そして、ものすごく難しい。
「何を話せば、相手は心を開いてくれるんだろう?」
「どうすれば、この短い時間で信頼関係を築けるんだろう?」
「うわ、沈黙が気まずい…何か気の利いたこと言わないと…」
頭の中はフル回転。額にはうっすら汗。内心ドキドキしながら、当たり障りのない天気の話やニュースの話題で場をつなぐ…そんな経験、ありませんか?
正直に告白します。私も昔、そうでした。特にベンチャー企業2社での経験の中で、文字通り「飛び込み」で初対面の方と話し続ける毎日。
最初の頃はひどいものでした。緊張でしどろもどろになったり、逆に空回りして引かれたり…。売れない営業の典型でした。
でも、何百、何千という初対面を繰り返すうちに、ある法則性に気づいたんです。それは、口がうまいとか、特別な才能があるとか、そういうことじゃない。初対面の会話を「うまく回せる人」には、共通の、ある「型」のようなものがある、ということ。
今日は、その「型」…私が長年の営業経験から編み出したコミュニケーション術を、皆さんにお伝えしたいと思います。これは、単なる小手先のテクニックではありません。人間の「心理」に基づいた、再現性の高い方法です。
この記事を読み終える頃には、あなたは初対面の相手に対して、自然に会話をリードし、相手の懐にスッと入り込めるようになっているはずです。
特に、部下を指導する立場の営業マネージャーの方や、会社の顔として経営の舵取りをする方には、必ず役立つ内容だと確信しています。
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結論:初対面の会話は、この一言で劇的に変わる
結論から申し上げましょう。
初対面の人との会話を、一瞬で「自分ごと」に変え、相手の心をグッと引き寄せる魔法の言葉。それは…
「〇〇さんって、XXな方だと思いました」です。
…え? たったこれだけ? 肩透かしを食らった気分ですか?この一見シンプルな言葉の裏には、人間の深層心理に働きかける、強力なメカニズムが隠されているんです。
考えてみてください。私たちはなぜ、占いや性格診断が好きなのでしょうか? なぜ、SNSで自分の投稿に「いいね!」がつくと嬉しいのでしょうか? なぜ、陰で自分の悪口を言われていると、たまらなく気になるのでしょうか?
それは、「自分が他者からどう見られているか」「他者の目に、自分はどう映っているのか」 という問いに対する興味が、人間には本能レベルで、それも非常に強く、組み込まれているからです。これは、集団の中で生きてきた我々ホモ・サピエンスの生存戦略の名残なのかもしれません。
自分が集団の中でどう評価され、どう位置付けられているかを知ることは、生き残る上で死活問題だったわけです。
だから、「私は、あなたのことをこう思いました」という言葉は、相手にとって、どんなニュースや天気の話よりも、自分に直接関わる、無視できない情報として認識されるのです。相手の脳の「自分ごとスイッチ」を、カチッとONにするイメージですね。
クラブのママと社長の会話に学ぶ「本質」
以前、とあるスナックで、そこのママさんと常連らしいお金持ちそうな経営者の会話を、隣の席で聞くともなしに聞いていたことがあります。
そのママさん、見た目も話し方も、いかにも「百戦錬磨」という感じの方でしたが、彼女が社長に対して使っていたテクニックが、まさにこれでした。
ママ:「社長って、いつもスマートでいらっしゃるけど、本当はすごく情熱的な方なんじゃないかって、私、ずっと思ってました。だって、お仕事の話をされる時の目の輝きが違うんですもの」
社長:(まんざらでもない顔で)「いやいや、そんなことないよ。ただ仕事が好きなだけだよ」
ママ:「でも、それだけじゃないでしょう? きっと、若い頃は相当やんちゃなさってたんじゃないですか? モテたでしょう?」
社長:「ははは、まあ、人並みにはね…」
ママ:「やっぱり! そういう色気が、今も滲み出てますもん。だから、こうやって素敵な女性(ママ自身のこと)を口説きに、毎晩いらっしゃるんでしょう?」
社長:「いやいや、君に会いに来てるだけだよ(笑)」
…とまあ、こんな調子です。ママはひたすら、「私は社長のことを、こう見ているんですよ」というボールを、角度を変えながら投げ続けている。社長はそれを否定したり肯定したりしながらも、明らかに気分が良さそうで、会話はどんどん弾んでいました。
重要なのは、ママが話している内容は、社長の「年商」とか「ゴルフのスコア」といった「事象」ではなく、徹頭徹尾、「社長という人間そのもの」に向けられている点です。これが、相手の心を開かせる鍵なのです。
「いや、俺は他人の評価なんて、これっぽっちも気にしないね」 そう嘯(うそぶ)く方もいるかもしれません。確かに、他人の評価で自分の信念や行動をコロコロ変えるのは、主体性がないと言われても仕方ないでしょう。
しかし、「気にしない」のと「興味がない」のは、全く別の話です。自分の信念を曲げない強さを持っている人だって、「へえ、周りからはそんな風に見えるんだ」という情報自体には、少なからず興味を持つはずです。
神社でおみくじを引く時のことを思い出してください。「大吉が出たから、宝くじを買おう!」とか「凶だったから、今日の商談はやめておこう」なんて、本気で考える大人は少ないですよね? でも、「何が書かれているのかな?」というワクワク感、ドキドキ感は、誰にでもあるはずです。
結果によって自分の行動を変えるわけではないけれど、「自分に関する未知の情報」には、惹かれてしまう。
「私はあなたのことをこう思いました」という言葉は、相手にとって、まさにこの「おみくじ」のような、抗いがたい魅力を持っているのです。特に、営業やセールスの場面では、この「相手への興味」を示すことが、信頼関係の第一歩となります。
初対面の会話を支配する!具体的な3つの「投げ方」
さて、この強力な「私はあなたのことをこう思いました」というボール。ただ闇雲に投げればいいというわけではありません。状況や相手に合わせて、効果的な「投げ方」があります。
ここでは、私が現場で特に有効だと感じている3つのアプローチをご紹介しましょう。これは、営業職だけでなく、部下を持つマネージャーや経営者がチームビルディングに使う際にも応用できます。
アプローチ1:「わざと外す」-否定から入って、本音を引き出す技術–
これは、相手の特徴や考えを、あえて「大きく外して」指摘してみる、という変化球です。少しユーモアを交えて、エンターテイメント的に使うのがコツですね。
例えば、目の前にいるお客様(仮にAさんとしましょう)が、どう見ても真面目で、堅実そうなタイプだとします。服装も地味で、話し方も控えめ。おそらく、派手なことや衝動買いとは無縁だろうな、と推測できる。
そんなAさんに対して、あなたは少し笑みを浮かべてこう切り出すのです。
「Aさんって、普段はすごく落ち着いていらっしゃいますけど、来月ボーナスが入ったら、パーッと高級ブランドのバッグとか時計とか、衝動買いしちゃうタイプじゃないですか? なんとなく、そういう隠れた一面がありそうだなって、僕、思ったんですよ」
ポイントは、「いやいや、絶対に違うだろ!」 と、相手が心の中で(あるいは声に出して)ツッコミたくなるような、明らかな「外し」をすること。そして、「わざと外してるんですよ」というニュアンスを、表情や声のトーンで伝えることです。真顔で言っては、ただの失礼な人ですからね。
すると、Aさんは、おそらくこう反応するでしょう。 「ええっ!? とんでもない! 私がですか? いやー、全く違いますよ! ブランド物とか、全然興味ないですし、衝動買いなんて、怖くてできません(笑)」
ここですかさず、あなたは畳みかけます。
「あ、やっぱりそうですか! いやー、失礼しました! 僕、人を見る目がないなあ(笑) じゃあ、Aさんって、もしボーナスで何か大きな買い物をするとしたら、どんなことにお金を使うのがお好きなんですか? こだわりとか、あったりします?」
最初の「外し」によって、Aさんは「いや、そうじゃない!」と一度否定をしています。この否定という行為が、実はミソなんです。
人は、何かを否定した後、「じゃあ、本当はどうなのか」を説明したくなる心理が働きます。
一度「違う」と言ってしまった手前、「本当の自分はこうなんだ」と主張したくなるんですね。ガードが少し下がり、自己開示へのハードルが低くなるイメージです。
すると、Aさんは、さっきよりもリラックスした表情で、こう話してくれるかもしれません。
「そうですね…ブランド物とかよりは、私、実は旅行が好きで。特に、ちょっとマニアックな温泉地とか、歴史的な建物を巡るのが好きなんです。だから、もしボーナスで使うなら、そういう旅行の費用に充てたいですね。最近、〇〇に行ってみたいと思ってるんですよ…」
どうでしょうか? 単に「趣味は何ですか?」とか「ボーナスは何に使いますか?」と質問するよりも、ずっとスムーズに、そして深く、相手の価値観や興味関心に触れることができたと思いませんか?
この「わざと外す」テクニックは、会話の序盤でアイスブレイクとして使うのに非常に有効です。場が和み、相手の本音を引き出すきっかけを作ることができます。
ただし、やりすぎると「ふざけてるのか?」と思われかねないので、相手の反応を見ながら、さじ加減には注意してください。営業の現場では、特に相手との関係性を考慮する必要があります。
アプローチ2:「極論誘導」-両極端を示して、相手の「真ん中」をあぶり出す技術–
次に紹介するのは、相手の考えや価値観といった、少しデリケートで、言葉にしにくいテーマについて、うまく聞き出すためのテクニックです。
例えば、あなたが金融商品の営業担当者だとしましょう。お客様の「お金に対する価値観」を知ることは、最適な商品を提案するために不可欠です。
しかし、いきなり「お金について、どうお考えですか?」なんて聞いても、相手は「え…? どうって言われても…」と困ってしまいますよね。あまりにも漠然としすぎていて、何をどう答えればいいのか分からない。これは、部下に「君にとって、仕事とは何だ?」と聞くようなものです。壮大すぎて、答えようがない。
そんな時に有効なのが、「極論誘導」です。つまり、両極端な例を提示して、「あなたはその中間(あるいは、どちらか寄り)の、どのあたりにいますか?」と問いかけるのです。
「いやー、お客様によって、お金に対する考え方って本当に様々ですよね。この前お会いした若いご夫婦なんて、『貯金なんて意味ない! 稼いだお金は、若いうちに全部、海外旅行とか好きなことに使うんだ!』って、すごく割り切っていらっしゃいました。一方で、別のお客様で、独身の女性なんですけど、『私にとって、お金を貯めること、通帳の残高が増えていくのを見ること自体が、何よりの生きがいなんです』って、熱く語ってくださった方もいて。…〇〇さんは、どちらかというと、どんなスタンスでいらっしゃいますか?」
このように、振り切れた両極端の例を示すと、ほとんどの人は(おそらく99%以上)、そのどちらか一方に完全に共感するというよりは、その中間の、自分なりのポジションを見つけようとします。
「うーん、どっちも極端ですね(苦笑)。旅行にお金を全部使うなんて、将来が不安だし…かといって、貯金が生きがいっていうのも、ちょっと寂しい気がしますね。私は…そうですね、やっぱり家族がいますから、ある程度の貯蓄は必要だと思います。子供が急に『留学したい』とか言い出した時に、『お金がないからダメだ』とは言いたくないですし。でも、だからといって、日々の楽しみを全部我慢するのも違うかなって。年に一度くらいは、家族でちょっと良いところに旅行に行ったり、美味しいものを食べたりする、そういう楽しみのためにも、お金を使いたいですね」
どうでしょうか? 抽象的な質問では引き出せなかったであろう、その人なりの具体的な価値観や、お金に対して何を重視しているのかが、手に取るように分かりますよね。
この「極論誘導」は、相手に「自分はこういう考えを持っているんだ」と自己認識させる効果もあります。漠然としていた考えが、両極端な例との比較によって輪郭を持ち、それを言葉にすることで、より明確になるのです。
これは、経営者が従業員のモチベーションの源泉を探る時や、チームの目標設定について話し合う時などにも応用できる、非常に汎用性の高いテクニックと言えるでしょう。
アプローチ3:「真剣に当てる」-観察と洞察で、相手の核心を射抜く技術–
さて、最後にご紹介するのが、この「私はあなたのことをこう思いました」アプローチの、いわば「真打ち」とも言えるテクニック、「真剣に当てる」です。
最初の「わざと外す」が、エンターテイメント性を重視した変化球だとすれば、こちらは、会話の中盤以降、相手との関係性がある程度できてきた段階で繰り出す、渾身のストレートです。
これまでの会話の中での相手の発言、表情、仕草、声のトーンなどを注意深く観察し、そこから相手の本質、つまり「この人は、本当はこういう人なんじゃないか?」ということを見抜いて、それをストレートに伝えるのです。
「〇〇さんって、普段はすごく穏やかで、周りに気を遣われるタイプだと思うんですけど、実は、ご自身の信念というか、『これだけは譲れない』というものに対しては、ものすごく頑固で、情熱的な部分をお持ちなんじゃないですか? なんとなく、お話していて、そんな芯の強さを感じました」
もし、あなたのこの「洞察」が、相手の核心をピタリと射抜いていたとしたら…相手は、おそらく、言葉を失うほどの衝撃を受けるはずです。
「え…!? な、なんで分かったんですか!? そうなんです、周りからは『いつもニコニコしてて、怒ることなさそうだね』って言われるんですけど、実は、自分が『これは違う』って思ったことに対しては、結構、頑固で…いや、驚きました。そんな風に言われたの、初めてです…」
この瞬間、あなたと相手の間には、劇的な信頼関係が生まれます。「この人は、上辺だけでなく、私の本質を理解してくれている」「私のことを、本当に見抜いてくれている」と感じてもらえれば、相手はあなたに対して、心の中で一気に「お任せモード」になる可能性が高い。
特に、営業の場面において、この「真剣に当てる」が成功した場合の効果は絶大です。商品やサービスの説明をあれこれするよりも、この一言で、「もう、あなたにお願いするよ」となるケースは、決して少なくありません。まさに、営業における「キラーパス」と言えるでしょう。
もちろん、これは高度なテクニックです。単なる当てずっぽうや、浅い観察に基づいた発言では、逆効果になる危険性もあります。「何を根拠にそんなこと言うんだ?」と不快感を与えてしまうかもしれません。
この「真剣に当てる」を成功させるためには、日頃から人間に対する深い観察眼と、相手の言葉の裏にある感情を読み取る共感力、そして、それを言語化する洞察力を磨く必要があります。
しかし、その努力に見合うだけの、絶大なリターンが期待できるテクニックなのです。経営者として、社員一人ひとりの本質を見抜き、その能力を最大限に引き出すためにも、この「洞察力」は不可欠なスキルと言えるでしょう。
なぜ「共通の話題」だけではダメなのか? 会話の焦点を「事象」から「人物」へ
ここで、少し視点を変えてみましょう。 よく、「初対面の人と話すときは、まず共通の話題を見つけなさい」と言われますよね。出身地、趣味、好きな食べ物、好きなスポーツチーム、最近見た映画…確かに、共通の話題が見つかれば、会話のきっかけにはなります。
「え、〇〇さんも野球お好きなんですか? どこのファンですか?」
「あ、そのドラマ、私も見てます! 昨日のラスト、衝撃的でしたよね!」
しかし、私たちは、この「共通の話題」戦略に、少し頼りすぎているのかもしれません。なぜなら、これらの会話は、あくまで「事象」(野球、ドラマ、天気など)に焦点が当たっているのであって、目の前にいる「あなた」という人間に焦点が当たっているわけではないからです。
極端な話、その場にいるのがあなたでなくても、同じ野球ファン、同じドラマの視聴者であれば、誰とでも成立してしまう会話、とも言えます。もちろん、それが悪いわけではありません。
しかし、それだけでは、どうしても表面的な、当たり障りのない会話に終始してしまいがちです。
考えてみてください。あなたが本当に知りたいのは、「相手が阪神ファンである」という事実ですか? それとも、「なぜ相手は阪神ファンになったのか」「阪神のどこに魅力を感じているのか」「応援している時の相手は、どんな気持ちなのか」といった、その背景にある想いや価値観ではありませんか?
営業の場面でも同じです。お客様が「〇〇という機能に興味がある」と言ったとします。それは重要な情報(事象)ですが、それだけでは不十分です。
「なぜ、その機能に興味を持ったのか?」「その機能を使って、お客様は本当は何を実現したいのか?」「その背景には、どんな課題や願望があるのか?」…そういった「お客様自身」に深く踏み込んでこそ、真のニーズを理解し、最適な提案ができるはずです。
今回ご紹介した「私はあなたのことをこう思いました」というアプローチは、まさに、会話の焦点を、表面的で移ろいやすい「事象」から、不変的で本質的な「人物」へとシフトさせるための強力なツールなのです。
相手という「人間」そのものに、深く、真剣に関心を寄せること。これこそが、経営者や営業が、長期的な信頼関係を築き、ビジネスを成功させる上で、最も重要な姿勢ではないでしょうか。
実践への壁と、それを乗り越える「小さな一歩」
さて、ここまで読んで、「なるほど、理屈は分かった。でも、実際にやるのは難しそうだなぁ…」と感じた方もいるかもしれません。
「『わざと外す』なんて言って、相手に失礼だと思われないかな?」 「『真剣に当てる』なんて、もし見当違いだったら、めちゃくちゃ恥ずかしいじゃないか…」
その気持ち、よく分かります。特に、相手が目上の方や、重要な取引先だったりすると、なかなか勇気が出ないものです。
でも、思い出してください。自転車に乗るのだって、最初は誰だって転びます。セールスだって、最初から百発百中なわけがありません。大切なのは、失敗を恐れずに、まずやってみることです。
もし、「わざと外す」をやってみて、相手の反応がイマイチだったら?
「いやー、ちょっと失礼なこと言っちゃいましたね! すみません、忘れてください!」と笑って流せばいい。
もし、「真剣に当てる」が外れてしまったら? 「あれ、違いましたか? うーん、僕もまだまだ修行が足りませんね!」と、素直に認めればいい。
完璧を目指す必要はありません。むしろ、ちょっとくらい不器用な方が、人間味があって好感を持たれることだってあります。大切なのは、
「私は、あなたのことに興味がありますよ」「あなたのことを、もっと知りたいと思っていますよ」という姿勢を示すことです。
もし、いきなり3つのアプローチをすべて試すのが難しいと感じるなら、まずは一番ハードルが低い(かもしれない)「極論誘導」から試してみてはいかがでしょうか?
お客様との雑談の中で、「いやー、働き方って、本当に人それぞれですよね。毎日定時でピタッと帰る人もいれば、仕事が趣味!ってくらい没頭する人もいて…〇〇さんは、どんなバランスで働くのが理想ですか?」といった感じで、さりげなく切り出してみる。
あるいは、一番リスクが少ない(かもしれない)のは、ポジティブな側面に絞って「真剣に当てる」を試してみること。「〇〇さんとお話していると、すごく前向きなエネルギーをもらえますね。きっと、普段から周りの人を明るくされているんだろうなって思いました」といった形で伝えれば、たとえ少し的外れだったとしても、相手が不快に思う可能性は低いでしょう。
営業職のロープレや、社内の営業会議などで、同僚相手に練習してみるのも良い方法です。経営者であれば、幹部や社員との1on1ミーティングの場で、少しずつ試してみるのも効果的です。
小さな成功体験を積み重ねていくうちに、徐々に自信がつき、自然にこれらのテクニックを使いこなせるようになっていきます。
まとめ:あなたも明日から「初対面の達人」になれる
長くなりましたが、最後に、今日の話をまとめておきましょう。
初対面の人との会話で、もう悩まない。相手の心をグッと掴み、一気に距離を縮めるための秘訣は、「私はあなたのことを、〇〇だと思いました」という、相手自身に焦点を当てたアプローチにあります。
その具体的な「投げ方」として、3つのテクニックをご紹介しました。
- わざと外す: 否定を誘って本音を引き出す、エンタメ系変化球。
- 極論誘導: 両極端を示して相手の価値観をあぶり出す、思考整理系テクニック。
- 真剣に当てる: 観察と洞察で核心を射抜き、信頼を勝ち取る、渾身のストレート。
そして、最も重要な心構えは、会話の焦点を、天気やニュースといった「事象」ではなく、目の前にいる「相手という人間そのもの」に向けること。
これらのスキルは、単に営業成績を上げるためだけのものではありません。経営者として社員の心をつかみ、強い組織を作るため。あるいは、プライベートで、より豊かで深い人間関係を築くため。人生のあらゆる場面で、あなたを助けてくれる「武器」となるはずです。
もちろん、一朝一夕にマスターできるものではないかもしれません。しかし、今日、この記事を読んで、「なるほど」と少しでも感じたのであれば、ぜひ、明日からの「初対面」で、ほんの少しだけ、意識して試してみてください。
もし、「初対面でこんなお客様との距離を縮めたい」「具体的な実践方法について、もっと詳しく相談したい」と感じられたら、ぜひ一度、私にご相談ください。
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あなたの、そして貴社の営業がお客様との初対面の不安を、ワクワクするような「出会いのチャンス」に変えていくお手伝いができることを楽しみにしています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。