受注を増やす「仮説の当て方」の技術 仮説の精度を上げるためにやるべきこと

「渾身の提案が、お客様にまったく響かない…」
「『なるほど』とは言われるが、そこから一歩も前に進まず、契約には至らない…」
「うちの営業は、どうしていつも“当たり障りのない話”しかできないんだろうか…」
企業の経営者や営業マネジャーであれば、自社の営業担当者が顧客の心を鷲掴みにし、次々と受注を決めてくる姿を夢見るのは当然のことです。
その鍵を握るのが、顧客自身も気づいていない課題の核心を突く「仮説力」である、という話も、あなたなら一度は聞いたことがあるでしょう。
しかし、現実はどうでしょうか。多くの営業担当者は、この「仮説」という言葉の魔力に囚われ、「当てなければならない」という強迫観念から、かえって当たり障りのない提案しかできなくなっています。
この記事は、そんな「仮説アレルギー」に陥っている営業担当者、そして彼らを率いるあなたのためのものです。
この記事を読めば、「仮説の精度を上げるために、まずやるべきことは何か?」という問いに対する、多くの人が見落としている、しかし極めて本質的な答えが分かります。
そして、あなたのチームが明日から、失敗を恐れず、顧客の心を動かす鋭い仮説を連発できるようになるための、具体的な「型」を手にすることができます。
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提案の“空振り” ~ 営業の心が折れる瞬間
あなたは、部下が持ち帰ってきた商談報告書に、静かにため息をついています。報告書には、こう書かれている。「お客様の課題について仮説をぶつけましたが、反応は芳しくなく、今回は見送りとなりました」
その商談のために、部下は業界動向を調べ、競合の動きを分析し、夜遅くまで提案資料を練り上げていました。そして、自信満々で臨んだ当日。
「御社の課題は、ずばり『若手人材の離職率の高さ』ですね!」
そう彼が切り出した瞬間、お客様の顔がわずかに曇ったのを、彼は見逃してしまいました。お客様は、静かにこう返します。
「…ああ、それね。よく言われるんですよ。もう3年前から、いろんな施策を打ってるんですけどね」
その一言で、場の空気は凍りつきます。彼が「これこそが本質だ」と信じて疑わなかった仮説は、顧客にとっては“聞き飽きた話”でしかなかったのです。用意してきた提案は、すべて前提が崩れ去り、頭は真っ白に。
その後は、しどろもどろになりながら、用意してきたサービスの説明を一方的に話すのが精一杯。ほうほうの体で会社に逃げ帰ってきた、というわけです。
この、自信満々の仮説が、見事に“空振り”に終わる瞬間。これこそ、営業という仕事において、最も心が折れる地獄の時間ではないでしょうか。
一度この経験をすると、人間は失敗を恐れるようになります。そして次の商談では、核心に触れるのを避け、誰にでも言えるような、当たり障りのない一般論に終始してしまうのです。これでは、安定した売上など、夢のまた夢です。
真面目な人ほど陥る「仮説をズバリ当てなくては」という呪い
そもそも、なぜこのような悲劇が起きるのでしょうか。それは、多くの営業担当者が、「仮説」に対して一つの大きな勘違いをしているからです。
それは、「仮説は、一発で当てなければならない」という、致命的な思い込みです。
優れた仮説が、「具体的で、本質を突いていて、新しい」ものであるべきなのは間違いありません。顧客が「そうそう、それが言いたかったんだ!」と膝を打つような、驚きと発見に満ちたものであれば、商談は一気に加速します。
しかし、考えてみてください。お客様の内部事情も、複雑な人間関係も、過去の失敗の歴史も知らない外部の人間が、そんな完璧な仮説をいきなり一発で提示できることなど、果たして可能なのでしょうか。答えは、否です。そんなことは、超能力でもない限り不可能です。
にもかかわらず、多くの営業担当者は、この「百発百中」という呪いに縛られています。当てることに意識が集中しすぎるあまり、たった一つの仮説を過度に信じ込み、それが外れた時のことを一切想定していない。だから、先ほどのような“空振り”に陥り、再起不能のダメージを負ってしまうのです。
あなたが、そしてあなたのチームがまずやるべきことは、仮説の「的中率」を上げようと躍起になることではありません。そうではなく、「安心して、仮説を外せるようになること」。これこそが、逆説的ですが、結果的に仮説の精度を上げるための、唯一の道なのです。
“安心して外せる”は作れる! 受注を増やす「最強の型」2選
「安心して外す、とはどういうことか?」 それは、仮説が外れても気まずくならず、商談の流れを止めず、むしろ次の展開に繋げられる「やり方」を、あらかじめ用意しておく、ということです。つまり「型」を持つことです。
この「型」さえあれば、営業担当者は三振を恐れず、大胆にバットを振ることができます。何度も振っているうちに、やがてボールの芯を食う感覚が身につき、ホームラン、すなわち大型契約が生まれるのです。ここでは、そのための具体的な「型」を2つ、ご紹介します。
【型1】外れた後の“フォロー”を必ず後ろに控えさせておく
私は、営業が持つべきネタを「1軍・2軍・3軍」で考えることを推奨しています。
- 1軍: 鉄板ネタ。誰に話しても確実にウケる、自社の最も強い実績や知見。
- 2軍: 五分五分のネタ。当たるかもしれないし、外れるかもしれない仮説。
- 3軍: 新しいネタ。まだ誰も試したことのない、斬新な切り口の仮説。
多くの営業は、失敗したくないからと1軍のネタばかりを使い、成長が止まります。一方で、いきなり3軍のネタ(=新しい仮説)だけを何の準備もなくぶつければ、外れた時に大怪我をします。
正解は、「常に3軍の仮説をぶつけ、外れた時のために、後ろに1軍を控えさせておく」ことです。
例えば、私が新しい仮説をぶつけてみて、お客様の反応がイマイチだったとします。その時、私は慌てません。すかさず、こう切り返すのです。
「なるほど、少し違いましたか。失礼いたしました。実はなぜ今の話をしたかというと、最近当社でよくご支援させていただくパターンとして、こういうケースが非常に多いんです」
そう言って、用意しておいた1軍の実績リストや事例集をお見せする。
こうすれば、仮に仮説が外れたとしても、「なるほど、この会社は色々なケースを知っているんだな」という印象を残すことができ、商談の主導権を失わずに済みます。この「転ばぬ先の杖」があるからこそ、私は日々、新しい仮説(3軍)を恐れずにお客様にぶつけ、自分の知見をアップデートし続けることができるのです。
【型2】ダメージを無効化する、魔法の“枕詞”を使いこなす
「御社の課題を一発で当てて見せましょう!」などという前振りは、最悪です。お客様の期待値というハードルを、自ら極限まで上げているようなものです。仮説は、あくまでも「さりげなく」切り出すのが鉄則。そのための魔法の言葉が、「枕詞」です。
私がよく使う枕詞は、2種類あります。
① ソフトな仮説を出す時の枕詞:「表に出ている情報から、もしかしたらこうかなと考えたのですが…」
これは、自分の情報源が限られていることを、あえて先に開示するテクニックです。
ホームページや公開情報だけを見て考えた、という前提を伝えることで、もし仮説が外れても、お客様は「ああ、内部の情報を知らないなら、そう見えるのも仕方ないな」と納得してくれます。営業担当者としても、「いや、公開情報からだと、こう考えられませんか?」と、議論を前に進めることができます。
② 踏み込んだ仮説を出す時の枕詞:「もし私が御社の立場だったら、と“勝手に妄想”してみたのですが…」
これは、より大胆なアクションプランなどを提案する際に、絶大な効果を発揮します。
ポイントは「勝手に妄想」という部分です。妄想は、個人の自由です。誰にも迷惑はかけません。この一言を添えるだけで、あなたの提案は「決めつけ」ではなく、「一個人のアイデア」という柔らかい衣をまとうことができます。
そして、もしその“妄想”がお客様の心の琴線に触れたなら、「いやぁ、すごい!なんでそこまで分かるんですか!?」と、絶賛に変わります。外れてもダメージはほぼゼロ、当たれば効果は絶大。これほどローリスク・ハイリターンなコミュニケーション術は、他にありません。
まずは「勝手に妄想してみたんですけど」と呟いてみる勇気
鋭い仮説を立てられる営業と、そうでない営業。その差は、才能やセンスではありません。それは、「安心して外せる“型”を知っているか、知らないか」。ただ、それだけなのです。
型があるから、安心してたくさん仮説を出せる。 たくさん出すから、そのうち何かが当たる。 当たる経験を繰り返すうちに、「当たり方」の感覚が身につき、仮説の精度が自然と上がっていく。
この好循環を生み出すことこそ、経営者やマネジャーである、あなたの仕事です。
もし、この記事を読んで、何か一つでも試してみようと思っていただけたなら、ぜひ次の顧客との会話で、この言葉を使ってみてください。
「〇〇様の立場だったらどうするか、と、昨日から勝手に妄想してみたんですけど…ちょっとお話してもいいですか?」
この一言が、あなたのチームの営業を、そして会社の売上を、根底から変える、魔法の呪文になるかもしれません。
“空振り”を恐れるチームに、未来のホームランは生まれない
あなたの会社の営業担当者は、失敗を恐れてバットを振ることすらしないまま、ただ打席に立ち尽くしていませんか?それでは、永久に得点、すなわち売上が生まれることはありません。
「安心して空振りできる“型”」を組織に導入し、誰もがホームランを狙ってフルスイングできる。そんな強いチームを作ることこそが、これからの時代を生き抜くための、唯一の道です。
もし、
- 営業担当者の「仮説力」を、組織的に底上げしたい…
- 商談の質を劇的に高め、安定的に受注できる仕組みを作りたい…
- “空振り”を恐れない、挑戦的なカルチャーを組織に根付かせたい…
と、本気でお考えの経営者の方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度、私たちにご相談ください。 私たちは、営業担当者一人ひとりが持つポテンシャルを最大限に引き出し、科学的なアプローチで「勝てる型」を組織にインストールする、その道のプロフェッショナルです。
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あなたの、そして貴社の営業が、お客様から心から信頼され、選ばれ続ける存在になるためのお手伝いができることを、楽しみにしています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。