受注を増やす「仮説の当て方」の技術 仮説の精度を上げるためにやるべきこと

「渾身の提案が、お客様にまったく響かない…」

「『なるほど』とは言われるが、そこから一歩も前に進まず、契約には至らない…」

「うちの営業は、どうしていつも“当たり障りのない話”しかできないんだろうか…」

企業の経営者や営業マネジャーであれば、自社の営業担当者が顧客の心を鷲掴みにし、次々と受注を決めてくる姿を夢見るのは当然のことです。

その鍵を握るのが、顧客自身も気づいていない課題の核心を突く「仮説力」である、という話も、あなたなら一度は聞いたことがあるでしょう。

しかし、現実はどうでしょうか。多くの営業担当者は、この「仮説」という言葉の魔力に囚われ、「当てなければならない」という強迫観念から、かえって当たり障りのない提案しかできなくなっています。

この記事は、そんな「仮説アレルギー」に陥っている営業担当者、そして彼らを率いるあなたのためのものです。

この記事を読めば、「仮説の精度を上げるために、まずやるべきことは何か?」という問いに対する、多くの人が見落としている、しかし極めて本質的な答えが分かります。

そして、あなたのチームが明日から、失敗を恐れず、顧客の心を動かす鋭い仮説を連発できるようになるための、具体的な「型」を手にすることができます。

著者プロフィール

貴社の営業力を飛躍させる「実践型」コンサルタント

ベンチャー・大企業合わせて約20年以上営業現場経験を武器に、貴社に再現性のある「売れる仕組み」を構築します。

現在も営業職として現場の泥臭さを経験しているからこその営業視点を強みとして、座学研修のほか、今日からすぐに使える実践的なノウハウで、特に商談・プレゼン力の向上に貢献します。

「売上を伸ばしたいが、何から手をつければ…」とお悩みの経営者・営業部長様へ、実践型コンサルティングで、貴社の営業チームを強化し、確かな成果へと導きます。

目次

提案の“空振り” ~ 営業の心が折れる瞬間

今回のコラムの超要約資料を先に確認する

あなたは、部下が持ち帰ってきた商談報告書に、静かにため息をついています。報告書には、こう書かれている。「お客様の課題について仮説をぶつけましたが、反応は芳しくなく、今回は見送りとなりました」

その商談のために、部下は業界動向を調べ、競合の動きを分析し、夜遅くまで提案資料を練り上げていました。そして、自信満々で臨んだ当日。

「御社の課題は、ずばり『若手人材の離職率の高さ』ですね!」

そう彼が切り出した瞬間、お客様の顔がわずかに曇ったのを、彼は見逃してしまいました。お客様は、静かにこう返します。

「…ああ、それね。よく言われるんですよ。もう3年前から、いろんな施策を打ってるんですけどね」

その一言で、場の空気は凍りつきます。彼が「これこそが本質だ」と信じて疑わなかった仮説は、顧客にとっては“聞き飽きた話”でしかなかったのです。用意してきた提案は、すべて前提が崩れ去り、頭は真っ白に。

その後は、しどろもどろになりながら、用意してきたサービスの説明を一方的に話すのが精一杯。ほうほうの体で会社に逃げ帰ってきた、というわけです。

この、自信満々の仮説が、見事に“空振り”に終わる瞬間。これこそ、営業という仕事において、最も心が折れる地獄の時間ではないでしょうか。

一度この経験をすると、人間は失敗を恐れるようになります。そして次の商談では、核心に触れるのを避け、誰にでも言えるような、当たり障りのない一般論に終始してしまうのです。これでは、安定した売上など、夢のまた夢です。

真面目な人ほど陥る「仮説をズバリ当てなくては」という呪い

そもそも、なぜこのような悲劇が起きるのでしょうか。それは、多くの営業担当者が、「仮説」に対して一つの大きな勘違いをしているからです。

それは、「仮説は、一発で当てなければならない」という、致命的な思い込みです。

優れた仮説が、「具体的で、本質を突いていて、新しい」ものであるべきなのは間違いありません。顧客が「そうそう、それが言いたかったんだ!」と膝を打つような、驚きと発見に満ちたものであれば、商談は一気に加速します。

しかし、考えてみてください。お客様の内部事情も、複雑な人間関係も、過去の失敗の歴史も知らない外部の人間が、そんな完璧な仮説をいきなり一発で提示できることなど、果たして可能なのでしょうか。答えは、否です。そんなことは、超能力でもない限り不可能です。

にもかかわらず、多くの営業担当者は、この「百発百中」という呪いに縛られています。当てることに意識が集中しすぎるあまり、たった一つの仮説を過度に信じ込み、それが外れた時のことを一切想定していない。だから、先ほどのような“空振り”に陥り、再起不能のダメージを負ってしまうのです。

あなたが、そしてあなたのチームがまずやるべきことは、仮説の「的中率」を上げようと躍起になることではありません。そうではなく、「安心して、仮説を外せるようになること」。これこそが、逆説的ですが、結果的に仮説の精度を上げるための、唯一の道なのです。

“安心して外せる”は作れる! 受注を増やす「最強の型」2選

「安心して外す、とはどういうことか?」 それは、仮説が外れても気まずくならず、商談の流れを止めず、むしろ次の展開に繋げられる「やり方」を、あらかじめ用意しておく、ということです。つまり「型」を持つことです。

この「型」さえあれば、営業担当者は三振を恐れず、大胆にバットを振ることができます。何度も振っているうちに、やがてボールの芯を食う感覚が身につき、ホームラン、すなわち大型契約が生まれるのです。ここでは、そのための具体的な「型」を2つ、ご紹介します。

【型1】外れた後の“フォロー”を必ず後ろに控えさせておく

私は、営業が持つべきネタを「1軍・2軍・3軍」で考えることを推奨しています。

  • 1軍: 鉄板ネタ。誰に話しても確実にウケる、自社の最も強い実績や知見。
  • 2軍: 五分五分のネタ。当たるかもしれないし、外れるかもしれない仮説。
  • 3軍: 新しいネタ。まだ誰も試したことのない、斬新な切り口の仮説。

多くの営業は、失敗したくないからと1軍のネタばかりを使い、成長が止まります。一方で、いきなり3軍のネタ(=新しい仮説)だけを何の準備もなくぶつければ、外れた時に大怪我をします。

正解は、「常に3軍の仮説をぶつけ、外れた時のために、後ろに1軍を控えさせておく」ことです。

例えば、私が新しい仮説をぶつけてみて、お客様の反応がイマイチだったとします。その時、私は慌てません。すかさず、こう切り返すのです。

「なるほど、少し違いましたか。失礼いたしました。実はなぜ今の話をしたかというと、最近当社でよくご支援させていただくパターンとして、こういうケースが非常に多いんです」

そう言って、用意しておいた1軍の実績リストや事例集をお見せする。

こうすれば、仮に仮説が外れたとしても、「なるほど、この会社は色々なケースを知っているんだな」という印象を残すことができ、商談の主導権を失わずに済みます。この「転ばぬ先の杖」があるからこそ、私は日々、新しい仮説(3軍)を恐れずにお客様にぶつけ、自分の知見をアップデートし続けることができるのです。

【型2】ダメージを無効化する、魔法の“枕詞”を使いこなす

「御社の課題を一発で当てて見せましょう!」などという前振りは、最悪です。お客様の期待値というハードルを、自ら極限まで上げているようなものです。仮説は、あくまでも「さりげなく」切り出すのが鉄則。そのための魔法の言葉が、「枕詞」です。

私がよく使う枕詞は、2種類あります。

① ソフトな仮説を出す時の枕詞:「表に出ている情報から、もしかしたらこうかなと考えたのですが…」

これは、自分の情報源が限られていることを、あえて先に開示するテクニックです。

ホームページや公開情報だけを見て考えた、という前提を伝えることで、もし仮説が外れても、お客様は「ああ、内部の情報を知らないなら、そう見えるのも仕方ないな」と納得してくれます。営業担当者としても、「いや、公開情報からだと、こう考えられませんか?」と、議論を前に進めることができます。

② 踏み込んだ仮説を出す時の枕詞:「もし私が御社の立場だったら、と“勝手に妄想”してみたのですが…」

これは、より大胆なアクションプランなどを提案する際に、絶大な効果を発揮します。

ポイントは「勝手に妄想」という部分です。妄想は、個人の自由です。誰にも迷惑はかけません。この一言を添えるだけで、あなたの提案は「決めつけ」ではなく、「一個人のアイデア」という柔らかい衣をまとうことができます。

そして、もしその“妄想”がお客様の心の琴線に触れたなら、「いやぁ、すごい!なんでそこまで分かるんですか!?」と、絶賛に変わります。外れてもダメージはほぼゼロ、当たれば効果は絶大。これほどローリスク・ハイリターンなコミュニケーション術は、他にありません。

まずは「勝手に妄想してみたんですけど」と呟いてみる勇気

鋭い仮説を立てられる営業と、そうでない営業。その差は、才能やセンスではありません。それは、「安心して外せる“型”を知っているか、知らないか」。ただ、それだけなのです。

型があるから、安心してたくさん仮説を出せる。 たくさん出すから、そのうち何かが当たる。 当たる経験を繰り返すうちに、「当たり方」の感覚が身につき、仮説の精度が自然と上がっていく。

この好循環を生み出すことこそ、経営者やマネジャーである、あなたの仕事です。

もし、この記事を読んで、何か一つでも試してみようと思っていただけたなら、ぜひ次の顧客との会話で、この言葉を使ってみてください。

「〇〇様の立場だったらどうするか、と、昨日から勝手に妄想してみたんですけど…ちょっとお話してもいいですか?」

この一言が、あなたのチームの営業を、そして会社の売上を、根底から変える、魔法の呪文になるかもしれません。

今回のコラムの超要約資料を最後に確認する

“空振り”を恐れるチームに、未来のホームランは生まれない

あなたの会社の営業担当者は、失敗を恐れてバットを振ることすらしないまま、ただ打席に立ち尽くしていませんか?それでは、永久に得点、すなわち売上が生まれることはありません。

「安心して空振りできる“型”」を組織に導入し、誰もがホームランを狙ってフルスイングできる。そんな強いチームを作ることこそが、これからの時代を生き抜くための、唯一の道です。

もし、

  • 営業担当者の「仮説力」を、組織的に底上げしたい…
  • 商談の質を劇的に高め、安定的に受注できる仕組みを作りたい…
  • “空振り”を恐れない、挑戦的なカルチャーを組織に根付かせたい…

と、本気でお考えの経営者の方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度、私たちにご相談ください。 私たちは、営業担当者一人ひとりが持つポテンシャルを最大限に引き出し、科学的なアプローチで「勝てる型」を組織にインストールする、その道のプロフェッショナルです。

まずは、60分間の無料オンライン相談で、貴社の現状の課題や、目指したい未来について、気軽にお話しいただければと思います。無理な勧誘は一切いたしませんので、ご安心ください。下記のリンクから、今すぐ無料相談にお申し込みいただけます。

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あなたの、そして貴社の営業が、お客様から心から信頼され、選ばれ続ける存在になるためのお手伝いができることを、楽しみにしています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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トレテク代表 久保埜 実(くぼの みのる)
セールスパーソン戦力化コンサルタント
【著者プロフィール】

医療系企業の営業職として従事しながら、“セールスパーソン戦力化コンサルタント”として、東京都八王子市と日野市を中心に事業を展開。
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