営業の関係構築は「入り口」で決まる!初対面で信頼を勝ち取る戦略

「何度訪問しても、なかなかお客様との距離が縮まらない…」

「初対面の印象が悪かったのか、その後のアポイントすら取れない…」

「時間をかければ関係は築けると思っていたのに、全く進展がない…」

営業の現場で、お客様との関係構築に悩んでいる方は少なくないでしょう。多くの営業担当者や経営者は、「お客様との信頼関係は、時間をかけて少しずつ築いていくもの」だと考えています。しかし、実はそれだけでは不十分なのです。

この記事では、法人営業・個人営業を問わず、誰もが直面する「お客様との関係構築」について、最も重要でありながら見落とされがちな「入り口戦略」をお伝えします。

読み終える頃には、初対面の数分間で何をすべきか、そして何を避けるべきかが明確になり、明日からの営業活動が劇的に変わるはずです。

目次

時間をかけても関係が築けない、本当の理由

多くの営業担当者が陥る罠があります。それは「回数を重ねれば、いつか関係が築ける」という思い込みです。

確かに、何度も打ち合わせを重ね、長い時間をかけてお互いを理解し合い、徐々に信頼関係を構築していく…。これは理想的な関係構築のプロセスに見えます。

しかし、現実はどうでしょうか?

新規のお客様にテレアポやインサイドセールスでアプローチする場面を想像してみてください。何回電話しても繋がらない。ようやく話せても、断片的な会話だけで終わってしまう。初対面から数ヶ月が経過しているにもかかわらず、全く関係が構築できる気配がない…。

このような経験は、営業をしている方なら誰しも覚えがあるのではないでしょうか。

ここから分かることは、「時間をかければ良い」「回数を重ねれば良い」というのは、関係構築の必要条件ではあっても、十分条件ではないということです。どれだけ時間をかけても、どれだけ接触回数を増やしても、関係が構築できないケースは確実に存在するのです。

では、何が足りないのでしょうか? その答えが、今日のテーマである「入り口」にあります。

関係構築の成否を分ける「入り口の前提」とは

営業における関係構築の成否は、実は最初の出会い、つまり「入り口」で大きく左右されます。そして、その入り口で最も重要になるのが、「お客様が過去にどんな購買体験をしてきたか」という前提なのです。

お客様の状況は、大きく分けて2つのパターンに分類できます。

パターン①:過去に購買経験がある場合

パターン②:過去に購買経験がない場合

この2つのパターンでは、お客様の心理状態も、営業担当者が取るべき戦略も、全く異なります。それぞれについて、具体的に見ていきましょう。

パターン①:過去に購買経験があるお客様への戦略

お客様が過去に何度か購買経験を持っている場合、その以前の購買体験が、あなたとの関係構築に非常に強い影響を与えます。

特に注意すべきなのは、お客様が過去に嫌な売り込みを受けた経験がある場合です。

例えば、過去に強引な営業を受けた。約束したことが守られなかった。期待していたものと全く違う商品が届いた…。このような不快な体験をしたお客様は、新しい営業担当者に対して、最初から警戒心を持っています。

ここで重要なポイントがあります。

お客様がシャットアウト気味だったり、コンサバティブ(保守的)な態度を取ったりする理由は、あなたの営業アプローチが悪いからではありません。それは、過去の他の営業担当者が与えたマイナス体験が原因なのです。

つまり、あなたとは全く関係のない、過去の出来事の影響を、あなたが受けてしまっているということです。

これは、行動経済学でいう「プロスペクト理論」とも関連します。人間は未来の出来事に対して、メリットよりもデメリットやリスクを重く見がちです。悪いことが起こらないように気をつけようという気持ちが、どうしても働いてしまうのです。

実例:文章だけのやり取りが生んだ失敗

ここで、筆者自身の購買体験をお話しします。

最近、ある業者とメールのやり取りだけで打ち合わせが不十分なまま、提案を受けたことがありました。これが、大失敗だったのです。

私自身、購買側に回るときは、営業担当者がやりやすいように、要件を具体的に、解釈や判断が生じないように気をつけて書いています。しかし、こちら側が一方的に定義するだけでは、残念ながら伝わらないという現実を痛感しました。

ちょうど同じ時期に、別の業者から営業を受けたのですが、その方は「文章だけのすり合わせだけだと不安なので、ぜひオンラインで一度打ち合わせしませんか?」と提案してくれました。

正直、日常的にスケジュールが詰まっているため、オンライン打ち合わせの時間を避けたい気持ちはありました。しかし、相手が「必要だから」と言うので、一度打ち合わせをしてみたところ、本当にやって良かったと思えたのです。

この経験から、私の中に「文章だけのやり取りは危険である」「事前のすり合わせをするかどうかが大事だ」という強い学びが刻まれました。

もちろん、これは絶対的な原理原則ではありません。ケースバイケースではあります。しかし、一度この経験をしてしまった以上、これから何かを購買する際には、事前のすり合わせを非常に重視するようになるでしょう。

これが、過去の購買体験が未来の購買行動に与える影響なのです。

過去のマイナス体験を感じさせない入り口を作る

では、過去に購買経験があるお客様に対して、営業担当者は何をすべきでしょうか?

答えはシンプルです。過去の他の営業担当者がやってきたであろうマイナス体験を、絶対に感じさせないことです。

具体的には:

  • 強引な売り込みをしない
  • 約束を必ず守る
  • お客様のペースを尊重する
  • 一方的に話さず、まず聞く姿勢を示す
  • 不明点があれば、すぐに確認する

「当たり前のことじゃないか」と思われるかもしれません。しかし、この当たり前が、過去のマイナス体験を持つお客様にとっては、とても重要なのです。

お客様は、あなたが「過去の嫌な営業とは違う」と感じた瞬間に、初めて心を開き始めます。これが、関係構築の入り口なのです。

パターン②:過去に購買経験がないお客様への戦略

次に、お客様側に購買経験がない場合を考えてみましょう。

初めての購買というのは、誰にとっても不安なものです。失敗したくない。でも、何を基準に選べば良いのか分からない。自分の判断に自信が持てない…。

このような状態のお客様は、何を求めるでしょうか?

それは、頼れる存在です。

不安な状況で、もし目の前に「この人なら信頼できそうだ」と思える営業担当者が現れたら、お客様は自然とその人を頼りたくなります。つまり、購買経験がないお客様に対しては、入り口の段階で「頼りになる」ということを示すことが、関係構築の鍵となるのです。

「頼りになる」を示す、間違った方法

ここで注意が必要です。多くの営業担当者が、「頼りになる」ことを示そうとして、間違ったアプローチをしてしまいます。

それは、できもしないことを「できます」と言ってしまうことです。

確かに、「できます!」「大丈夫です!」と断言する営業担当者の方が、一見すると頼りがいがあるように見えます。しかし、これは非常に危険です。

なぜなら、後になって「あれ? できるって言ったのに、できないじゃないですか」という事態になれば、お客様は大きく失望します。これが、新たなマイナス体験となり、関係構築どころか、契約の破談、最悪の場合はクレームにも繋がりかねません。

同様に、多くの営業担当者がやってしまいがちなのが:

  • 「実績があります、大丈夫です!」
  • 「経験があります、大丈夫です!」
  • 「私はこの業界で○年やってます!」

といった、抽象的なレベルでの自己アピールです。

これらの言葉は、一見すると説得力がありそうに聞こえます。しかし、実はお客様の誤認識を生みやすく、後でがっかりさせる可能性が非常に高いのです。

なぜなら、「実績」「経験」という言葉は、あまりにも抽象的で、お客様とあなたの間で、イメージにズレが生じやすいからです。

お客様は「実績がある」と聞いて、自分と似たような状況での成功事例を想像するかもしれません。しかし、あなたの言う「実績」は、全く異なる業界や規模での事例かもしれない。このズレが、後の「期待ギャップ」を生むのです。

正解は「具体的なサンプル」を示すこと

では、どうすれば良いのでしょうか?

答えは極めて明確です。具体的な出来事のサンプルを挙げることです。

例えば:

「御社と同じような規模の製造業のお客様から、『納期管理が属人化していて困っている』というご相談を受けたことがあります。
その時は、まず現場の方3名にヒアリングをさせていただき、業務フローを可視化するところから始めました。
その結果、納期遅延が月平均で30%削減できたんです」

このように、具体的な状況、具体的な課題、具体的な対応、具体的な成果を語ることで、お客様は「ああ、この人は本当に経験しているんだな」「自社の状況も理解してくれそうだ」と感じます。

具体的なエピソードには、嘘がつけません。また、お客様も自社の状況と似ているかどうかを判断できます。これにより、期待のズレが生じにくくなるのです。

重要なのは、件数や年数ではありません。たとえ1件でも、2件でも、具体的なエピソードを語れることの方が、遥かに信頼に繋がります。

抽象的に「経験があります」と言うのではなく、具体的に「こういう出来事がありました」「こういうお客様に、こういうことをしました」と伝える。これが、購買経験のないお客様に「頼りになる」と感じてもらう、最も確実な方法なのです。

関係構築の入り口で、営業の未来が決まる

ここまでをまとめましょう。

お客様との関係構築は、時間や回数をかければ自動的に進むものではありません。最初の入り口、つまり初対面の段階で何をするかが、その後の関係性を大きく左右します。

お客様が過去に購買経験がある場合は、過去の他の営業が与えたマイナス体験を絶対に感じさせないこと。お客様の警戒心を解くことが、第一歩です。

お客様が過去に購買経験がない場合は、頼りになることを示すこと。ただし、抽象的な「できます」「経験があります」ではなく、具体的な出来事のサンプルを語ることで、信頼を勝ち取ることができます。

この「入り口戦略」を意識するだけで、新規のお客様へのアプローチは劇的に変わります。売上や受注の数字にも、確実に変化が現れるはずです。

まずは「初対面の3分間」を見直してみよう

この記事を読んで、何か気づきを得られたでしょうか?

知識として理解することも大切ですが、最も重要なのは、実際の現場で試してみることです。とはいえ、いきなり全てを変えるのは難しいかもしれません。

でしたら、まずは小さな一歩から始めてみませんか?

次に新規のお客様と初めて会う時、最初の3分間で自分が何を話しているかを意識してみてください。

  • 「実績があります」「経験があります」という抽象的な言葉を使っていませんか?
  • お客様の過去の購買体験に配慮した言葉選びをしていますか?
  • 具体的なエピソードを1つでも語れていますか?

この3分間を変えるだけで、お客様の反応が変わります。そして、その後の商談の流れも、受注の可能性も、大きく変わっていくのです。

強い営業組織を作りたい経営者の方へ

あなたの会社の営業担当者は、お客様との関係構築において、正しい「入り口戦略」を実践できているでしょうか?

多くの経営者や営業マネジャーは、「もっと訪問回数を増やせ」「もっと粘り強くアプローチしろ」と指示を出します。しかし、回数を増やすだけでは、売上は伸びません。

大切なのは、最初の接点で何をするかです。入り口で信頼を勝ち取れる営業担当者と、そうでない営業担当者では、その後の受注率に雲泥の差が生まれます。

もし、

  • 営業チーム全体の関係構築力を底上げしたい…
  • 新規顧客の獲得率を高め、売上を安定させたい…
  • 営業担当者一人ひとりが、自信を持ってお客様と向き合える組織を作りたい…

と、本気でお考えの経営者の方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度ご相談ください。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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トレテク代表 久保埜 実(くぼの みのる)
セールスパーソン戦力化コンサルタント
【著者プロフィール】

医療系企業の営業職として従事しながら、“セールスパーソン戦力化コンサルタント”として、東京都八王子市と日野市を中心に事業を展開。
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