新規訪問で案件化率を3倍にする「誤解を解く」営業戦略

「初回訪問では話を聞いてもらえたのに、その後の提案につながらない…」

「サービス紹介はしたけれど、お客様の反応が薄く、案件化できない…」

「新規のお客様との商談で、いつも空回りしている気がする…」

新規営業の現場で、このような悩みを抱えている営業担当者は多いのではないでしょうか。初回訪問でお客様と接点を持てたものの、そこから先の提案や契約にまで進めない。熱量の低いお客様を、どうやって案件化まで持っていけば良いのか分からない…。

この記事は、そんな新規営業の壁に悩む営業担当者、そして営業組織の売上拡大を目指す経営者やマネジャーの方々のために書きました。

この記事を読めば、多くの営業が見落としている「お客様の誤解を解く」という視点から、初回訪問の案件化率を劇的に高める具体的な方法が分かります。

目次

新規営業の「当たり前」が、案件化を遠ざけている

新規のお客様との初回訪問。まだ接点がほとんどない状態で、お客様の熱量も高くない。このような状況で、多くの営業担当者は何をするでしょうか?

おそらく、以下のようなアプローチを取るのではないでしょうか。

  • 自社のサービス紹介をする
  • 会社の実績や強みを説明する
  • お客様のニーズを聞き出そうとする
  • ニーズにマッチすれば提案につなげる

このアプローチ自体は、決して間違っていません。サービスの内容とお客様のニーズがマッチすれば、確かに案件化につながります。しかし、このやり方だけでは、案件化率を大きく伸ばすことは難しいのです。

なぜなら、多くの営業担当者が着目していない、極めて重要なポイントが存在するからです。

それが、「お客様の誤解を解く」ということです。

なぜ「誤解を解く」ことが案件化のカギなのか

「誤解を解く?それはどういうことだろう?」と思われるかもしれません。

ここで、重要な前提をお話しします。お客様とあなたの間には、必ず情報ギャップが存在します。そして、どんなに良いサービスだったとしても、それを正しく理解してもらうことは、想像以上に難しいのです。

これは「難しい」というよりも、「難易度が非常に高い」という客観的な事実です。この事実を真摯に受け止めた上で営業活動をするかどうかが、受注率や売上を大きく左右します。

サービスの価値は、伝わっているようで伝わっていない

例えば、あなたが「このサービスは、こういう課題を解決できます」「こういうメリットがあります」と説明したとします。

営業担当者であるあなたは、お客様のことはまだよく分からない状態です。しかし、自社のサービスについては話せます。そこそこ流暢に説明できるでしょう。

ここで、2つのパターンが生まれます。

パターンA:文脈がぴったり合った場合 「まさにそれは欲しかったものです!ぜひ購入させてください。ちなみにおいくらですか?」

パターンB:文脈が合わない場合 「それ、本当に効果あるんですか?もうちょっと安くなりませんか?」

この違いは何でしょうか?

それは、お客様のニーズと提供価値のすり合わせ、つまりマッチングができているかどうかです。そして、多くの場合、お客様の側には思い込みや誤解が、かなり高い確率で発生しているのです。

この誤解を放置したまま営業活動を進めても、案件化にはつながりません。逆に言えば、この誤解を解消することができれば、案件化率は劇的に上がるのです。

営業現場で実際に起こっている「誤解」の実例

筆者は、営業研修やコンサルティングを提供する会社を経営しています。現場の感覚を理解するため、自らも商談に参加するようにしているのですが、そこで非常によく聞くセリフがあります。

「御社は、こういうこともやってくれるんですね!」

あるいは、逆のパターンもあります。

「こういうことはやってくれるのかと思ったら、やってくれないんですね」

このようなセリフからわかることは、お客様は、あなたの会社が「やってくれること」「やってくれないこと」について、一定の期待や認識を持っているということです。

この認識が、良い方向に働くこともあれば、悪い方向に働くこともあります。そして、案件化につながらないとき、その認識が悪い方向に作用していることは本当にないでしょうか?

これが、営業が見落としがちな重要なポイントなのです。

お客様は「外れ営業」だと証明したがっている

ここで、人間心理の話をしましょう。

人間には、自分を正当化するバイアスがあります。自分の判断や意思決定が正しいものだと思いたい。誰しも、間違った意思決定をしたとは思いたくないものです。

新規のアポイントを想像してみてください。お客様は、他の仕事で忙しい中、時間を割いて商談に臨んでいます。

お客様の心の中には、相反する2つの思いがあります。

  • 「良い話が聞けたら嬉しいな」
  • 「この会社も、どうせ外れだろうな」

確率的に考えると、どちらが多いでしょうか?圧倒的に外れアポイントの方が多いのが現実です。

お客様の立場に立てば、「早く外れだとはっきりさせて、通常業務に戻りたい」という深層心理が働くのは、自然なことです。そして、自分の判断が正しいと思いたいので、無意識のうちに「あら探し」をするのです。

つまり、多くの新規商談は、「あなたは外れ営業だ」という前提からスタートしているということです。

些細なことが、すべて「外れ証拠」になる

この心理状態のお客様の前では、どんなに頑張っても、些細なマイナス要素が見つけられてしまいます。

  • 服装が少しカジュアル → 「この人は営業として良くないんだろうな」
  • 言葉遣いが多少ラフ → 「経験がそんなにないんだろうな」
  • 資料の誤字 → 「細かいところに気が回らないタイプだな」

どんなに気をつけても、失点の材料をゼロにすることはできません。

では、どうすれば良いのでしょうか?

答えは明確です。マイナス要素を上回る「圧倒的なプラス要素」を、再現性高く提供することです。

案件化率を上げる「誤解を解く」3ステップ

では、具体的にどのようにすれば、お客様の誤解を解き、案件化率を上げることができるのでしょうか?ここでは、実践的な3つのステップをご紹介します。

ステップ1:お客様の会社の社員になったつもりで、一日をイメージする

多くの営業担当者は、事前準備として「お客様の会社のホームページを見る」「業界情報をチェックする」という程度のことはしています。

しかし、それ以上に何をしたら良いのか、実はよく分かっていないのではないでしょうか?

ここで効果的なのが、お客様の会社の社員になったつもりで、その一日をイメージしてみるということです。

ただし、漠然とイメージするのではなく、自社の商品やサービスに関係する業務について、具体的に想像します。

例えば、業務効率化のデジタルツールを提供する会社の営業だとしましょう。その場合、お客様の会社の総務部の人が、どんな一日を過ごしているのかを想像するのです。

「朝9時に出社して、まずメールチェック。その後、社内からの問い合わせ対応。昼休みを挟んで、午後は会議室の予約管理や備品発注…」

このように、お客様の会社の日常を、できるだけリアルにイメージします。

今の時代、AIという便利なツールがあります。ChatGPTなどに「○○業界の総務部の人が、どんな一日を過ごしているか、詳しく教えてください」と質問すれば、かなり具体的なイメージが得られます。

さらに、「そこに、業務効率化ツールが導入されたら、その一日はどう変わるか?」と追加で質問すれば、より解像度の高いイメージが描けるでしょう。

このように、お客様のオフィスで実際に起こっていることを、リアルに想像するだけで、商談での会話が劇的に変わるのです。

ステップ2:仮説を持って商談に臨み、確認しながら話す

イメージの解像度を上げてから商談に臨むと、会話が全く変わります。

購買側の立場に立つと、大半の営業担当者は、お客様の会社のことを調べず、型通りのことを話すだけです。その中で、もしあなたが、

「御社の総務部の方は、おそらく毎日こういった業務をされているのではないでしょうか。そうすると、こういった課題が発生しているかと思うのですが、いかがでしょうか?」

と、具体的な日常の姿をイメージした上で話せたらどうでしょうか?

お客様は、「この営業担当者は、うちのことをちゃんと理解しようとしている」と感じます。これだけで、「普通の営業とは違う」という認識が生まれるのです。

ただし、ここで重要なのは、決めつけの会話にしないことです。

「私が事前に考えてきた仮説なのですが、御社のことを正しく理解したいので、少し詳しく聞かせていただけませんか?」

このように前置きした上で、一つ一つ確認しながらヒアリングを進めます。

そうすることで、事前に描いていたイメージを、お客様の実情に合わせて軌道修正できます。結果として、より的確な提案につながるのです。

ステップ3:仮説は「誤解を解くための手段」と位置づける

ここで、大切な考え方をお伝えします。

事前に用意した仮説は、それ自体が目的ではありません。仮説は、お客様との誤解を解くための、様々なヒアリングをさせていただく許可をいただくための手段なのです。

お客様に対して、

「事前にこのように考えてきたのですが、これがずれているといけないので、ぜひ詳しく話を聞かせてください」

と伝えることで、お客様は、

「ちゃんと準備してくれているのはありがたい。でも、ここは少しずれているから、修正してあげよう」

という気持ちになります。そして、自発的に追加の情報を提供してくれるのです。

こうなれば、単に「営業の話を聞いて、不明点があれば質問する」という受け身の雰囲気ではなくなります。「どうやったらお客様がハッピーになるか」を一緒に考える、生産的な会話ができるようになるのです。

これこそが、自然と案件化率を高める状態なのです。

商談の大半は「お客様のこと」を話す時間にする

筆者自身が商談をする際、資料を使って説明することもありますが、会話の大半はお客様の会社の中のことを話している時間です。

筆者の場合、お客様の営業組織がテーマになることが多いため、

「御社の営業組織は、どんな構成になっていますか?」 「営業担当者の方々は、日々どんな課題を感じていますか?」 「過去に、営業強化で取り組まれたことはありますか?」

といった質問を中心に、お客様の現状を深く理解することに時間を使います。

そして、その結果として、自然と案件につながっていくのです。

なぜなら、お客様は「この人は、本当にうちのことを理解しようとしてくれている」と感じるからです。そして、お互いの誤解が解け、本当に必要な提案が見えてくるからです。

まずは「お客様の一日」を想像してみよう

この記事を読んで、何か気づきを得られたでしょうか?

新規営業の案件化率を上げるためには、サービス紹介を磨くだけでは不十分です。お客様の誤解を解き、本当に必要な価値を届けることが重要なのです。

とはいえ、いきなり全てを実践するのは難しいかもしれません。でしたら、まずは小さな一歩から始めてみませんか?

次に新規のお客様と商談する前に、その会社の社員の「一日」を想像してみてください。

朝、何時に出社して、どんな業務から始めるのか。午前中はどんなことに時間を使っているのか。どんな課題やストレスを感じているのか。

このイメージを持つだけで、商談での質問が変わります。会話が変わります。そして、お客様の反応が変わります。

騙されたと思って、一度試してみてください。

売上を伸ばしたい経営者の方へ

あなたの会社の営業担当者は、新規のお客様との初回訪問で、どれくらいの案件化率を達成できているでしょうか?

多くの経営者や営業マネジャーは、「もっと訪問件数を増やせ」「もっと提案の数を出せ」と指示を出します。しかし、量を増やすだけでは、売上は伸びません。

大切なのは、初回訪問の質を高め、案件化率を上げることです。一件一件の商談から、確実に受注につなげる営業組織を作ることです。

もし、

  • 営業チーム全体の案件化率を高め、売上を最大化したい…
  • 新規顧客の獲得を安定させ、経営を強化したい…
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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トレテク代表 久保埜 実(くぼの みのる)
セールスパーソン戦力化コンサルタント
【著者プロフィール】

医療系企業の営業職として従事しながら、“セールスパーソン戦力化コンサルタント”として、東京都八王子市と日野市を中心に事業を展開。
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