「これで合ってますか?」は禁句 課題認識をスマートにすり合わせるには

お客様の課題を正確に理解する。営業なら誰もが「当然大事」と答えます。ところが、いざ「その課題認識をズレなくすり合わせる」となると、途端に難易度が跳ね上がる。

この記事では、多くの営業が無意識にやっている失敗パターンと、センスも才能もいらない「スマートなすり合わせの型」を、私の現場経験をもとに具体的に解説します。読み終えた瞬間から、明日の商談で使える再現性のある技術です。

目次

売れない営業ほど「これで合ってますか?」と聞く理由

あなたはこう聞いていませんか。「御社の課題は、これこれという理解で合っていますか?」。実はこれ、売れない営業ほど多用する典型的な思考停止フレーズです。

なぜダメなのか。理由は単純で、お客様側に「言語化の負担」を丸投げしているからです。この聞き方をされたお客様の頭の中を想像してください。「間違いではないんだけど、なんか違う気がする…」というレベル感のとき、その「何が違うのか」を言葉にするのは、お客様にとって非常に難しい作業です。

結果、お客様は「はい、おおむね合ってます」と曖昧に頷く。営業は「すり合った」と勘違いする。この些細なズレが、後々の提案の的外れや失注につながっていくのです。

お客様の負担を消す「A or B」の選択式質問

では、どうするか。答えはシンプルで、「合ってますか?」ではなく「AとBだと、どっちに近いですか?」と聞くことです。

「これで合ってますか?」が使えるのは、営業側がすでに強い自信を持ち、ほぼズレがないと確信できているときだけ。そうでない大半の場面では、選択式が圧倒的に無難です。

たとえば、いまトレンドのAI活用を提案する場面。「御社の課題はAIで業務効率を上げること、で合っていますか?」と聞けば「はい」と返ってきますが、そこから先のディテールがまるで見えません。そこで、こう聞きます。

  • A:全社員が一律で、みんなが使うようにしたいのか
  • B:部署や業務ごとに効果が高いところを見極めて、そこで使いたいのか

選択式の最大のメリットは、お客様が一言で答えられることです。「今回は後者ですね」と即答できる。言語化の負担が一気に消えるのです。さらに深掘りするなら、Aと答えたお客様に「それは全員が一日一回はAIに触れる状態か、それとも業務を完全に自動化で置き換える状態か、どちらに近いですか?」と、選択肢を重ねていきます。

「AかBか」の連続がコミュニケーションを機械的にする落とし穴

ただし、ここに注意点があります。「AですかBですか」を延々と繰り返すと、まるで尋問のような機械的なコミュニケーションになってしまうのです。

そこで挟むのが「深掘り」です。お客様が「全員がある程度使えるようにしたい」と答えたら、すぐ次の選択肢を出すのではなく、こう返します。

「なるほど、そこで実現したいのはどういうことですか?もう少し詳しく伺ってもいいですか?」

選択式で答えた直後に深掘りをかぶせる。この流れなら、お客様のハードルは高くありません。すでに一言で方向性を決めているので、その先を語りやすいのです。「選択式」と「深掘り」を交互に使う。これが会話をなめらかにする型です。

多くの営業が誤解する「言語化の責任」という重荷

ここが本日、最もお伝えしたい発想の転換です。

多くの営業は、「お客様の課題を正確に言語化する責任を、最後まで営業が負う」と思い込んでいます。だからこそ、些細なズレまで気になって「〜ということで合っていますか?」と確認せずにいられない。しかし考えてみてください。他社の内情を、当のお客様以上にドンピシャで言い当てるなど、そもそも無理があるのです。

営業が言語化の主導権を握り続ける限り、どこまでいっても些細なズレは残り続けます。ではどうするか。言語化の主導権を、営業からお客様へ移すのです。

目指すのは、お客様が自分の言葉で、あたかも独り言のように、だんだん考えを整理していく会話の展開です。お客様が「うちは今こうこうこういう状態でして」と、自分の主導で語り出す。そして特定のキーワードが繰り返し出てくる——たとえば「AIが日常に溶け込んでいる状態が理想なんです」といった言葉が。

これが出たら、すかさず拾います。「その”日常に溶け込んでいる状態”って、具体的にはどういう状態ですか?逆に、溶け込んでいない今はどういう状態でしょう?」。すると、お客様自身が「人力でめんどくさかった部分が、自然となくなっていく状態ですね」と、自分で定義を固めていく。

お客様が自分で話すうちに言葉がまとまると、納得感がまるで違います。営業が代わりに要約して「〜であっていますか?」と確認するのとは、次元の異なる合意が生まれるのです。

「助けるが主役にはならない」相づちと問いのトレーニング

では、どうすればこの会話の展開を作れるのか。ポイントは「適度な相づち」と「時折の問いかけ」です。

「それって、日常に溶け込んでるってことですか?」と軽く問いかけ、「そうそう、そうなんです」と返ってきたら、少し様子を見る。お客様がその言葉にしっくりきているかを探る。要するに、助けはするが、主役にはならないというレベル感です。

難しく感じる方へ、具体的なトレーニング方法を一つ。

  1. まず、自分の言葉数を意識的に減らす。喋りすぎない状態をベースに置く。
  2. 最小限の言葉で、お客様に語ってもらうところまで到達できないか試す。
  3. どうしても言葉が出てこないと感じたときだけ、補足する。

誤解しないでほしいのは、「喋りすぎない」とは単に黙ることでも、お客様を気持ちよくさせるだけでもないということ。お客様が自分で言葉にできるようになるまで、横について丁寧にフォローする。言葉数は減っても、その分、会話に集中して聞き、支える力が問われる。これこそが、課題認識をずれなくすり合わせる本質です。

「型」で商談は誰でも変わる

課題認識のすり合わせは、才能でもセンスでもありません。「合ってますか?」をやめ、「AかBか」で選ばせ、深掘りで語らせ、キーワードを拾って本人に定義させる。この型と仕組みを回すだけで、商談の質は再現性を持って変わります。

私、久保埜 実が代表を務めるトレテクでは、こうした「ずるく成果が出る営業の型」を、中小企業・SMEの営業組織に落とし込む戦力化コンサルティングを行っています。「うちの営業は個人技頼みで再現性がない」「AI時代にどう営業を強くするか悩んでいる」——そんな社長・営業管理職の方は、ぜひ一度ご相談ください。

あなたの組織の営業を、根性論から”型”へ。まずはお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

社員が育ち、売り上げも伸びる 中小企業の営業力向上をサポート
営業力強化サービス 【トレテク】

トレテクでは、営業が自ら売上を作れる“営業の型”を構築し、実践で成果を出せるよう支援します。
ここでいう”営業の型”とは、形の決まったマニュアルではなく、営業職が身につけておくべき”最低限の基準”です。
企業の事業形態は様々です。顧客企業に合わせた”営業の型”をご提案します。

営業が苦手な社員でも大丈夫。実際に多くの方々が研修を通じて成長し、売上を伸ばしています。
あなたの会社に合った“営業の型”を一緒に作りませんか?

まずは無料相談からお問い合わせください

▶︎▶︎Xで活動をチェックする◀︎◀︎

トレテク代表 久保埜 実(くぼの みのる)
セールスパーソン戦力化コンサルタント
【著者プロフィール】

医療系企業の営業職として従事しながら、“セールスパーソン戦力化コンサルタント”として、東京都八王子市と日野市を中心に事業を展開。
全国から依頼をいただく。
多くのコンサルティング会社のような座学による知識の習得だけで終わらない、お客様の営業現場に即した独自の実践的なコンサルティングが強み。
特に、商談やプレゼンテーションという交渉の改善に重点を置く。

無料相談実施中です。Webサイトの【💬無料相談】からお問い合わせください。

FacebookやInstagramでも役立つ情報を配信中。
下記アイコンからフォローをよろしくお願いします。
シェアしてもらえると、嬉しいです。
  • URLをコピーしました!
目次