リアクションが薄く沈黙するお客様の心を動かし、受注を掴む営業側の沈黙の技術

「何を話しても、反応が薄い…」

「こちらの質問に、一言二言しか返ってこない…」

「このお客様、本当に私の話を聞いてくれているんだろうか…?」

営業の現場で、まるで分厚い氷の壁を前にしているかのような、そんなお客様に出会ったことはありませんか?

こちらが熱心に語りかければかけるほど、相手は静かに、そして冷めていく。そんな“氷の顧客”を前に、焦り、空回りし、やがては心が折れそうになってしまう…。

この記事は、そんな出口の見えないコミュニケーションに悩む営業担当者、そして彼らを指導する立場にある経営者やマネジャーの方々のために書きました。

この記事を読めば、多くの営業が恐れる「沈黙」を最強の武器に変え、反応の薄い相手の思考を静かに、しかし確実に動かし、最終的に契約という名の固い扉をこじ開けるための、具体的なコミュニケーション術が分かります。

著者プロフィール

貴社の営業力を飛躍させる「実践型」コンサルタント

ベンチャー・大企業合わせて約20年以上営業現場経験を武器に、貴社に再現性のある「売れる仕組み」を構築します。

現在も営業職として現場の泥臭さを経験しているからこその営業視点を強みとして、座学研修のほか、今日からすぐに使える実践的なノウハウで、特に商談・プレゼン力の向上に貢献します。

「売上を伸ばしたいが、何から手をつければ…」とお悩みの経営者・営業部長様へ、実践型コンサルティングで、貴社の営業チームを強化し、確かな成果へと導きます。

目次

地獄の“のれんに腕押し”タイム ~ 営業の心が折れる瞬間

商談ルームの、重苦しい空気。あなたは、渾身のプレゼンテーションを終えたところです。しかし、目の前のお客様は、腕を組んだまま、静かにこちらを見つめているだけ。表情は一切変わらず、口から漏れるのは「なるほど」「ふむ」といった、温度のない相槌のみ。

焦ったあなたは、なんとか場の空気を変えようと、質問を投げかけます。「ここまでで、何かご不明な点などはございますでしょうか?」 しかし、返ってくるのは、一拍、二拍、三拍…と続く、心臓に悪いほどの長い沈黙。

そして、ようやく絞り出されたのは、「…特にありません。続けてください」という、短く、そして冷たい一言。

「まずい、このままでは終わってしまう…!」

そう感じたあなたは、矢継ぎ早に、用意していた追加情報や補足説明を話し始めます。製品のさらなる魅力、他社との差別化ポイント、導入事例…。話せば話すほど、自分の声だけが空虚に響き渡り、相手の心のシャッターがガラガラと、より一層固く閉まっていくのを感じる…。

この“のれてんに腕押し”とも言うべき、手応えゼロの状態。これこそ、営業という仕事において、最も精神をすり減らす、地獄のような瞬間ではないでしょうか。これでは、目標とする売上どころか、自分の精神的な健康を保つことすら、難しくなってしまいます。

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なぜ空回りする? やってはいけない「3つの勘違い」

リアクションの薄いお客様を前にした時、多くの営業担当者が、良かれと思ってやってしまいがちな、しかし致命的な「勘違い」があります。まずは、そのNG行動から見ていきましょう。

勘違い①:「場を盛り上げなければ!」という思い込み

まず、大前提として、「無理に場を盛り上げようとしたり、会話を活性化させようとしたりしない」という意識を持つことが、何よりも重要です。

もちろん、営業としては、お客様が興味津々で、自らたくさん話してくれる方が、やりやすいのは間違いありません。しかし、だからといって、そうならなかったからと焦る必要は全くないのです。

人には、それぞれ持って生まれた個性やコミュニケーションのスタイルがあります。おしゃべりで、感情表現が豊かな人もいれば、口数が少なく、じっくりと考えてから話すタイプの人もいる。

後者のタイプのお客様に対して、こちらが一方的にハイテンションで盛り上げようとしても、相手はただ引いてしまうだけです。「この営業、なんだか騒がしいな…」と、むしろ警戒心を抱かせてしまうかもしれません。

「盛り上げなければいけない」という強迫観念は、百害あって一利なし。まずは、「こういうタイプのお客様もいる」という事実を受け入れ、相手のペースに合わせる覚悟を決めることが、第一歩となります。

勘違い②:「沈黙は“悪”だ」という思い込み

多くの営業担当者は、商談中の「沈黙」を、まるで放送事故のように恐れます。シーンとした時間が流れると、「何か話さなければ!」とパニックになり、どうでもいいような言葉で、その場を埋めようとしてしまいます。

しかし、これも大きな間違いです。沈黙は、決して“悪”ではありません。むしろ、商談を前に進めるための、極めて重要な「時間」なのです。

特にお客様は、営業担当者と違って、その場で初めて商品やサービスの話を聞いています。提示された情報を理解し、それを自社の状況に当てはめ、メリットやデメリットを考え、そして質問を組み立てる…。そのためには、当然、「考える時間」が必要です。

お客様が黙り込んでいる時、その頭の中では、

パターンA:全く買う気がなく、何と断ろうか考えている

パターンB:非常に真剣に、導入後のことを具体的に考え始めている

という、全く逆の思考が展開されている可能性があります。

この沈黙を恐れて、あなたがマシンガンのように言葉を浴びせ続ければ、お客様の貴重な思考時間を奪うことになります。結果として、お客様は「情報が多すぎて、よく分からなくなった。ちょっと一度、持ち帰って考えます」という、最も避けたい結論に至ってしまうのです。

勘違い③:「とにかく情報を伝えなければ!」という思い込み

沈黙を恐れるあまり、営業担当者は、用意してきた情報をすべて伝えようと、一方的に話し続けてしまいがちです。しかし、これも逆効果です。

あなたが話せば話すほど、お客様は受け身になり、「聞く」モードに徹してしまいます。これでは、お客様が今、何を感じ、何を考え、何に疑問を持っているのか、全く分からなくなってしまいます。

本当に契約の可能性が高いお客様、つまり、あなたの提案に関心を持っているお客様であれば、あなたが黙っていても、自ら質問をしてくるはずです。「このサービスを導入する場合、具体的な費用はどのくらいですか?」「〇〇という使い方を想定しているのですが、可能でしょうか?」といったように。

つまり、営業担当者が意図的に発言を減らすことこそが、お客様の「本気度」を測るための、最高のリトマス試験紙になるのです。

「静かなる商談」を制する、4つの戦略的ステップ

では、リアクションの薄いお客様に対して、具体的にどのようにコミュニケーションを取っていけば良いのでしょうか? ここでは、焦りを自信に変え、受注へと繋げるための、4つの戦略的なステップをご紹介します。

ステップ1:大前提として、「沈黙」を恐れず、むしろ“待つ”

無理に盛り上げようとせず、「沈黙」を恐れないマインドセットを持ちましょう。焦って話しすぎると、相手の思考時間を奪い、情報過多で「持ち帰り検討」を誘発します。沈黙は、相手が真剣に考えてくれている「思考の時間」だと捉え直すことが重要です。

商談中に気まずい沈黙が訪れたら、慌てて言葉を継ごうとせず、まずは心の中で「今、お客様は、私の提案を真剣に考えてくれている。ありがたい時間だ」と3回唱えてみてください。そして、お客様の目を見て、静かに、しかし深く頷いてみせる。この「待つ姿勢」こそが、信頼関係の第一歩です。

ステップ2:「思考を前に進める」ための具体的な質問を投げかける

相手の「思考を前に進める」ための、具体的な質問を投げかけてみましょう。 反応が薄い相手に、「どう思いますか?」といった漠然とした質問をしても、答えは返ってきません。

具体的な事実や過去の行動、あるいは未来の理想像について問うことで、相手の頭の中にある思考のエンジンを、強制的に始動させるのです。

温度感を確かめるような「もし価値があると思ったら、真剣にご検討いただけますか?」といった質問はNGです。そうではなく、

「御社が抱えていらっしゃる最大の課題は、何だとお考えですか?」と聞く。

そして、その答えに対して、

「その課題を解決するために、これまで、具体的にどのようなことを試してこられましたか?」と、過去の“行動”について質問してみましょう。

もし、具体的な取り組みや試行錯誤の歴史が語られれば、その課題は彼らにとって本当に切迫したものである可能性が高いと考えられます。

逆に、「いや、特に何も…」という返事であれば、それはまだ、それほど深刻な課題ではないのかもしれません。このように、相手の思考と行動の「事実」を引き出すことで、課題の温度感を測ることができます。

ステップ3:沈黙の後の反応を見極めるため、「2択の質問」で出口を用意する

相手が考え込んでいる時、「2択の質問」で思考の出口を用意してあげましょう。

先ほど述べたように、長い沈黙は「買う気がない」か「真剣に考えている」かの両極端である可能性があります。この状態を見極めるために、オープンな質問ではなく、

「AとBなら、どちらがイメージに近いですか?」といった、相手が答えやすい選択肢を提示することが非常に有効です
(選択肢付きクローズドクエスチョン)

あなたが、

「もしこのサービスを導入するとしたら、何月スタートが理想ですか?」

と質問し、お客様が長い沈黙に入ったとします。

その時、焦って別の話題に移るのではなく、

「例えばですが、もし進めるとしたら、年度内のスタートと、来年度のスタート、どちらの方が現実的だと思われますか?」
(選択肢付きクローズドクエスチョン)

といった形で、具体的な選択肢を与えてみましょう。

これにより、お客様は思考を整理しやすくなり、その答え方によって、彼らの本気度や検討のフェーズを推し量ることができます。

ステップ4:意図的に「沈黙」を作り出し、相手の自発的なアクションを促す

自分からの発言を意図的に減らし、主導権を相手に委ねることで、相手の温度感を確かめてみましょう。

営業が黙ることで生まれる「空白」を、本当に関心のあるお客様は、自らの質問や意見で埋めようとします。これは、相手の自発性を引き出すための、高度な心理テクニックです。

商品やサービスの一連の説明を終えた後、「以上が、〇〇の概要となります」と締めくくり、そこで意識的に、10秒間、完全に黙ってみてください。そして、お客様の反応を観察するのです。

もし、お客様が本当に興味を持っていれば、その沈黙に耐えきれず、

「なるほど。ちなみに、このサービスを導入する場合、こういう使い方はできるのかな…」

「具体的な費用について、もう少し詳しく教えていただけますか?」

といった、前向きな質問が飛び出してくるはずです。もし、何も反応がなければ、まだ関心のレベルが低い、という判断ができます。この「意図的な沈黙」は、お客様の心の中を映し出す、魔法の鏡なのです。

まずは“10秒待つ”という勇気を

リアクションの薄いお客様に対する、新しいアプローチのヒントは掴めたでしょうか?

大切なのは、知識として知ることではなく、実際の現場で試してみることです。とはいえ、いきなり全てを実践するのは難しいかもしれません。でしたら、まずは、たった一つの、しかし最も重要なことから始めてみませんか。

次に、お客様との商談で、気まずい、あるいは不安になるような「沈黙」が訪れたら、慌てて次の言葉を探そうとしないでください。

代わりに、お客様の目を見て、ゆっくりと、そして静かに頷いてみましょう。そして、心の中で、1、2、3…と、10秒数えてみるのです。

この、たった10秒の「沈黙を待つ」という、小さな勇気。それが、一方通行だったコミュニケーションの流れを変え、お客様の心に眠る、本当の言葉を引き出す、大きなきっかけになるかもしれません。

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どんな相手とも対話できる、本物の営業力とは

あなたの会社の営業担当者は、おしゃべりで分かりやすいお客様とだけでなく、物静かで、反応の薄いお客様とも、冷静かつ効果的に対話し、信頼関係を築くことができているでしょうか?

相手の個性やペースに合わせ、時には雄弁に、時には沈黙を武器に、お客様の心を動かし、着実に契約へと繋げていく。それこそが、これからの時代に求められる、本質的なコミュニケーション能力です。

もし、

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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トレテク代表 久保埜 実(くぼの みのる)
セールスパーソン戦力化コンサルタント
【著者プロフィール】

医療系企業の営業職として従事しながら、“セールスパーソン戦力化コンサルタント”として、東京都八王子市と日野市を中心に事業を展開。
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