営業で売上を逃す人に共通する「相手目線」の決定的な欠落

「一生懸命説明しているのに、なぜかお客様の反応が薄い…」

「提案内容は悪くないはずなのに、受注につながらない…」

こんな経験はありませんか? 営業の現場で頑張っているのに成果が出ない。商品知識も豊富、説明も丁寧にしているのに、なぜか契約に至らない。実は、その原因は「相手の視点」が決定的に欠けているからかもしれません。

この記事は、営業メンバーの受注率を高めたい経営者や営業マネジャー、そして自分自身の営業力を高めたいと考えているすべての方に向けて書きました。

この記事を読めば、なぜ多くの営業が「相手の視点」を持てないのか、その理由が分かります。そして、明日から実践できる「相手目線」を身につける具体的な方法が手に入ります。結果として、お客様から信頼され、売上と契約を着実に伸ばせるようになるのです。

目次

なぜ優秀なはずの営業が成果を出せないのか

営業の現場でよく見かける光景があります。

商品知識は十分。説明も丁寧。でも、お客様の表情がどんどん曇っていく。話せば話すほど、なぜか距離ができていく感じがする。

結果、「検討します」と言われて終わり。その後、連絡は途絶える。

これは、決して商品が悪いわけでも、営業の努力が足りないわけでもありません。問題は、「自分が話したい内容」ばかりに意識が向いていて、「相手がどう感じるか」という視点が抜け落ちているからなのです。

例えば、こんなケースがあります。ある営業が新しいシステムの導入を提案しに行きました。彼は自社の製品に自信があるため、機能や特徴を30分かけて熱心に説明しました。

しかし、お客様が本当に知りたかったのは「今抱えている課題がこのシステムで解決できるのか」という一点だけだったのです。

説明すればするほど、お客様は「この営業は、うちの困りごとを分かっていないな」と感じてしまいます。こうして、せっかくのチャンスが失われていくのです。

なぜ「相手の視点」が持てないのか?3つの要因

多くの営業が「相手の視点」を持てない理由は、大きく分けて3つあります。

要因1:経験不足と教育の欠如

若手のメンバーや営業未経験者は特に、相手の視点を考える訓練を受けていないことが多いです。学校でも会社でも「相手がどう感じるかを想像しなさい」とは教わりますが、具体的にどうやって訓練すればいいのかは教わりません。

その結果、自分が話したいことを話すだけの営業スタイルになってしまいます。これは本人の能力の問題ではなく、単純に訓練の機会がなかっただけなのです。

まず何を始めれば良いかというと、次回の商談の前に「お客様の立場だったら、今日の提案をどう感じるだろう?」と3分間だけ想像してみてください。紙に書き出すとさらに効果的です。

要因2:当事者になると見えなくなる盲目性

これは誰にでも起こる現象です。自分がその立場になると、冷静に相手を考える余裕がなくなってしまうのです。

映画を例に考えてみましょう。映画を見ている観客の立場なら、「このシーンは退屈だな」「もっとテンポよく進めばいいのに」と冷静に判断できます。

しかし、いざ自分が映画を作る側になると、観客目線の冷静な判断が難しくなります。自分が苦労して作ったシーンだと、客観的に「これは削るべきだ」と判断できなくなるのです。

営業でも同じことが起きています。自分が一生懸命準備した提案資料だと、「これは伝えたい」「あれも説明したい」と、つい自分視点になってしまいます。

この盲目性を克服するには、商談の後に必ず「お客様の表情や反応はどうだったか?」を振り返る習慣をつけましょう。できれば上司や同僚に同席してもらい、第三者の目でフィードバックをもらうのが効果的です。

要因3:答えをすぐ求めてしまう姿勢

「正解を教えてください」「どう話せばいいですか?」と、すぐに答えを求めてしまう人がいます。この姿勢では、相手の視点を考える訓練ができません。

なぜなら、相手の視点を持つというのは、自分で仮説を立てて、それを検証するプロセスだからです。答えをもらうだけでは、この大切な訓練の機会を失ってしまいます。

たとえば、野球の投手を想像してください。優秀な投手は、打者がどんな球を嫌がるかを常に考えています。「この打者は、インコースの速い球が苦手ではないか?」と仮説を立て、実際に投げて反応を見る。打たれたり、打たれそうになったら「では、アウトコースの変化球はどうだろう?」と次の仮説を立てる。この繰り返しです。

営業でも同じです。「このお客様は、コスト削減に一番関心があるのではないか?」と仮説を立てて提案する。反応が薄ければ、「では、業務効率化の方が関心が高いのかもしれない」と仮説を修正する。この訓練が、相手の視点を読む力を育てるのです。

まずは、次の商談で「お客様が一番知りたいことは何だろう?」と自分なりに仮説を立ててみてください。正解である必要はありません。仮説を立てる練習そのものが重要なのです。

相手の視点を持つための3つのステップ

では、具体的にどうすれば「相手の視点」を持てるようになるのでしょうか。ここでは、明日から実践できる3つのステップをご紹介します。

ステップ1:まず「考える」ことから始める

相手の立場に立って、彼らの視点や気持ちを想像しましょう。「自分が相手の立場だったらどう思うか」を基準にするのです。

ここには2つのレベルがあります。

レベル1:自分だったらどう感じるか これは比較的簡単です。「もし自分がこのお客様の立場だったら、この提案をどう思うだろう?」と想像するのです。

たとえば、自分が経営者で、ある営業から新しいシステムの導入を提案されたとします。自分だったら、まず何が気になるでしょうか?導入コスト?既存システムとの連携?メンバーの教育にかかる時間?それとも、本当に効果が出るのかという不安?

このように、自分の感覚を基準にして考えることが第一歩です。

レベル2:自分と異なるタイプの人がどう感じるか これは少し難易度が上がります。自分とは性格や価値観が違う人が、どう感じるかを想像するのです。

たとえば、自分は新しいことにチャレンジするのが好きなタイプだとします。しかし、お客様は慎重で、リスクを避けたいタイプかもしれません。そうしたら、「このお客様は、導入実績や成功事例を重視するだろう」と想像できます。

まずは、次回の商談相手について「この人は、どんな性格だろう?何を大切にしているだろう?」と3つ書き出してみてください。それだけで、提案の質が変わります。

ステップ2:仮説を立てて検証する

想像した視点に基づき、「相手はこう感じるのではないか」と仮説を立て、それを検証しましょう。

たとえば、「このお客様は、コスト削減よりも業務効率化に関心があるのではないか」と仮説を立てたとします。そうしたら、商談で「御社では、業務効率化について何かお困りのことはありますか?」と聞いてみるのです。

お客様が「実は、今の業務フローが複雑で困っていて…」と話し始めたら、仮説が当たったということです。逆に、「いや、うちはコストの方が課題で…」と言われたら、仮説が外れたということ。それでも問題ありません。これが「答え合わせ」です。

この答え合わせを繰り返すことで、相手の視点を読む精度がどんどん高まっていきます。最初は外れることが多くても、気にせず続けましょう。

10回仮説を立てれば、そのうち3回は当たるようになります。20回立てれば、5回は当たるようになります。この積み重ねが、あなたの営業力を確実に高めていくのです。

まずは、今週の商談で一つでも仮説を立ててみてください。「このお客様は、〇〇を気にしているのではないか」と予想し、実際に確認してみましょう。

ステップ3:答え合わせを繰り返して精度を高める

仮説を立てて、それを現実で検証する。これを繰り返すことで、相手の視点を読む精度が飛躍的に高まります。

重要なのは、「間違いを恐れない」ことです。多くの人は、「間違った仮説を立てて否定される」ことを恐れます。だから、仮説を立てずに答えを求めてしまうのです。

しかし、考えてみてください。野球の投手が一球も投げずに、「どんな球を投げれば打者を抑えられますか?」とコーチに聞いても、上達はしませんよね。実際に投げて、打たれて、「この球はダメだった」と学ぶから上手くなるのです。

営業も同じです。自分で仮説を立てて、外れて、「この仮説は違った」と学ぶ。これを100回、200回と繰り返した人が、最終的に高い受注率を叩き出す営業マンになるのです。

まずは、月に10回は仮説を立てる練習をしてみてください。毎週2〜3回の商談で仮説を立てれば、それだけで達成できます。半年続ければ、確実に変化を実感できるはずです。

まずは「お客様の立場だったら?」と3分考えてみよう

この記事を読んで、何か気づきを得られたでしょうか?

営業で成果を出すには、商品知識や説明の上手さよりも、「相手がどう感じるか」を考える力が重要です。これは才能や優しい性格の問題ではなく、訓練で身につけられるスキルなのです。

とはいえ、いきなり完璧にやるのは難しいかもしれません。でしたら、まずは小さな一歩から始めてみませんか?

次の商談の前に、たった3分だけ時間を取って、「お客様の立場だったら、この提案をどう感じるだろう?」と考えてみてください。

紙に書き出してもいいですし、頭の中で想像するだけでも構いません。たったこれだけで、あなたの商談の質が変わり始めます。お客様の反応が変わり、受注への道が開けていくのです。

経営者の方へ:メンバーの受注率を劇的に高めるために

あなたの会社の営業メンバーは、お客様の視点に立った提案ができているでしょうか?

多くの営業組織では、メンバーが自分の話したいことを話すだけで、お客様の本当のニーズを掴めていません。その結果、せっかくの商談が成約につながらず、売上の機会を逃しています。

しかし、「相手の視点」を持つ訓練を組織全体で行えば、受注率は大きく上がります。お客様から「この会社は、うちのことを本当に理解してくれている」と信頼され、契約を着実に獲得できるようになるのです。

ここで重要なのは、上司や経営者の役割です。メンバーに答えを教えるのではなく、「お客様がどう感じるか、考えてみろ」と繰り返し問いかけることが効果的です。自ら考え、仮説を立てるよう促す環境を作ることが、メンバーの成長を加速させます。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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トレテク代表 久保埜 実(くぼの みのる)
セールスパーソン戦力化コンサルタント
【著者プロフィール】

医療系企業の営業職として従事しながら、“セールスパーソン戦力化コンサルタント”として、東京都八王子市と日野市を中心に事業を展開。
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