営業とお客様の距離をグッと縮める“褒めツボ”を見抜く方法

「お客様との雑談が、どうも盛り上がらない…」
「良かれと思って褒めているのに、なぜか気まずい空気が流れてしまう…」
「相手との距離を縮めたいのに、うまい褒め言葉が見つからない…」
営業の現場で、あるいは社内の人間関係で、こんな悩みを抱えてはいませんか? 「褒める」という行為は、コミュニケーションの潤滑油であり、相手との信頼関係を築くための強力な武器になるはずです。
しかし、その使い方を一つ間違えれば、良かれと思ったその一言が、かえって相手を不快にさせ、心のシャッターを固く閉ざさせてしまうことさえあります。
この記事では、単なるお世辞や社交辞令ではない、相手の心の奥深く、最も響くポイント、いわば“褒めツボ”を的確に見抜き、突き刺すための具体的な方法論について徹底解説します。
この「褒め方の極意」を身につければ、あなたやあなたの会社の営業担当者は、お客様との間に強固な信頼関係を築き、最終的に「あなたから買いたい」という言葉を引き出し、大型の契約や受注に繋げていくことができるようになるでしょう。
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良かれと思って言ったのに…褒め言葉が“空振り”する瞬間
営業の現場では、褒め言葉が空を切る、なんとも気まずい瞬間がよく訪れます。
例えば、初めて訪問したお客様の、きれいで立派なオフィス。「素晴らしいオフィスですね!駅からも近くて、最高のロケーションですね!」と褒めたとしましょう。
しかし、返ってきたのは、「はあ、まあ…でも、ただの借り物ですから」という、どこか素っ気ない一言。会話は、そこで終わってしまいます。
あるいは、仕事がデキる担当者の方に対して。「〇〇さんの仕事ぶりは、いつもスマートで本当にすごいですね!」と称賛の言葉を投げかけます。
しかし、相手は「いえいえ、とんでもないです。私なんて、まだまだですよ」と深く頭を下げるばかりで、そこから話が広がらない…。
頑張って相手の良いところを見つけて口にしたはずなのに、なぜか響かない。手応えがない。それどころか、どこか白々しい空気さえ流れてしまう。
こんな経験が続くと、だんだんと「人を褒めるのが怖い」「何を言えばいいか分からない」と感じ、コミュニケーションそのものに臆病になってしまう営業担当者も少なくありません。
これでは、お客様との良好な関係を築くどころか、その先の売上目標の達成など、夢のまた夢です。一体、何がいけないのでしょうか?
あなたの褒め方がズレる、たった一つのシンプルな理由
なぜ、私たちの褒め言葉は、これほどまでに“空振り”したり、“的外れ”になったりしてしまうのでしょうか?
その原因は、突き詰めれば、たった一つの、非常にシンプルで、しかし根深い「思い込み」にあります。それは、
「自分が言われて嬉しいこと = 相手も嬉しいはずだ」という無意識の思い込みです。
私たちは、幼い頃から「自分がされて嫌なことは、人にしてはいけません」と教わってきました。これは、人間関係の基本となる、素晴らしい黄金律です。そして、その延長線上で、「自分がしてほしいことを、相手にもしてあげよう」と考えがちです。
しかし、一見すると正しく、そして親切にさえ見えるこの考え方、実はかなり“雑”な発想であり、特に「褒める」という繊細なコミュニケーションにおいては、大きなズレを生む原因となるのです。
なぜなら、何に価値を感じ、何を「嬉しい」と思うかの基準(価値観)は、人それぞれ、全く違うからです。
自分にとっては最高の褒め言葉が、相手にとっては、何の価値もない、あるいは、むしろ不快にさえ感じられる言葉である可能性は、常に存在するのです。
大切なのは、「自分だったらどう思うか?」という“自分軸”で相手を推し量ることではありません。
「目の前のこの相手が、今のこの状況で、どの部分を評価されたら、本当に心から喜ぶのだろうか?」と、徹底して“相手軸”で考えること。
この意識の転換こそが、褒め方の精度を劇的に向上させるための、すべての始まりなのです。
人が本当に褒められたい「3つのポイント」
では、「相手軸で考える」とは、具体的にどういうことでしょうか? まずは、人が「褒められたい」と感じる価値の源泉が、大きく分けて3つの種類に分類できる、ということを理解することから始めましょう。
例えば、あなたの同僚が、激しい競争を勝ち抜き、営業部門で見事トップ賞を受賞した、とします。この輝かしい成果に対して、私たちはどんな言葉をかけることができるでしょうか?
1.「努力」を褒める
「〇〇さん、本当におめでとう! あんなに毎日、誰よりも遅くまで残ってテレアポして、提案資料も細部までこだわって作り込んでましたよね。あのコツコツとした積み重ねを見てたから、私は絶対に〇〇さんが一位取ると思ってたよ! 本当にすごい努力でしたね!」
これは、成果に至るまでのプロセス、費やした時間や労力、つまり「努力」そのものに焦点を当てた褒め方です。「継続は力なり」を信条とし、地道な積み重ねを誇りに思っている人にとって、この言葉は、何よりの勲章となるでしょう。
2.「才能」を褒める
「〇〇さん、トップ賞おめでとう! やっぱり君は違うな。あのお客様の心を一瞬で掴むコミュニケーション能力とか、誰もが納得してしまう提案の切り口とか、あれはもう誰にも真似できないです。まさに唯一無二の“才能”だと思います。本当に尊敬します!」
これは、その人がもともと持っている能力や資質、センス、つまり「才能」に注目した褒め方です。他人とは違う、自分だけの特別な力に自信とプライドを持っている人にとって、その才能を認められることは、至上の喜びとなるはずです。
3.「考え方(マインド)」を褒める
「〇〇さん、一位獲得、本当におめでとう! 私が一番すごいと思うのは、君がずっと前から『絶対に一位を取る』って公言してたことです。周りから無理だと言われても、一切ブレずに自分を信じて挑戦し続けた、その“姿勢”や“考え方(マインド)”が、本当に素晴らしい。心から感動しました!」
これは、成果そのものや、そこに至るプロセスだけでなく、その人の根底にある信念や哲学、生き方、つまり「考え方(マインド)」に光を当てた褒め方です。特に、大きな目標を掲げ、多くの困難や葛藤を乗り越えてきた人ほど、この精神的な部分を評価されることに、深い喜びを感じることが多いものです。
”褒めツボ”を見誤ると、褒め言葉は逆効果になる
このように、同じ「トップ賞受賞」という一つの出来事に対しても、褒める切り口は少なくとも3つ存在します。
そして、問題なのは、相手がこの3つのうち、どのポイントを最も褒められたいと思っているか、つまり“褒めツボ”がどこにあるかを見誤ると、せっかくの褒め言葉が逆効果になりかねない、ということです。
例えば、血の滲むような「努力」を重ねてきたと自負している同僚に、悪気なく、「いやー、君ははもともと営業の“才能”があったもんな!」と言ってしまったら、どうでしょう。
相手は、心の中でこう思うかもしれません。
「冗談じゃない! 俺が新人の頃から、どれだけビジネス書を読み漁って、どれだけお客様の前で恥をかいて、試行錯誤を繰り返してきたと思ってるんだ? その膨大な時間と労力を無視して、『元から才能があった』なんて言葉で、軽く片付けないでくれ!」と。
逆に、自分だけの「才能」に絶対的な自信を持っている人に、「お前の“努力”は本当にすごかったよな!」と褒めても、ピンとこないかもしれません。
「いやいや、確かに努力もしたけど、俺が勝てたのはそこじゃないんだよな…。テレアポとか外回りとか、そんな泥臭い努力をすれば誰でもトップ賞が取れる、みたいに思わないでほしいんだけど…」と、少しイラッとさせてしまう可能性さえあるのです。
褒めるという行為は、かくも繊細で、難しい。しかし、だからこそ、相手の“褒めツボ”を的確に捉えることができた時の威力は、絶大なものになるのです。
【核心】 相手の“褒めツボ”を確実に見抜く「魔法の質問」
では、どうすれば、相手が本当に褒めてほしいポイント、つまり「努力」「才能」「考え方」のうち、どれを最も重視しているのかを、確実に見抜くことができるのでしょうか?
共感力、洞察力、想像力…様々な能力が求められますが、「人の心を読む」なんて、そう簡単にできることではありません。
しかし、一つ、非常にシンプルで、かつ効果的な方法があります。 それは、相手の言葉の中から、直接ヒントを探り出すことです。
といっても、「今回の成功の要因は、ご自分では何だと思いますか?」とストレートに聞くのは、あまりお勧めできません。なぜなら、多くの日本人は謙遜が美徳だと考えているため、「いえいえ、運が良かっただけですよ」「周りの皆さんのおかげです」といった、当たり障りのない答えしか返ってこない可能性が高いからです。
そこで、私が皆さんに伝授したいのが、次の“魔法の質問”です。
「〇〇さん、今回の素晴らしいご成功、本当におめでとうございます。もし、〇〇さんと同じように成功したい、と願っている後輩や若手がいたとしたら、成功するために最も大切なことは何だと、アドバイスされますか?」
この質問、なぜ効果的なのでしょうか?
ポイントは、「自分自身のこと」としてではなく、「誰か(後進)へのアドバイス」という形に、視点をズラしている点にあります。
人は、自分の成功要因を語るのは気恥ずかしくても、「未来の誰かのために」という大義名分ができると、驚くほど素直に、そして雄弁に、自分が本当に大切にしている信念や哲学を語り始めてくれるものなのです。
そして、この質問に対して返ってくる答えこそが、相手の“褒めツボ”の在り処を示してくれる、宝の地図となります。
もし、相手が「うーん、やっぱり、才能がないと厳しいかもしれないね。ある程度のセンスは必要だよ」といった趣旨の答えを返してきたら、その人は、自分自身の「才能」に強いプライドを持っており、そこを褒められたい、と考えている可能性が高いでしょう。
もし、相手が「いやいや、結局は努力だよ。地道に、コツコツとやり続けられるかどうか、すべてはそれに尽きると思う」といった答え方をしたなら、その人は、誰よりも自分の「努力」のプロセスを評価してほしい、と願っているのかもしれません。
そして、もし相手が「一番大事なのは、どんな時も諦めない気持ちじゃないかな。自分ならできる、と信じ続けるマインドがなければ、何も始まらないよ」と語ったなら、その人は、自分の「考え方」や「姿勢」こそが成功の源泉だと信じており、そこを深く理解し、称賛してくれる人を求めているはずです。
この「魔法の質問」によって、相手が最も価値を置いているポイントを特定できたら、あとは、そのポイントに焦点を当てて、具体的、かつ心からの言葉で褒めるだけです。
「〇〇様がおっしゃる通り、この分野で成功するには、やはり並外れた『才能』が必要なのだと、今のお話で改めて痛感いたしました。〇〇様のその才能は、本当に会社の宝ですね」
「『努力し続けることが全て』というお言葉、胸に刺さりました。〇〇様がこれまで積み重ねてこられた努力の道のりを思うと、本当に頭が下がる思いです」
「『挑戦するマインドがなければ無理』というお話、まさにその通りですね。〇〇様の、常に前を向き、自分を信じ続けるその『考え方』に、私自身、非常に勇気をいただきました」
このように、相手自身の言葉(価値観)を借りて褒めることで、あなたの言葉は、もはや単なるお世辞ではなく、相手の心に深く共鳴する「真の理解者からのメッセージ」として、絶大な力を持つことになるのです。
「気持ちよさ」を創り出すプロフェッショナル
考えてみれば、この「相手が求める言葉を的確に提供する」というスキルは、様々なプロフェッショナルが、その仕事の中で駆使しているものです。
例えば、夜の接客業のプロである、一流のホステスやキャバ嬢の方々。
彼女たちがお客様から絶大な人気を集めるのは、単に容姿が美しいからだけではありません。彼女たちは、お客様との何気ない会話の中から、その人が今、何を求めているのか、どんな言葉をかけてほしいのか、そして、どこを褒められたら一番「気持ちよく」なるのかを、瞬時に察知する天才的な能力を持っています。
そして、「社長、本当にすごいですね!」といった、誰にでも言える大雑把な褒め方ではなく、「社長が先日の会議でおっしゃっていた、あの決断。普通の人には、なかなかできることじゃないですよ。あの先見性には、本当に痺れました」といったように、相手が最も誇りに思っているであろうポイントを、ピンポイントで、かつ具体的に褒めるのです。
そうして「この人と話していると、気分がいいな」「自分のことを、本当に分かってくれているな」と感じたお客様は、また彼女に会いたくなり、そこに時間とお金を使うのです。これは、私たちの営業活動においても、全く同じことが言えるのではないでしょうか。
まずあなたの社内でできること:“褒めツボ”探しゲーム
相手の心を動かす「褒め方」の極意、その奥深さと面白さを、感じていただけたでしょうか?
いきなりお客様相手に試すのは、少し勇気がいるかもしれません。でしたらまずは、あなたの身近な人たちで、このテクニックを試してみることから始めてはいかがでしょうか。
あなたの会社の同僚や部下が、何か素晴らしい成果を上げた時。あるいは、何かを達成して、少し得意げにしている時。いきなり「すごいね!」と褒めるのではなく、笑顔でこう聞いてみてください。
「〇〇さん、今回の成功、本当におめでとう! もし、その秘訣を、新人の子に一つだけ教えるとしたら、どんなアドバイスをする?」
そして、その答えを、じっくりと味わってみてください。「やっぱり、センスかな(才能)」「いや、地道な準備が全てだよ(努力)」「結局は、気持ちで負けないことだね(マインド)」。
その答えの中に、あなたの仲間たちの、これまで知らなかった「本当の価値観」や「褒められて嬉しいポイント」が、きっと隠されているはずです。これは、チーム内の相互理解を深める、最高のコミュニケーションゲームにもなります。
その言葉で、お客様の心を掴めますか?
あなたの会社の営業担当者は、お客様の心を本当に掴む、的確なコミュニケーションが取れているでしょうか?
小手先のセールストークや、誰にでも言えるお世辞では、百戦錬磨の経営者や、情報に溢れた現代のお客様の心を動かすことはできません。本当に必要なのは、相手一人ひとりの価値観を深く理解し、その心に寄り添い、本質的な人間関係を築き上げる力です。
お客様との間に、強固な信頼関係を築きたい
褒め言葉一つで、商談の空気を支配できるようになりたい
お客様から「ぜひ、あなたから買いたい」と言われるような、営業チームを育てたい
もし、あなたがそう強く願うのであれば、ぜひ一度私にご相談ください。
トレテクは、単なる営業テクニックの研修ではなく、お客様の懐に深く入り込み、強固な信頼関係を築き上げるための、本質的なコミュニケーション能力の向上をサポートします。そして、それが最終的に、貴社の売上や受注の安定的な増加に繋がることをお約束します。
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あなたの、そして貴社の営業が、お客様から心から信頼され、選ばれ続ける存在になるためのお手伝いができることを、楽しみにしています。
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