営業の“実質的行動量”を最大化する3つのツール活用

「営業にもっと動いてほしいが、これ以上、労働時間は増やせない…」

「新規開拓の重要性は分かっているが、日々の業務に追われ、時間が足りない…」

中小企業の経営者や営業マネジャーの皆様、このようなジレンマに頭を悩ませてはいませんか?

働き方改革が叫ばれる昨今、かつてのような「時間と根性」で売上を作る営業スタイルは、もはや通用しません。限られた時間の中で、いかに成果を最大化するか。この問いに対する明確な答えが、今ほど求められている時代はないでしょう。

この記事は、物理的な労働時間を増やすことなく、営業の「実質的な行動量」を劇的に増やし、着実に受注と契約に繋げるための具体的な戦略について解説します。明日から現場で実践できる3つの秘策を、ぜひあなたの会社の成長にお役立てください。

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目次

見直すべき営業の「実質的な行動量」

夕方、疲れ果てた顔で営業担当者が会社に戻ってくる。日報には、訪問件数がずらりと並んでいる。しかし、月末の売上報告会議では、目標未達の重苦しい空気が流れる…。多くの会社で見られる、決して珍しくない光景です。

経営者としては「これだけ動いているのに、なぜ契約に繋がらないんだ?」と歯がゆい思いを抱えているかもしれません。一方、営業担当者は「こんなに毎日駆けずり回っているのに、これ以上どうしろっていうんだ…」と、心身ともに疲弊しているのではないでしょうか。

この問題の根源は、営業活動の「量」を、移動時間や待機時間も含めた“総労働時間”で捉えてしまっている点にあります。新規開拓で成果を出すためには、確かに行動量が重要な要素(ファクター)です。

しかし、本当に重要なのは、お客様と直接対話し、関係を深め、商談を前に進める「実質的な行動量」なのです。

1日に3件の対面商談をこなす営業担当者を想像してみてください。1件あたりの商談が1時間だとしても、移動時間や準備時間を含めると、あっという間に1日が終わってしまいます。

これでは、アプローチできるお客様の数が物理的に限られ、売上の伸びも頭打ちになってしまうのは当然です。

この「見せかけの行動量」の罠から抜け出さない限り、どんなに檄(げき)を飛ばしても、営業担当者の疲弊を招くだけで、会社の成長には繋がりません。

では、どうすればこの状況を打破できるのでしょうか?その鍵は、対面以外のコミュニケーション手段を戦略的に活用することにあります。

【時短×成果】営業の戦闘力を高める3つのデジタル活用術

ここからは、オンライン商談、電話、メールという3つのツールを使いこなし、営業の「実質的行動量」を飛躍的に高めるための具体的なテクニックをご紹介します。

1. オンライン商談を「その場で進める戦略会議」に変える技術

オンライン商談は、移動時間ゼロという最大のメリットがありますが、それだけではありません。使い方を少し工夫するだけで、「持ち帰り検討」という営業の最大の敵を打ち破る強力な武器になります。

よくあるオンライン商談のケースとして、お客様先の担当者に加え、その上司や関連部署のメンバーなど、複数人が参加するということがあります。

通常であれば、商談が終わった後に「一度、社内で検討します」と言われ、次のアクションが数週間後…なんてことも珍しくありません。この時間が、お客様の熱量を下げ、競合他社に付け入る隙を与えてしまうのです。

そこで、こう提案してみましょう。いわゆる「その場で相談タイム」です。

「本日のご説明は以上となります。つきましては、今から5分ほどお時間を取りますので、よろしければ皆様だけでご検討いただけますでしょうか?私は一旦、こちらの音声をミュートにしてお待ちしております。」

もしあなたがZoomなどのツールを使っているなら、「ブレイクアウトルーム」という機能を使えば、営業担当者だけを別室に移し、お客様だけで気兼ねなく話せる空間を作ることも可能です。

例えば、30分の商談時間があるとします。最初の20分でプレゼンテーションを行い、その後の5分間を「お客様だけの相談タイム」に設定するのです。そして、残り5分で「いかがでしたでしょうか?何か懸念点やご質問はございますか?」と、その場で出た結論や疑問点をヒアリングします。

これにより、商談が後ろにズルズルと伸びるのを防ぎ、その場で次のステップを決められる可能性が格段に高まります。これは、お客様にとっても、再度社内で打ち合わせの時間を調整する手間が省けるため、大きなメリットとなるのです。

さらに、オンライン商談はパソコンの前で行うため、メモが非常に取りやすいという利点も見逃せません。対面だとパソコンをカタカタ叩くのは失礼にあたるかもしれませんが、オンラインなら自然です。

便利なAIツールを使えば、会話を自動で文字起こしし、議事録を素早く作成することも簡単です。商談後に、要点をまとめた丁寧な議事録をすぐにお客様へ送ることもできます。

これにより、お客様の記憶が新しいうちに内容を再確認してもらうことができ、認識のズレを防ぎながら、次のアクションを力強く後押しできます。これもまた、実質的な営業活動の質と量を高める、重要なテクニックです。

2. 「10分電話」を最速の意思決定ツールに変える技術

次にご紹介したいのが「10分電話商談」という考え方です。アポイントを取るほどではないけれど、メールだけではニュアンスが伝わりにくい…。そんな時に、この短時間電話が絶大な効果を発揮します。

10分という短い時間は、お客様にとって心理的な負担が少なく、「そのくらいなら」と時間を作ってもらいやすいのが特徴です。この貴重な10分を最大限に活かす秘訣は、「クイックレスポンス(素早い応答)」をあらかじめ仕組み化しておくことにあります。

例えば、お客様から値引きや特別な仕様に関する質問が出たとします。多くの営業担当者は「その件は一度持ち帰り、上司に確認して改めてご連絡します」と答えるでしょう。これでは、また時間がかかってしまいます。

そうではなく、電話をかける前に上司に、

「今から〇〇社の△△様に、価格の件でお電話します。もしかしたら、その場でご相談させていただくかもしれませんので、5分ほどスタンバイいただけますか?」

と予告しておくのです。

そして、お客様との10分の電話で宿題をもらったら、「ありがとうございます。その件ですが、今すぐ上司に確認しますので、3分だけお待ちいただけますか?」と伝え、一度電話を保留にします。

そして、裏で待機している上司にすぐに相談し、回答を得る。そして、再びお客様との電話に戻り、「お待たせいたしました。上司に確認しましたところ…」と、その場で回答を伝えるのです。

このスピード感は、お客様に「自分のために、すぐ動いてくれた」という強い好印象を与えます。「話が早くてポンポン進むな」という体験は、そのまま営業担当者への信頼となり、契約の確度を大きく高めてくれるのです。

1回あたりの時間が短い分、接触回数を増やすことも容易です。こまめに10分電話で進捗を共有することで、お客様との関係性を着実に深め、売上向上に繋げていくことができます。

3. メールを「会いたくなる招待状」に変える技術

電話をかけてもなかなか繋がらない現代において、メールの重要性はますます高まっています。しかし、ただ情報を送るだけでは、数多のメールの中に埋もれてしまいます。開封され、読まれ、そして返信をもらうための「一工夫」が、営業の成果を大きく左右します。

SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理)といったツールを使えば、担当するお客様リストに一斉にメールを送ることは簡単です。しかし、そこで送られるメールが、会社が送るメルマガのような機械的な文章では、読み手の心は動きません。

個人の営業担当者が送るメールの強みは、「すでに関係性があること」です。この強みを最大限に活かすために、メールの冒頭に、あえて少し雑談的な、パーソナルな匂いのする文章を数行だけ入れてみてください。

例えば、

「〇〇様、ご無沙汰しております。最近、急に涼しくなりましたが、いかがお過ごしでしょうか。先日、〇〇様がお好きだとおっしゃっていたラーメン屋に、ようやく行ってまいりました。とても美味しかったです!」

といった具合です。

このような一文があるだけで、受け取った相手はあなたの顔を思い浮かべ、「お、〇〇さんからだ。ちょっと読んでみようかな」という気持ちになります。

日々、機械的な文章ばかり受け取っている中で、こうした人間味のある一言が、メールの開封率や精読率を大きく左右するのです。

もちろん、メールの内容も重要です。毎回売り込みめいた内容では、お客様もうんざりしてしまいます。送るべきは、「純粋に相手のためになるお役立ち情報」です。

そして、その情報をただ送るだけでなく、「この情報は、〇〇様の事業のこういう観点でお役立ていただけるかと思います」といった、あなたならではの「おすすめの視点」を必ず一言添えましょう。

この「相手を思う一言」が、単なる情報提供を、価値あるコミュニケーションへと昇華させます。

また、メールの「件名」も極めて重要です。「【〇〇社】お役立ち情報のご案内」といったありきたりな件名では、クリックされません。その情報の中で、相手が最も興味を持ちそうなエッセンスを一言抜き出し、それを件名にするのです。

こうした工夫を凝らしたメールを定期的に送り、もし返信が来たら、すかさず「10分電話商談」に繋げる。この流れを作ることができれば、普段なかなかコミュニケーションが取れないお客様との関係も、再び温めることが可能になります。

過去に接触したけれど時間が経ってしまったお客様に「以前の件、ご検討状況はいかがですか?」と送っても、「なんの話だっけ?」で終わってしまいます。いついかなる時も、「今のお客様が読んで嬉しい、助かる情報」を送ること。これが、メール営業の成功の定石です。

まずは「実質的行動時間」の計測から始めよう

今回ご紹介した3つの秘策。いきなり全てを完璧にこなすのは難しいかもしれません。でしたら、まずはたった一つの、しかし最も重要なことから始めてみませんか?

それは、「自社の営業担当者が、一日のうち純粋にお客様との対話にどれくらいの時間を使えているか」を把握することです。

移動時間、社内会議、報告書作成の時間などを除いた「実質的行動時間」が一体どのくらいあるのか。この現状を正しく認識することが、あらゆる改善のスタートラインとなります。ぜひ、今日からこのチェックを試してみてください。

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あなたの会社の営業チームは、限られた時間の中で最大のパフォーマンスを発揮できているでしょうか?

オンライン、電話、メールを戦略的に組み合わせ、お客様一人ひとりに合わせた最適なコミュニケーションを取ることで、物理的な時間を増やすことなく、売上と受注件数を伸ばしていくことは十分に可能です。それこそが、これからの時代に求められる、本質的な営業力です。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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トレテク代表 久保埜 実(くぼの みのる)
セールスパーソン戦力化コンサルタント
【著者プロフィール】

医療系企業の営業職として従事しながら、“セールスパーソン戦力化コンサルタント”として、東京都八王子市と日野市を中心に事業を展開。
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特に、商談やプレゼンテーションという交渉の改善に重点を置く。

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