営業が「お客様目線」で動けない本当の理由と解決策

「何度言っても、メンバーがお客様目線で考えてくれない…」

「もっとお客様のことを考えろと言っているのに、変わらない…」

「自社本位のコミュニケーションばかりで、売上が伸びない…」

営業組織を率いる経営者やマネジャーの方であれば、こんな悩みを抱えたことがあるのではないでしょうか。

「もっとお客さん目線で考えなさい」と何度指導しても、メンバーの行動は変わらない。お客様が求めていることとは違う対応をしてしまう。企業本位のやり方に見えるコミュニケーションを繰り返してしまう…。

この記事は、そんな営業チームの指導に悩む経営者やマネジャーの方々のために書きました。

この記事を読めば、なぜメンバーが「お客様目線」で動けないのか、その本質的な原因が分かります。そして、ダメ出しを繰り返すのではなく、営業チーム全体の行動を根本から変える具体的な方法が手に入ります。

目次

「お客様目線で考えろ」は、なぜ効かないのか

日常の営業現場で、よくこんな場面があります。

メンバーが、お客様が求めていることとは少し違う対応をしてしまった。あるいは、企業本位に見えるコミュニケーションをとってしまった。

そんなとき、マネジャーや経営者は、こう指導します。

「お客様目線で考えたら、そうじゃないだろう」
「もっとお客様のことを考えなさい」

もちろん、完璧なコミュニケーションというのは難しいものです。言い出したらきりがないほど、改善の余地は常にあります。

しかし、ここで重要なのは、ただのダメ出しをしても、残念ながら全く意味がないということです。

では、どうしたら良いのでしょうか?

効果のある指導、効果のない指導

まず言えることは、以下のような指導であれば効果があるということです。

  • 新しいアイデアを提案する
  • うまくいかない原因に気づかせる

一方で、「なんでそんなことするんだ、ダメだろう」という否定だけの指導は、本当に意義がありません。

しかし、ここで最も重要なポイントがあります。おそらく、これが今日お伝えする中で、最もクリティカルな内容です。

多くのマネジャーや経営者は、こう考えています。

「メンバーが、お客様のためを思っている度合いが小さいんじゃないか」
「メンバーが、お客様のために動こうとしていないんじゃないか」

果たして、それは本当でしょうか?

営業は本当に「お客様のことを考えていない」のか?

ここで、重要な事実をお伝えします。

大多数の営業担当者は、何かしらお客様のためになりたいと思っています。

これは、人間に自然と備わっている感情です。誰かのためになりたい、人に喜ばれたいというのは、極めて自然に起こってくる気持ちなのです。

さらに、それが仕事として、お客様から頼りにされ、役に立つということは、本来はすごく喜ばしいことです。

では、なぜ、お客様目線に立ったらよくないだろうと思うことをしてしまうのでしょうか?

例えば、

  • お客様が求めていることと全然違う返答をしてしまう
  • 無理な約束をしてしまう
  • 雑な対応をしてしまう

これらの原因は何でしょうか?

答えは明確です。過去にマネジャーが与えた優先順位が、何かしらのバグを生み出しているからです。

「優先順位のバグ」が営業を変えてしまう

もう一度、重要なポイントを繰り返します。

多くの営業マネジャーや経営者は、「メンバーがお客様目線に立って行動することが十分にできていない」と捉えます。「お客様のことを全然考えていないんじゃないか」と思うわけです。

しかし、それは違います。

人間であれば、90%以上の割合で、営業はお客様のためになりたいし、お客様に喜ばれたいという気持ちを持っています。

では、なぜ多くの人がそうならないのか?

それは、過去にマネジャーが与えた優先順位が、何かしらのバグになってしまっているからです。

具体例:「効率的に」「早く」という指示のバグ

例えば、マネジャーが「とにかく仕事を効率的にこなせ」「早くやれ」と指示したとします。

すると、メンバーは、過去に受けた指示の中で、「効率的」と「早く」が最も大事なんだと思うわけです。

そうすると、頭の中で「効率的にやる」「早くやる」ということが優先されるがゆえに、お客様に丁寧にコミュニケーションするという優先順位を、無意識に下げてしまうのです。

もう一度、非常に重要なポイントを繰り返します。

営業の方で、「お客様のためになりたい」「お客様に喜ばれたい」と思っていない人は、ほとんどいません。お客様のためになりたいし、お客様がどうしたら喜んでくれるかと考えているのです。

ただし、そこに対して、マネジャーが優先順位のバグを生み出すような指示を、過去にしてしまっているということなんです。

もう一つの例:「目標数字」のプレッシャー

例えば、「目標数字が全然達成できていないじゃないか」と言い、「何とかこれ、ねじ込んでこい」というような表現をしてしまったとします。

すると、メンバーの中では、この優先順位が頭の中でひっくり返ってしまって、お客様に喜ばれることをするよりも、マネジャーから言われたこと、つまり押し付けでもいいからお客様に商品案内することの優先順位が上がってしまうわけです。

さらに別の例:お客様への「雑な対応」

お客様に雑な対応をしてしまうメンバーがいたとします。

本当は、お客様に喜ばれたいとは思っているんです。しかし、マネジャーが「急いでやれ」と急がせてしまったり、いろんなことを同時に指示してしまうことによって、丁寧に対応するという優先順位が下がってしまうのです。

マネジャーがすべきことは、ダメ出しではない

マネジャーがメンバーに対して、お客様目線で考えさせたいと思ったとき、

  • 「もっとお客様のことを考えろ」という啓蒙を繰り返す
  • 現在の行動を否定するコミュニケーション

これらは、残念ながら全く効果を出しません。

そうではなく、マネジャーがやるべきことは、どうしてそのメンバーがその行動を取ったのかについて、何らかの優先順位のバグを自分(マネジャー)が作っていないか、と考えることです。

「優先順位のバグ」とは、お客様にとって良いということに対して、もっと大事だと思わせるような何かを言ってしまっているということです。

  • 「早く」
  • 「効率的に」
  • 「何としても数字を作ってこい」

これらによって、知らず知らずのうちに、メンバーの頭の中で優先順位の逆転が起こるのです。

ですから、マネジャーがやるべきことは、この優先順位の逆転を生み出しているバグにまず気づくこと。そして、どういうふうにしたら正しい優先順位で伝わるのかをちゃんと考える必要があります。

具体的な解決策:優先順位のバグを修正する3つの方法

では、具体的にどうしたら良いのでしょうか?

例えば、メンバーがお客様に対して、型にはまったドライな対応をしているとします。これでは、お客様の気持ちが離れていくだけです。

このとき、「もっとお客様のことを考えて対応してください」と言っても、変わりません。

そうではなく、優先順位のバグを与えているのが、例えば「もっと早く効率的に仕事をしなさい」という指示だとすると、そのメンバーの効率を上げることと、お客様に対する丁寧な対応を両立するためのアイデアを、マネジャーの方から出さないといけないのです。

これは、マネジャーにとってハードルが上がるかもしれません。しかし、今のメンバーの能力では、それが限界に来て難しいから、うまく両立ができていないわけです。

丁寧にやることと、早くやることを、本人に「考えろ」と言うだけでは、何かしらよろしくないコミュニケーションが繰り返されてしまいます。

ですから、どうやったらお客様に対する丁寧さと、効率や速さを両立できるのかを、マネジャーが一緒に考える必要があるのです。

方法1:コミュニケーションのやり方そのものについてアイデアを出す

これが最も手っ取り早い方法かもしれません。

例えば、

  • 「こういう言い回しにすると、丁寧さを保ちながら時間も短縮できる」
  • 「このテンプレートを使えば、効率的かつお客様に喜ばれる対応ができる」

といった、具体的なアイデアを提供することです。

方法2:メンバーの仕事から、不要な業務を取り除く

「早く」と言われたときに、メンバーの仕事の中で、他に業務時間を圧迫しているものがあったら、そちらを取り除いてあげることです。

つまり、メンバーが常に忙しい状態にあるから雑になってしまうのであれば、その「常に忙しい」という状態を解消する必要があります。

本来やらなくてもいい仕事を取り除いてあげることで、お客様に丁寧に対応する時間的・精神的余裕が生まれます。

方法3:「丁寧」の基準を明確に伝える

「丁寧に対応しろ」と言われても、何が丁寧で何が丁寧ではないのか、メンバーには分からないかもしれません。

ですから、今のお客様のリクエストに対して、どういう対応だとNG で、どういう対応だとグッドなのかを、具体的に伝える必要があります。

例えば、

  • 「このお客様の質問には、24時間以内に必ず返信する」
  • 「返信する際は、お客様の名前を必ず入れる」
  • 「こういう言い方ではなく、こういう言い方をする」

といった、明確な基準を示すことです。

なぜマネジャーは「お客様目線で考えろ」と言い続けるのか

ここまでお話を聞いていただければ、「もっとお客さん目線に立たなきゃダメだろう」と言っても、メンバーは変わらないということが、非常にお分かりいただけるのではないでしょうか。

しかし、この問題が現場からなくならないのには、理由があります。

マネジャー自身は、過去において、その両立が何かしらの手段でできていたわけです。早くこなすことと、お客様に対して丁寧にコミュニケーションすることを、両立できていた。

職位が上の人は、やはりできるのです。

ただし、それをメンバーにそのまま同じように求めても、やはり難しいのです。だからこそ、「お客様目線に立たなきゃダメだろう」と諭すだけでは変わりません。

今日の最も重要なポイントは、メンバーの優先順位にバグを生み出してしまっているのは、マネジャー側の行動であるということです。

この優先順位のバグをちゃんと正していかないと、同じことが繰り返されてしまいます。

よく、マネジャーの方から「うちのメンバー、何を言っても変わらないんですよ」という愚痴や不満を伺います。

しかし、そこで一歩引いて、「優先順位のバグとして、自分が何か起こしてしまっていないか」と顧みていただく。これこそが、本来お客様に喜ばれたい、お客様のためになりたいと思って仕事をしている営業の方々を助けることになるのです。

まずは「自分の指示」を振り返ってみよう

この記事を読んで、何か気づきを得られたでしょうか?

営業チームを「お客様目線」で動かすためには、メンバーを責めるのではなく、マネジャー自身が与えている指示や優先順位を見直す必要があります。

とはいえ、いきなり全てを変えるのは難しいかもしれません。でしたら、まずは小さな一歩から始めてみませんか?

次にメンバーに指示を出す前に、「この指示は、お客様への丁寧な対応よりも優先させるメッセージになっていないか?」と、自問自答してみてください。

  • 「早くやれ」と言う前に、何を削れば早くできるのか考える
  • 「効率的に」と言う前に、どうすれば効率と丁寧さを両立できるか一緒に考える
  • 「数字を作れ」と言う前に、お客様に喜ばれながら売上を上げる方法を示す

この視点を持つだけで、メンバーの行動が変わり始めます。そして、組織全体がお客様目線で動くようになり、結果として売上や契約数が伸びていくのです。

お客様から選ばれ続ける営業組織を作りたい経営者の方へ

あなたの会社の営業チームは、お客様から心から信頼され、選ばれ続ける存在になっているでしょうか?

多くの経営者や営業マネジャーは、「メンバーがお客様目線で動かない」と嘆きます。しかし、本当の問題は、メンバーの意識ではなく、マネジャーが与えている優先順位のバグにあるのです。

このバグを修正し、営業チーム全体が自然とお客様目線で動けるようになれば、受注率は上がり、売上は安定し、経営はより強固なものになります。

もし、

  • 営業チーム全体を、お客様から信頼される組織に変えたい…
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と、本気でお考えの経営者の方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度ご相談ください。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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トレテク代表 久保埜 実(くぼの みのる)
セールスパーソン戦力化コンサルタント
【著者プロフィール】

医療系企業の営業職として従事しながら、“セールスパーソン戦力化コンサルタント”として、東京都八王子市と日野市を中心に事業を展開。
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