営業で「お客様の話を聞けない人」を変えることはできるのか

「あの営業、お客様の話を全然聞いてないんだよね…」
「傾聴のテクニックは教えたのに、なぜかトンチンカンな返答をする…」
「メモも取って、頷いているのに、『話を聞いてない』とクレームが来る…」
営業組織をマネジメントする経営者やマネジャーの方であれば、こんな悩みを抱えたことがあるのではないでしょうか。「聞く姿勢」は見せているのに、なぜか話が通じない。傾聴研修をしても、一向に改善しない…。
この記事は、そんな「話を聞けないメンバー」の育成に悩む経営者やマネジャーの方々のために書きました。
この記事を読めば、なぜ「聞く姿勢」のテクニックだけでは解決しないのか、その根本的な理由が分かります。そして、「話を聞けない人」にどう対応すべきか、現実的な解決策が見えてきます。
ある経営者の悩み:「聞く姿勢」はあるのに、聞けていない
つい最近、「人の話をちゃんと聞けない人」を「聞ける人」に変えるのは可能なのか、という話でディスカッションになりました。
というのも、ある経営者が「お客さんの話を全く聞けないメンバーがいる」と愚痴をこぼしたからです。
すると、周りの人々も、呼応するように、「いるいる」という。
「聞く姿勢」のテクニックは完璧なのに…
その経営者の話を聞くと、おおむね次のような状況でした。
その人は、よく言われるテクニック的な「傾聴する姿勢を見せる」のは得意だという。
「聞き上手」のように、メモを取ったり、頷いたり、相槌を打ったりする。人の話を遮ったりもしない。
しかし、同僚やクライアントからしばしば、次のようにクレームがあるという。
「あの人、全然話を聞いてないんだよね」と。
具体的な事例:誤字の指摘
「具体的にはどのような事象でしょう?」と聞くと、
「例えば、同僚から意見を求められても、『それでいいと思います』としか言えない。あるいは、クライアントが『この構成に対して指摘はありますか』と言ったところ、彼は『誤字がありますね』と言ったらしいのです。みんな苦笑ですよ」
まわりの人たちも、「確かに、話を聞けてない人、いますよね」とため息を漏らしました。
筆者の体験:「サービスXは今後売らないのですか?」
実は、私にも同じような体験があります。同僚たちに営業戦略や方針について説明したときのことです。
私は、次のように丁寧に説明をしました。
「中小企業は、財務体質が強くないので、いきなり高額なサービスを購入することができない。よって中小の新規客に『サービスX』を最初に売り込むのは難しい。その時は『入口商材』として製品Aが有効だとわかってきた。だから今後、製品Aの営業にまずは力を入れる」
すると、こんな質問が来ました。
「製品Aに力を入れるということは、サービスXは今後、売らないのでしょうか?」
言ってもいないことを想像される
私は戸惑いました。なにせ、「サービスXは売らない」と一言も言っていない。いや、むしろ「製品Aは入口商材」と明言しているではないか。
私は不思議だったので、彼に尋ねました。
「どう解釈をすると、今の話が『サービスXは売らない』となるのですか」
彼は言いました。
「今後、製品Aの営業に力を入れる、と言ったので」
私は、「言ってもいないことを勝手に想像するな」とツッコみたくなりましたが、こう答えました。
「もちろん、我々の最終的な目的は製品Aを『入口』として、『サービスX』を買っていただくことです。サービスXをやめるはずがありません」
周りの営業職の同僚も、彼に対して「そんなこと一言も言ってないじゃん」と突っ込む。
しかし私は、「本当にわかってんのかなあ」と不安でした。というのも、彼はクライアントとの折衝でも、たびたびトンチンカンなことを言っていたからです。

なぜ「話を聞けない」のか?一つの仮説
振り返って、彼らが「なぜ話をちゃんと聞けないのか」を考えてみると、一つの仮説が設定できます。
おそらく、彼らは「自分の認識できたこと」だけ切り取って、話を聞いている、と。
例1:「構成へのアドバイス」→「誤字の指摘」
前者の例では、「構成にアドバイスがほしい」という要望に対して、「アドバイスがほしい」というところだけを選択して聞いてしまった可能性があります。
だから素直に「誤字がありますね」と言ってしまった。
例2:「研修に力を入れる」→「サービスXは売らない?」
あるいは後者の例では、「今後、製品Aの営業に力を入れる」だけを彼は認識し、「入口商材」という言葉を認識から消した。
だから、「サービスXは力を入れない(かもしれない)」と、彼は勝手に思ってしまったのです。

「AI vs 教科書が読めない子どもたち」との共通点
これは、少し前にベストセラーとなった「AI vs 教科書が読めない子どもたち」で指摘された、「読解能力の低い子どもたちは、意味のわからない単語を読み飛ばす」という指摘とよく似ています。
中学生の正答率38%の問題
例えば、次の問題です。
問題文: 「Alexは男性にも女性にも使われる名前で、女性の名Alexandraの愛称であるが、男性の名Alexanderの愛称でもある」
問題: 「この文脈において、以下の文中の空欄にあてはまる最も適当なものを選択肢のうちから1つ選びなさい。Alexandraの愛称は( )である」
選択肢: ①Alex ②Alexander ③男性 ④女性
それなりの大人であれば、正解は一目瞭然です。
が、中学生の正答率は、たったの38%。中学1年生に至っては、たったの23%で、ランダムに選択するよりも正答率が低い。
なぜ間違えるのか?「愛称」という言葉を知らないから
著者の新井紀子氏は、この原因について、次のように考察しています。
おそらく「愛称」という言葉を知らないからです。そして、知らない単語が出てくると、それを飛ばして読むという読みの習性があるためです。「Alexandraは女性である」ならば、文として意味が通ります。
つまり、読解能力が低い子供は、「知らない単語を消したとき、文として意味が通る」という理由で、不正解を選択してしまう。
「聞けない人」も同じメカニズム
上の「話を聞けない人」たちも、おそらく同じなのでしょう。
「自分の認識できたこと」だけを聞き、それ以外の情報は、捨ててしまう。
そして、自分に都合よく、情報を組み替える。
だから、「聞けない」し「トンチンカンなことを言う」のです。
意識やテクニックでは解決できない理由
そう考えていくと、「人の話をちゃんと聞けない人」の問題は、意識とかテクニックだけでは解決できないかもしれません。
これは、根本的な「言語能力」の問題だからです。
しかも、これは解決が非常に難しい。「テスト問題」よりも、「正確に人の話を聞く」のは、はるかに難しいからです。
テスト問題なら時間をかけて検証できるが…
テスト問題であれば、改めて文章を見返して、じっくりと検証すれば、論理的な回答を選択することもできましょう。時間をかければ、皆が「正解」にたどり着けるかもしれません。
だが「人の話」は、どんどん流れていく上に、非論理的な部分も多い。
「聞けない人」には、非常に厳しい環境なのです。
よくあるアドバイスが機能しない理由
彼らに対して、
- 「メモを見返し、正確に解釈をしてから発言せよ」
- 「不明な部分は、ちゃんと聞き返せ」
といったアドバイスもありましょうが、彼らはおそらく正確にメモが取れず、メモがあっても、読解できない。
だから、もしかしたら、彼らには「聞く」こと自体が、難しいかもしれません。

現実的な解決策:適材適所で活かす
新井紀子氏は、「いくつになっても、読解能力は伸びる」と言っていますが、会社が読解能力の訓練を導入するとは考えにくい。
その場合は、「人の話を正確に聞かなくてはならない仕事」から外してあげることが、唯一の解決策となるでしょう。
営業組織における適材適所
営業組織においても、同様です。
「お客様の話を聞く」ことが苦手なメンバーを、無理に顧客対応の最前線に置き続けるのは、本人にとっても、組織にとっても不幸です。
その代わり、以下のような役割であれば、活躍できるかもしれません。
聞く力が必要ない仕事の例:
- 決められたスクリプト通りに話すテレアポ
- データ入力や資料作成などの定型業務
- 明確な指示のもとでの実行業務
適材適所で活かすことが、組織全体の生産性を高めるのです。
採用段階で見極める重要性
さらに言えば、営業組織を作る経営者やマネジャーにとって重要なのは、採用段階で「聞く力」を見極めることです。
面接で確認すべきポイント
面接で、以下のような質問をしてみましょう。
「今日、ここに来るまでの道順を、詳しく教えてください」
そして、その説明を聞いた後に、
「では、私が理解した内容を確認させてください。○○駅から△△線に乗って…で合っていますか?」
と確認します。
もし相手が「いえ、そうではなくて…」と訂正が多い場合、「自分の説明を正確に聞き取ってもらえなかった経験」を持っている可能性があります。
逆に、「はい、その通りです」とスムーズに確認できる人は、「聞く力」も備えている可能性が高いでしょう。

まとめ:「聞けない人」は変えられないが、活かすことはできる
ここまでの話をまとめると、以下のようになります。
- 「聞く姿勢」のテクニックだけでは、「聞けない人」は変わらない
- これは根本的な「言語能力」の問題であり、短期間での改善は難しい
- 「聞く力」が必要な仕事から外し、適材適所で活かすことが現実的な解決策
- 採用段階で「聞く力」を見極めることが、組織にとって重要
売上を伸ばしたい経営者の方へ
あなたの会社の営業担当者は、お客様の話を正確に聞き取れているでしょうか?
多くの営業組織では、メンバーが「聞く姿勢」は見せているものの、お客様の本当のニーズを聞き取れていません。その結果、トンチンカンな提案をして、受注を逃しています。
しかし、「聞く力」を持ったメンバーを採用し、適材適所で活かすことができれば、営業組織全体の生産性は大きく上がります。お客様のニーズを正確に捉え、確実に受注につなげることができるのです。
もし、
- 営業チームの「聞く力」を強化し、受注率を高めたい…
- メンバーの適性を見極め、適材適所で活かしたい…
- 採用段階で「聞く力」を持った人材を見極めたい…
と、本気でお考えの経営者の方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度ご相談ください。
トレテクでは、単なる傾聴研修ではなく、メンバーの適性を見極め、組織全体の生産性を最大化する支援を行っています。それが最終的に、貴社の安定的な売上成長と、確実な契約獲得につながることをお約束します。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
