「また今度」と言わせない!初回訪問で心を掴み、次の約束を取り付ける3つのコツ

「本日はよく分かりました。非常に参考になります。もし何かあれば、こちらからまたご連絡しますので」
新規の初回訪問で、お客様からこの言葉を告げられた瞬間、多くの営業担当者は心の中で静かに敗北を悟ります。
手応えのないまま、社交辞令の壁に阻まれ、二度と連絡が来ることはない。会社の売上に繋がるはずだった貴重な機会が、また一つ消えていく…。
経営者や営業マネジャーの皆様は、自社の営業担当者がそんな徒労感を抱えて会社に戻ってくる姿を、何度見てきたことでしょうか。
この「初回訪問の壁」を突破できない根本的な原因は、お客様が抱える、ある“矛盾した心理”にあります。「良い情報や良い提案は欲しい。でも、どうせ今回の営業も大したことはないだろうから、無駄な時間は使いたくない」。期待と警戒が入り混じった、この複雑な心境です。
この記事は、そんなお客様の固く閉ざされた心の扉をこじ開け、次のアポイント、そして確実な受注へと繋げるための、具体的な技術を知りたいと願う方々のために書きました。
この記事を読めば、初回訪問の冒頭わずか数分で、お客様の「どうせ」という先入観を「おや?」という期待感に変え、「この人の話を、もっと聞きたい」と前のめりにさせるための、実践的な3つのコツが分かります。
その「真面目さ」が、あなたをその他大勢に埋もれさせる
想像してみてください。あなたは、あるサービスの導入を検討している企業の担当者です。毎日、何人もの営業担当者があなたのもとを訪れます。
そこに、一人の営業がやってきました。 「本日は貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございます。早速ですが、弊社のサービスは〇〇という特徴がございまして…」 彼は、非常に丁寧に、そして真面目に、準備してきた会社紹介と商品説明を始めました。
あなたはじっと耳を傾け、時折「なるほど」「ふむ」と相槌を打ちます。
しかし、あなたの心の中は冷静です。「はいはい、いつものパターンね。手早く説明を終わらせてくれないかな」。
なぜなら、世の中の営業の大多数は、残念ながら「質の低い」部類に入ります。そのため、お客様は「新規の営業=今回もどうせ質の低い人だろう」という先入観を、防御本能として持っているのです。
そして、一通りの説明が終わった後、彼はこう尋ねます。 「ここまでで、何かご不明な点やご質問はございますでしょうか?」 あなたは、にこやかにこう答えるでしょう。 「いえ、特にありません。内容はよく分かりました。ありがとうございます」
この瞬間、商談は事実上終了です。この真面目な営業担当者は、その他大勢の「質の低い営業」と同じ箱に入れられ、二度と思い出されることはありません。
あなたの会社の営業担当者も、良かれと思って、この「真面目な失敗」を繰り返してはいないでしょうか。
お客様の心を掴む「冒頭の変化球」3つのコツ
お客様の「どうせ」という先入観を打ち破るには、冒頭で「おや、この人はいつもと違うぞ?」と思わせる、意図的な「変化球」が必要です。ここでは、そのための具体的な3つのコツをご紹介します。
コツ1:冒頭30秒で「いつもの営業」の枠から抜け出す
多くの営業は、アイスブレイクの世間話が終わると、すぐに自社の商品紹介に入ろうとします。これが悪手です。
そうではなく、まず「鋭さ」を感じさせる仮説を、リスクを抑えつつ投げかけるのです。
ただし、「御社はきっと〇〇で困っていますよね?」と、いきなり決めつけるのは危険です。初対面でドンピシャに当てるのは至難の業ですし、外れた瞬間に「的外れな人」というレッテルを貼られてしまいます。
そこで有効なのが、「引き合いに出す」という技術です。
「御社と似たような業種の会社様で、最近こういうご相談が増えているんです」
「御社と同じくらいの企業規模の皆様から、よくこんなお話を伺います」
「御社と似たような成長ステージのスタートアップでは、今まさにこの課題が…」
このように、目の前のお客様と共通点のある「他の会社」を例に出すのです。これによって、「この営業は、多くの事例を知っている。パターン認識に基づいた、精度の高い知見を持っていそうだ」と、あなたの専門性の高さを、さりげなく示すことができます。
さらに、「最近、売上が伸び悩んでいる」といった抽象的な話ではなく、
「一通りのマーケティング施策はやり尽くした上で、最近どうも数字の伸びが鈍化している、というご相談なんですが…」
のように、少しだけ課題の構造に踏み込んで話すと、「この人は、物事の本質を捉える力がありそうだ」という“気配”を漂わせることができます。
コツ2:一方的に「説明」せず、相手の「個別事情」に焦点を当てる
コツ1で他の会社の例を出しただけでは、お客様は「ふーん、よそはそうなのね。でも、うちは違うけどな」と、心の中で反発するかもしれません。
そこで、お客様にそう思われる前に、こちらから先手を打ちます。
「御社と同じくらいの企業規模の会社様から、最近こういうお話をよく伺うのですが、ただ、御社には御社独自の事情がおありだと思いますので、そのあたりを少しお聞かせいただけますでしょうか?」
この一連のセリフを、一息で、流れるように言ってしまうのです。
この「先回りフレーズ」には、絶大な効果があります。それは、
「私は一方的に決めつける営業ではありませんよ」
「私は、あなたの会社の特別な事情を、ちゃんと聞く準備ができていますよ」
という、敬意と傾聴の姿勢を明確に伝えられることです。
この一言があるだけで、お客様は「この人は、私たちのことを理解しようとしてくれている」と感じ、警戒心を解いて、自分たちの状況を話し始めてくれるのです。
この冒頭のやり取りを、わずか30秒から1分で行う。これが、初回訪問の流れを劇的に変える第一歩です。
コツ3:「質問待ち」ではなく「質問の種まき」をする
商談を次のステップに進める上で、お客様からの「質問」を引き出すことは極めて重要です。なぜなら、営業の真価は、お客様からの想定外の質問や要望に対して、その場で的確に、そして即座に答えられるかどうかで測られるからです。
これができれば、「この人は、準備のクオリティが高い、本物のプロだ」という評価を勝ち取れます。
しかし、前述の通り、「何かご質問はありますか?」という「質問待ち」の姿勢では、お客様からの質問はまず出てきません。
そこで、こちらから「質問の種まき」をするのです。
例えば、サービス紹介の途中で、こう切り出します。
「当社のサービスの一つ目の特徴は〇〇なのですが、ここについては、よくお客様から『△△のようなケースでも対応できるの?』といったご質問をいただくポイントなんです。結論から申し上げますと…」
このように、他の顧客からよく聞かれる質問を、会話の中に自然に織り交ぜるのです。
これによって、「なるほど、そういうことを聞いてもいいのか」「他の人も、同じようなことを疑問に思うんだな」と、お客様は安心して質問ができるようになります。
「質問するのが当たり前」という空気感を、営業側から意図的に作り出していくのです。
まずは「よくある質問トップ3」の準備から
初回訪問の壁を突破するための、新しいアプローチのヒントは掴めたでしょうか。 大切なのは、知識として知ることではなく、実際の現場で試してみることです。
まずは、たった一つ、しかし効果絶大な準備から始めてみませんか。
次の新規訪問の前に、「自社サービスについて、お客様からよく聞かれる質問トップ3」とその完璧な模範解答を準備してみてください。
そして、次回の商談で、そのうちの一つを「最近、似たようなお客様から、実はこんなご相談が増えていまして…」という形で、会話のキッカケとして使ってみましょう。
この小さな変化球が、お客様の心の壁を打ち破り、あなたの会社の営業を「また今度」と言われる存在から、「次も会いたい」と切望されるパートナーへと変える、大きな一歩になるはずです。
その他大勢の営業を抜け出し、一目置かれる会社へ
一回一回の商談の質を劇的に高め、無駄な訪問をなくしたい。 そして、営業担当者が自信を持ってお客様と対峙し、確実に契約へと繋げる、再現性のある仕組みを自社に築きたい。
もし、そう本気でお考えの経営者、マネジャーの方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度ご相談ください。
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