褒める教育・怒る教育で見落としがちな「自分軸」形成が、営業の伸びしろを決める

「最近は褒めて伸ばす時代だ」——教育の現場でも、会社の営業育成でも、こうした風潮が当たり前になってきました。ですが、褒めるか怒るかの二択で考えているうちは、本当に大事なポイントを見落としているかもしれません。
この記事では、褒める・怒るの奥にある「自分軸」と「他人軸」のバランスという視点から、周囲の評価に振り回されず成果を出し続ける人の共通点を解説します。営業担当者の育成に悩む社長・管理職の方にこそ読んでいただきたい内容です。
褒める教育で育つと「自分でマイナス」になる逆転現象
私が知り合いの教育者から聞いて、なるほどと膝を打った話があります。褒めて育てられた子どもは、褒められないと「プラマイゼロ」に戻るのではなく、自分で勝手にマイナスに落ちていくというのです。
「褒めてくれないんだ、じゃあ自分はできないんだ、もういいや」——本来ニュートラルであるべき状態が、褒められないだけでネガティブに転じてしまう。自己肯定感を高めるはずの褒める教育が、かえって他人の評価なしでは自分を保てない状態を生んでいる、という逆転現象です。
そして、これは小さな子どもだけの話ではありません。私が営業の現場で20年以上見てきた実感として、社会人にも同じタイプの人がかなりいると感じます。上司に褒められないとやる気が出ない、少し指摘されただけで極端に落ち込む。これは意志が弱いのではなく、育ち方の「振れ幅」と「軸」の問題だと考えています。
1つ目のポイント:プラスとマイナスの「幅」に慣れているか
ここで私が大事だと考える要素は2つあります。まず1つ目が「幅」です。
褒められれば嬉しい、怒られればテンションが下がる。これは当たり前の感情です。問題は、このプラスの温度とマイナスの温度、その振れ幅にどれだけ慣れているかということ。
- 怒られてばかりだと、マイナス側の狭い幅しか経験できない
- 褒められてばかりだと、プラス側の狭い幅しか経験できない
どちらも幅が狭いのが問題です。だからこそ、両方を、できれば極端に経験させることに意味があると私は考えています。プラスもマイナスも味わったことのある人ほど、後々ちょっとやそっとのことでは崩れないタフさを身につけていきます。
2つ目のポイント:褒める・怒るには「自分軸」と「他人軸」の4種類がある
そして今回の本題が、2つ目の要素である「自分軸と他人軸のバランス」です。
実は「褒める」も「怒る」も、それぞれ2種類に分けられます。
- 自分で自分を褒める(今回のこれ、我ながらよくやったな)
- 他人から褒められる(上司や顧客に評価されて嬉しい)
- 自分で自分に怒る(こんなミスをして、まだまだ自分は甘い)
- 他人から怒られる(先輩に指摘されて落ち込む)
他人から褒められる・怒られるという反応は、誰でも即座に湧いてくるものです。問題は、自分で自分を褒める・怒るという「自分軸」の感覚をどれだけ育てられているか。ここが決定的な差になります。
他人軸に偏る人に共通する「2つのクセ」
営業の現場で人と接していると、「それ、自分で選んで自分でやったんだから、それでいいじゃないですか」と言いたくなる場面によく出会います。
「でも親が反対していて」「上司がこう言っていて」「私はこれだけやってるのに相手は返してくれない」。こうした悩みの多くは、自分軸が形成されていないことに原因があります。他人軸に偏る人には、私が見てきた限り共通するクセが2つあります。
クセ①:二者間の関わりだけで受け止めてしまう
「田中先輩に褒められた」「田中さんに怒られた」——すべてのベクトルが相手一人に向いてしまい、「今回の件について、自分自身はどう考えるのか」という内側への解釈が入りません。相手との一対一の関係だけで、出来事の意味が完結してしまうのです。
クセ②:刹那的で、自分の将来を見ていない
「怒られて最悪だ」「褒められてやった」と、その瞬間の感情で終わってしまう。今後の自分の成長やレベルアップという視点が抜け落ちています。目の前の評価に一喜一憂するだけで、将来の自分に向けた投資として出来事を捉えられていないわけです。
自分軸と他人軸、どちらか一方では営業は務まらない
ここで誤解してほしくないのは、「自分軸さえあればいい」という話ではないということです。バランスが肝なのです。
自分軸のメリットはタフさです。他人にどう言われようが、褒められようが怒られようが、いちいち騒がない。この強さは間違いなく必要です。
一方で、他人軸がないと、そもそも組織で機能しません。私は複数の業界で20年以上営業をしてきましたが、他人軸がなければ営業という仕事は成り立たない、と断言できます。目の前のお客様に喜んでもらうために動く、評価されたいから工夫する——これは他人軸があってこそです。
自分軸100%になると、パワーとタフさはあっても組織で浮いてしまい、嫌われて終わる。逆に他人軸100%だと、周囲に振り回されて自分を保てない。この選択を間違える人は、たいてい自分軸が弱いのです。
「ここは自分軸で行くべき場面」で他人の顔色をうかがい、「ここは他人軸を持ち込むべき場面」で自分のこだわりを押し通してしまう。この判断ミスが、成果の差になって表れます。
最も理想的なのは、自分軸と他人軸が「混ざり合った」状態
ただ、本当に伸びる人は、「ここは自分軸」「ここは他人軸」と意識的に切り替えているわけでもありません。
赤と青を混ぜて紫になるように、自分軸と他人軸が無意識のうちに溶け合っている状態が、最もしなやかで強いと私は考えています。
「他人のためを意識しているけれど、これは結局自分のためでもあるな」——このどちらとも言えない一体感を持てている人は、周囲の評価に崩されず、それでいてチームで成果を出し続けます。
だからこそ、育成で意識すべきは「褒めるか怒るか」ではありません。
- プラスとマイナス、両方の振れ幅を経験させること
- その中で、他人任せにせず自分軸に気づかせ、形成させること
この2点こそが核だと、私は現場で確信しています。褒めて自己肯定感を高めようとするだけでは、かえって他人軸に偏った人を育ててしまいかねません。大切なのは、本人が自分の中に「自分を評価する物差し」を持てるよう導くことです。

営業組織の「軸づくり」を、仕組みで再現可能にする
私はこうした「自分軸・他人軸のバランス」を、個人のセンスや根性の問題で終わらせず、誰でも再現できる育成の仕組みに落とし込むことを大切にしています。
営業担当者が上司の評価に振り回されず、かつお客様目線も持ち続けられる。そんな状態を、属人的な感覚ではなく仕組みとAI活用で組織に定着させることが、私の役割です。
「褒めても伸びない」「叱ると折れてしまう」——そんな営業育成の悩みを抱えている社長・管理職の方は、ぜひ一度ご相談ください。貴社の営業チームに合った「軸のつくり方」と再現性のある育成の仕組みを、営業×AI実装ディレクターの視点からご提案します。まずはお問い合わせフォームよりお気軽にお声がけください。
