“冷めた言動や態度で俯瞰する部下”の才能を開花させる育成方法

「この仕事って、僕の人生にとってどういう意味があるんですかね?」

「3年後、このスキルが市場で通用するとは思えなくて…」

あなたの会社の若手営業担当者から、こんな言葉を投げかけられ、思わず絶句してしまった経験はありませんか?こちらが熱意をもって指導しようとしても、どこか一歩引いた場所から物事を眺め、冷静に、しかし情熱なく分析してくる。

そんな「俯瞰してる若者」を前に、多くの経営者やマネジャーは、戸惑い、苛立ち、そして一抹の寂しさを感じているのではないでしょうか。

この記事は、そんなつかみどころのない現代の若手社員との向き合い方に悩む、すべての経営者・マネージャーの方々のために書きました。

この記事を読めば、彼らの「俯瞰」を、単なる冷笑や言い訳で終わらせず、組織の売上を押し上げる強力な「武器」へと転換させるための、具体的な育成術が分かります。彼らを“使えないカマボコ”にするか、未来のエースに育てるか。その分かれ道は、あなたの関わり方一つにかかっているのです。

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目次

「経験もないくせに…」経営者の心が折れる瞬間

あなたは、渾身の情熱を込めて、若手社員に新しいプロジェクトの意義を語っています。しかし、目の前の彼は、静かに話を聞きながらも、心ここにあらずといった様子。そして、あなたの話が終わるやいなや、こう切り返してきます。

「お話は分かりました。でも、そのやり方って、結局は業界構造のこの部分に依存してますよね。それって、長期的に見るとリスクが高くないですか? 全体から見ると、今この仕事にリソースを割くのは、あまり効率的じゃない気がします」

その瞬間、あなたの頭の中に、こんな言葉がよぎります。

「まだ水も甘いも知らん若造が、何を偉そうに…」

「お前の武器は、コントロール重視のチェンジアップじゃない。俺たちにはない体力と、無我夢中で白球に食らいつく“ガムシャラさ”だろう!」

と、叫びたくなってしまう。

この、若者特有の「経験なき俯瞰」。これこそ、部下の育成に情熱を注ぐ経営者や上司の心を、ポッキリと折ってしまう、最も厄介な壁の一つではないでしょうか。これでは、目標とする売上どころか、社内の信頼関係を築くことすら難しくなってしまいます。

なぜイラっとする? やってはいけない「若者の俯瞰」2つのパターン

もちろん、物事を俯瞰的に捉えようとする姿勢そのものは、素晴らしいことです。人間関係を円滑にするため、相手の立場や関係性を俯瞰する能力は、むしろ全社員が持つべきでしょう。

しかし、こと仕事の本質に関わる部分で、多くの経営者が「それは違うだろ」と感じる「俯瞰」には、共通する“匂い”があります。まずは、そのNGパターンから見ていきましょう。

NGパターン①:「やらない理由」を探すための、後ろ向きな俯瞰

最もタチが悪いのが、これです。 一見、論理的な分析をしているように見えて、その目的が「いかにしてこの仕事から逃れるか」「いかにして自分が楽をするか」という点に終始しているケース。

「この仕事で成果を出しても、出世競争は激しいですし、幸せに直結するとは思えません」 「業界全体がシュリンク(縮小)していく中で、今ここで頑張っても、将来的なリターンは少ないですよね」

これらの言葉は、前向きに契約を取るための戦略的俯瞰ではなく、単に「頑張らない自分」を正当化するための言い訳に過ぎません。こんな俯瞰もどきを振りかざされては、どんな上司も「お前が楽をしたいだけだろう」と見抜いてしまいます。

経営者として、このような後ろ向きなエネルギーを社内に蔓延させるわけにはいきません。

NGパターン②:「俺は気づいちゃったぜ」という、天才的な匂い

もう一つ、厄介なのが「伝え方」の問題です。 例えば、同じ「出世しても幸せになれない」という趣旨の発言でも、二人の若者がいるとします。

若者A:「すみません、若輩者なりに考えたのですが…。出世を目指すことも大切だと思う一方、それが必ずしも自分の幸福に結びつかないような気もしていまして…。僕の今の視点からだと、そう見えてしまうのですが、どう思われますか?」

若者B:「いや、結局、仕事たくさんして出世しても、幸せとは結びつかないじゃないですか」

あなたは、どちらの若者を部下にしたいでしょうか。 おそらく、圧倒的にAを選ぶはずです。

若者Aの言葉には、「あくまで“僕の分析”ですが」という謙虚なスタンスがあります。自分の視点が絶対ではないことを理解し、相手との対話の余地を残している。これ自体が、ある種の「俯瞰」ができている証拠です。

一方で、若者Bの言葉には、

「俺は、お前らが気づいていない絶対的な本質に気づいてしまった」

という、傲慢な匂いが漂っています。対話の扉は固く閉ざされ、あるのは一方的な“正論”だけ。これでは、たとえ言っていることが的を射ていたとしても、相手の心に届くことはありません。

「俯瞰する若者」を最強の戦力に変える、3つの育成ステップ

では、こうした「俯瞰する若者」を、どうすれば組織の力に変えることができるのでしょうか。

頭ごなしに否定するのは簡単ですが、それでは彼らの持つユニークな視点という才能の芽を摘んでしまいます。ここでは、彼らを売上に貢献するエースへと育てるための、3つの戦略的ステップをご紹介します。

ステップ1:まず「僕の分析ですが」という枕詞をつけさせる

若手が何か俯瞰したような意見を言ってきた時、それがたとえ「天才俺様モード」だったとしても、まずはその視点を面白がってあげましょう。

その上で、「その意見、面白いね。ちなみに、それは君の“分析”かな?それとも“確定した事実”かな?」と、優しく問いかけてみるのです。

そして、「これからは、何か意見を言う時に『僕の分析では』という言葉から始めてみてくれないか」と提案するのです。 この魔法の枕詞をつけるだけで、若者Bのような傲慢な断定は、若者Aのような対話的な提案に変わります。

これは、営業の現場で顧客に何かを提案する際にも極めて有効なテクニックです。自分の意見を「一つの分析結果(仮説)」として提示することで、相手は心理的な抵抗なく、話を聞いてくれるようになります。

まずはこのスタンスを身につけさせることが、育成の第一歩です。

ステップ2:聞き手(上司)を「楽しませるレベル」の俯瞰を要求する

若者の俯瞰は、現実問題として、浅い可能性が極めて高いものです。しかし、それを「浅い!」と一蹴するだけでは成長はありません。

そこで、次なる基準として「その分析や俯瞰は、聞き手である私を唸らせ、楽しませることができるか?」という視点を与えます。

「お前の言う通りだ!そこまで見えていたのか!」

「その視点はなかったな。面白い!」

上司であるあなたを、こう言わせるレベルのクオリティを求めるのです。

この基準を持つことで、若手は「やらない理由探し」のような内向きな分析ではなく、「どうすれば相手を納得させ、動かすことができるか」という、外向きで建設的な思考を始めるようになります。

それは、顧客の心を動かし、受注や契約を勝ち取るための思考訓練に他なりません。

ステップ3:安全な場所で「浅い俯瞰」をへし折り、現実を教える

ここが最も重要です。いくらスタンスや基準を教えても、本当の意味で成長するためには、実践と失敗が不可欠です。 私自身、新卒1、2年目の頃、ドヤ顔で上司にこう語ったことがあります。

「僕は、歩合制で何千万円も稼いでいる営業マンに憧れます。なぜなら、稼いでいる額は、その人が世の中に生み出した価値の量だからです。年収3000万円の人は、3000万円分の価値を提供している。だから彼らはすごいんです!」

今思えば、顔から火が出るほど恥ずかしい、クソ浅い持論です。 その時、上司は私を馬鹿にすることなく、静かにこう言いました。

「いや、それはただの報酬制度の違いの話だろ。じゃあ、固定給で1000万円もらっている俺たちは、彼の3分の1の価値しか生み出していないのか? そうじゃないだろ」

この一言で、私は雷に打たれたような衝撃を受けました。「ハッ」とし、自分の視点がいかに浅く、一面的なものであったかを痛感したのです。この「へし折られた」経験こそが、私を次のステージへ引き上げてくれました。

若者が生意気な俯瞰を語ってきた時、それは絶好の育成のチャンスです。彼らの浅いロジックの穴を突き、より高い視点からの現実を教えてあげる。この「アハ体験(なるほど!という気づき)」を意図的に作り出してあげること。それこそが、上司にしかできない、最高の教育なのです。

まずは「なぜそう考えたの?」と、面白がって聞いてみる勇気を

「俯瞰する若者」との向き合い方、そのヒントは掴めたでしょうか? 大切なのは、彼らを「冷めたやつらだ」と切り捨てるのではなく、そのユニークな視点を「面白がる」ことから始めることです。

次に、あなたの部下が何か俯瞰したような、あるいは少し生意気な意見を言ってきたら、条件反射で否定しないでください。 代わりに、にっこり笑って、こう問いかけてみませんか。

「へぇ、面白い視点だね。ちなみに、なぜそう考えたの?君の思考プロセスを聞かせてほしい」

この一言が、閉ざされかけていた対話の扉を開き、彼らの頭脳を、あなたの会社の未来を担う強力なエンジンへと変える、魔法の鍵になるかもしれません。

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「ルーキー」を「エース」に変える、本物の育成力とは

あなたの会社には、どんなタイプの若手が入社してきても、その才能を見抜き、適切な関わり方でポテンシャルを最大限に引き出し、売上に貢献する人材へと育てる「仕組み」がありますか?

熱意のある体育会系の若者も、冷静に物事を分析する俯瞰型の若者も、それぞれの個性を殺すことなく、組織の力として束ねていく。それこそが、これからの時代に求められる、本物の育成力であり、経営力です。

もし、

  • どんなタイプの若手でも戦力化できる、育成のフレームワークが欲しい…
  • 部下の主体性を引き出し、自ら考え、行動する営業チームを作りたい…
  • 若手の斬新な視点を、新たな受注や契約に繋げる仕組みを構築したい…

と本気でお考えの経営者の方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度ご相談ください。 私たちは、単なる根性論や精神論ではなく、人間心理に基づいた論理的なコミュニケーションと、個々の才能を伸ばす育成の仕組み作りをサポートします。

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あなたの会社の「俯瞰する若者」が、未来の売上を担うエースへと変貌を遂げる。そのお手伝いができることを、心から楽しみにしています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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トレテク代表 久保埜 実(くぼの みのる)
セールスパーソン戦力化コンサルタント
【著者プロフィール】

医療系企業の営業職として従事しながら、“セールスパーソン戦力化コンサルタント”として、東京都八王子市と日野市を中心に事業を展開。
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