「検討しますのでお待ちください」と言われたとき、売れる営業が渡している2つのもの

「検討しますのでお待ちください」——この一言で商談が静かに死んでいく光景を、私はこれまで数えきれないほど見てきました。

提案資料を渡して「ご検討ください」で終わる営業は、はっきり言って一生損をします。本記事では、お客様の社内検討を実際に前へ進めるための「2つの渡し物」を、そのまま真似できる型として解説します。センスも才能も不要。準備さえすれば誰でも再現可能です。

目次

「提案資料を渡すだけ」で温度感が下がる構造

多くの営業担当者は、提案資料をお渡しして「社内でご検討ください。何かあればご連絡ください」と伝えるだけで終わっています。一見、礼儀正しく丁寧に見える対応です。しかし、これこそが売れない営業の典型パターンです。

なぜなら、検討はそれほどスムーズには進まないからです。お客様の社内では関係者を集め、会議を設定し、その趣旨を説明し……と多くのハードルが立ちはだかります。そして時間が経つほど、商談の温度感は容赦なく下がっていきます。

商談終盤で温度感を維持するための「10カ条」については別の機会に譲りますが、それとは別に、私が以前から実践していながら外部に出してこなかった極めて効果的な2つのアクションがあります。今回はそれを公開します。

渡し物①|社内コミュニケーション用の「貼り付けテキスト」

一つ目は、お客様が社内で使えるコピー&ペースト用のテキストです。

「社内で検討します」という段階に進んでも、実際に検討の俎上(そじょう)に乗せるまでには多くのハードルがあります。中でも最大の難所が、検討プロセスに関わっていない人々への状況説明と、議論に加わってもらうための趣旨説明です。

何が論点なのか、どんな議論をすべきなのかを整理して言葉にする作業は、想像以上に労力がかかります。これを丸ごとお客様に委ねて「ご検討ください」とだけ伝えるのは、思考停止の証拠です。お客様はこの社内調整の段階でつまずき、面倒に感じ、案件を放置してしまいます。

貼り付けテキストに盛り込むべき要素

このテキストには、以下の要素を簡潔に盛り込みます。

  • 現在どのような論点・テーマについて社内で検討しようとしているのか
  • 営業からどのような提案を受けたのか
  • どの点について社内で議論する必要があるのか

特に重要なのは、意見が分かれそうなポイントや議論すべき論点を明示することです。

例えば「この提案に投資対効果があるか」という問いでは、まだ曖昧すぎます。投資対効果の判断は極めて高度な意思決定であり、突然会議に呼ばれた人がいきなり結論を出せるものではありません。論点が曖昧だと、社内で生産性の低い議論が延々と続いてしまいます。

そこで、たとえば次のレベルまで論点を具体化します。

  • 「現在の〇〇業務について、削減できそうな時間はざっくり何時間程度か」
  • 「この業務を効率化する手段として、AとBのどちらが適切か」

このように具体的なレベルまで論点を落とし込み、お客様がそのまま貼り付けて使える形で提供します。これだけで、お客様の社内調整コストが劇的に下がります。

渡し物②|すぐ試せる「クイックヒット」のアイディア

二つ目は、クイックヒット(即効性のある小さな成果)が期待できる、試す価値のある具体的なアイディアです。

業務効率化の提案を例に考えてみましょう。実は、業務が非効率であっても、マネージャー自身がメンバーの業務の非効率性を認識していないケースは非常に多いものです。

そこで、マネージャーがメンバーに「この3つの業務にかかっている時間を、ざっくりでいいので教えてほしい」と質問するだけで、「その業務にそれほど時間を使っていたのか」という気づきが生まれます。この一手間に、無駄削減の具体的なアイディアが添えられていれば、お客様にとってもらった瞬間に試したくなる価値になります。

クイックヒットのアイディアが満たすべき4要件

ただし、このアイディアは闇雲に出せばよいわけではありません。以下の4要件を満たす必要があります。

  1. 営業が出す提案内容に関連していること
  2. 実施すれば効果が出そうだと感じてもらえること
  3. 部分的に試せる小さなアイディアであること
  4. 本格的に実施するなら外部発注した方が良いという繋がりが見えること

この4つ目が肝心です。小さく試して効果を実感してもらいつつ、「本格的にやるならプロに任せた方がいい」という流れを自然に作る。これが、ずるく受注へ繋げる型です。

当然ながら、このようなアイディアを商談の場で即座に思いつくのは至難の業です。だからこそ事前準備が必須になります。気合や根性ではなく、仕組みで勝つということです。

2つの渡し物を「準備の型」に落とし込む

改めて、「検討します」「お待ちください」とおっしゃるお客様に渡しておくべき2つのものを整理します。

  • ① 社内説明・周知用のコピペテキスト:関係者を検討に巻き込むための、論点まで具体化した貼り付け用テキスト
  • ② クイックヒットの具体的アイディア:すぐ試せて、本格導入への繋がりが見える小さな施策

繰り返しますが、これらは商談中にその場で考えることは不可能です。プレゼンに入る前に準備しておくことを強くお勧めします。そして、すでにプレゼンが終わってしまった商談についても、今から作成してお客様に送ることは十分に有効です。止まりかけた案件こそ、この2つで動き出す可能性があります。

営業の成果は、センスや才能ではなく型と仕組みと事前準備で決まります。「検討します」で諦めるのではなく、お客様が前に進むための材料を先回りして渡す。これが、最小の努力で最大の結果を出す賢いやり方です。

営業を「仕組み」で強くしたい方へ

私は、中小企業・SME向けに「営業×AI実装ディレクター」として、誰でも再現できる営業の型づくりを支援しています。今回ご紹介した「2つの渡し物」のような具体的施策を、御社の商材・商談プロセスに合わせて設計することも可能です。

「提案後に案件が止まる」「個人の力量に依存していて再現性がない」といった課題をお持ちでしたら、ぜひ一度ご相談ください。気合や根性ではなく、仕組みと型で勝つ営業組織を一緒につくりましょう。

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トレテク代表 久保埜 実(くぼの みのる)
セールスパーソン戦力化コンサルタント
【著者プロフィール】

医療系企業の営業職として従事しながら、“セールスパーソン戦力化コンサルタント”として、東京都八王子市と日野市を中心に事業を展開。
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特に、商談やプレゼンテーションという交渉の改善に重点を置く。

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