【ソーシャルスタイル】顧客の4タイプを見極め、契約を勝ち取る技術

「提案は完璧だったはずなのに、なぜか響かない…」そんな経験はありませんか?

この記事では、顧客の心を科学的に読み解く「4つのタイプ別攻略法」をマスターし、苦手な相手を得意客に変え、確実に契約を勝ち取るための具体的な技術をお伝えします。

目次

「良い提案」なのに断られる…営業現場の悲劇

「この商品は、御社の課題を確実に解決できます!」 あなたは自信満々に提案書を差し出しました。ROI(費用対効果)の計算も完璧、事例も豊富。論理的に考えれば、断る理由なんてないはずです。

しかし、目の前の社長の反応は鈍い。 「うーん、まあ、わかるんだけどね……」 あるいは、無表情でただ資料をめくるだけ。 「……で、結論は?」と冷たく言い放たれる。

「私の何がいけなかったんだろう?」 「もっと熱意を伝えるべきだったのか? それとも、もっとデータを出すべきだったのか?」

帰りの電車で一人反省会をしても、答えは見つかりません。 実はこれ、あなたの能力不足ではありません。「あなたとお客様の『コミュニケーションの波長』がズレていただけ」なのです。

例えば、あなたが熱意を持って「夢」や「ビジョン」を語るのが好きなタイプだとしましょう。しかし、相手が「証拠」や「リスク」を気にするタイプだったらどうでしょう? あなたの熱意は「根拠のない絵空事」として、逆に不信感を与えてしまうのです。

営業とは、単に商品を売ることではありません。「相手が心地よいと感じるコミュニケーションスタイルを選択し、合わせること」。これができて初めて、スタートラインに立てるのです。

人を4つに分類する「ソーシャルスタイル理論」とは?

「ソーシャルスタイル」という言葉を聞いたことはありますか?

これは1968年にアメリカの心理学者が提唱した理論で、人のコミュニケーションの特性を「感情を表に出すか(主張度)」と「感情を内に秘めるか(反応度)」の2軸で、4つのタイプに分類するものです。

血液型占いのように「生まれつき決まっているもの」ではありません。 「役職」「環境」「相手」によって変化するのが大きな特徴です。 例えば、昔は大人しかった人が、経営者になった途端に決断が早くなる(スタイルが変わる)ことはよくあります。

営業活動において重要なのは、「目の前のお客様がどのタイプかを見極め、カメレオンのように自分のスタイルを合わせる」こと。 それでは、営業現場で出会う4つのタイプと、その攻略法を具体的に見ていきましょう。

① ドライバー(行動派):結論ファーストの「将軍」タイプ

【特徴】

  • 「時は金なり」が信条。 無駄話が大嫌い。
  • 感情を表に出さず、ポーカーフェイス。
  • ドアを開けるスピードが速い、名刺交換もサッと終わらせる。
  • 決断が早く、負けず嫌い。経営者に多いタイプです。

【よくある失敗】
場を温めようと、「いいお天気ですね」「昨日の野球見ました?」なんてアイスブレイクを長々としてしまうこと。 ドライバーのお客様は、内心「早く本題に入れよ」「俺の時間を奪うな」と舌打ちしています。

【攻略の鉄則】

  • 単刀直入に。 PREP法(結論→理由→具体例→結論)で話す。
  • 「AとB、どちらがいいですか?」と選択肢を与えて即決させる。
  • 時間は厳守。終了予定時刻より早く終わらせると喜ばれます。

営業マンの心得: ドライバー相手に雑談は不要。ビジネスライクに徹し、「この人は仕事が早い」と思わせれば勝ちです。

② エクスプレッシブ(感覚派):ノリと直感の「エンターテイナー」タイプ

【特徴】

  • おしゃべり大好き、感情表現が豊か。
  • 「エモい」「ヤバい」「すごい」といった感覚的な言葉を好む。
  • 新しいもの好きで、ビジョンや夢に共感しやすい。
  • 営業職の人に一番多いと言われています。

【よくある失敗】

細かいデータや特許の技術的な話、ROIの数値を淡々と説明すること。
彼らにとってそれは「退屈な時間」。

話を聞いているフリをして、頭の中では「今日のランチ何にしようかな」と考えています。話は盛り上がったのに、「で、結局何が決まったんだっけ?」となりがちです。

【攻略の鉄則】

  • まずは共感。 相手の話に大きく頷き、盛り上げる。
  • 要約してあげる。 話が脱線しやすいので、「つまり、〇〇ということですね」と軌道修正する。
  • データよりも「ストーリー」で感情を動かす。「これを導入すれば、御社は業界でこんな風に輝けます!」と未来を見せる。

営業マンの心得: 自分がエクスプレッシブの場合、相手も同じタイプだと話が散らかって終わります。あなたが「聞き役」と「まとめ役」に回ることで、商談が前に進みます。

③ エイミアブル(協調派):ニコニコ話を聞く「良い人」タイプ

【特徴】

  • 「和」を大切にし、争いを嫌う。
  • ニコニコしていて話を聞いてくれる「めちゃくちゃいい人」。
  • 決断が苦手。 「みんなはどう思うかな?」と周囲を気にする。
  • 日本企業の現場担当者や事務職の方に非常に多いタイプです。

【よくある失敗】

「御社の課題は何ですか?」「今すぐ決めてください!」と詰め寄ること。

彼らは対立を嫌うので、表面的には「はい、そうですね」と言いますが、心の中では「怖い」「プレッシャーだ」と引いてしまいます。

また、彼らは決裁権を持っていないことが多いので、軽視されがちですが、実は「社内の重要情報(キーマンは誰か、本音は何か)」を握っている最重要人物であることが多いのです。

【攻略の鉄則】

  • 詰めない、急かさない。 横に座って一緒に悩むスタンスで。
  • 「みんなも使っていますよ」という安心感(社会的証明)を与える。
  • 大人数の会議で彼らを追い込まない。会議後に「さっきの件、大丈夫でしたか?」と個別にフォローを入れる。

営業マンの心得: エイミアブルを味方につけることは、エンタープライズ(大企業)攻略の鍵です。彼らから「部長が今、何を気にしているか」を聞き出せれば、受注確度は劇的に上がります。

④ アナリティカル(分析派):石橋を叩いて渡る「参謀」タイプ

【特徴】

  • データと論理が全て。 感情に流されない。
  • 口数は少なく、ポーカーフェイス。
  • 「なぜ?」「根拠は?」と細かい質問が多い。
  • 経理、法務、エンジニア、CFO(最高財務責任者)などに多いタイプです。

【よくある失敗】

「熱意で押し切る」「なんとかなりますよ!」というノリで接すること。

彼らにとって、根拠のない大丈夫は「リスク」でしかありません。「この営業は適当なことを言っている」と判断された瞬間、心のシャッターが降ります。また、彼らが黙って考えている時間を「沈黙が怖い」と喋り続けて邪魔をしてしまうのもNGです。

【攻略の鉄則】

  • データ・証拠(エビデンス)を用意する。「なんとなく」は通用しない。
  • 沈黙を待つ。 彼らが黙っているのは、脳内で情報を処理している(発酵させている)重要な時間です。邪魔をしてはいけません。
  • 石橋を叩いて渡らない彼らに、「いつまでに、どこを叩けば渡れるのか」具体的な期限と条件を提示してリードする。

営業マンの心得: アナリティカルのお客様は、あなたの敵ではありません。彼らが納得する材料さえ提供すれば、社内で最も強力な「論理的な味方」になってくれます。

経営者が明日からできる3つの解決策

ここまで読んで、「自分のお客様はどのタイプだろう?」と想像されたかと思います。 では、具体的に明日からどう動けばいいのか。すぐに実践できる3つのアクションプランをまとめました。

1. 初対面の「10秒」でタイプを見極める

  • 結論: 商談開始直後の「動作」を観察してください。
  • 理由: 言葉よりも、無意識の行動にスタイルが現れるからです。
  • 一歩目:「ドアを開けるスピード」と「名刺交換の速さ」をチェック。
    • サッと入ってきてパッと名刺を出すなら「ドライバー」。
    • ニコニコしながらゆっくり入ってくるなら「エイミアブル」。
    • これだけで、最初のアプローチ(結論から話すか、雑談を入れるか)が決まります。

2. 自分と真逆のタイプを知り、演じ分ける

  • 結論: 自分の「苦手なタイプ」を自覚し、カメレオンになりきってください。
  • 理由: 多くの営業マンは「エクスプレッシブ(おしゃべり)」ですが、決裁者(CFOなど)は「アナリティカル(分析家)」であることが多く、相性が最悪だからです。
  • 一歩目:「今日はアナリティカルを演じる日」と決めて商談に臨む。
    • 自分の地が出るのを抑え、あえてトーンを落とし、数字で語る練習をしましょう。

3. 社内のチーム編成を見直す

  • 結論: 違うタイプの営業マン同士でタッグを組ませてください。
  • 理由: 一人で全タイプに対応するのは限界があります。お互いの弱点を補完し合うのが最強の組織です。
  • 一歩目:社内で簡単な「ソーシャルスタイル診断」をやってみる。
    • 「君はドライバーだから、クロージングを任せる」「君はエイミアブルだから、現場のヒアリングをお願い」といった役割分担が可能になります。

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トレテク代表 久保埜 実(くぼの みのる)
セールスパーソン戦力化コンサルタント
【著者プロフィール】

医療系企業の営業職として従事しながら、“セールスパーソン戦力化コンサルタント”として、東京都八王子市と日野市を中心に事業を展開。
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