会社員に向いてない人の特徴とは 「規律性・協調性」の個人差と退却する勇気

「朝起きて出社するのが無理」「会議や管理が苦痛で仕方ない」――これを“甘え”の一言で片付けていませんか。

実は、会社員としての能力は「業務スキル」とは別物であり、努力では埋まらない個人差があります。本記事では、人材業界、不動産業界、製薬業界で20年働いた私が、会社員に必要な3つの能力と、潰れる前に動くための判断軸を解説します。今の働き方に違和感を抱えている方にこそ読んでほしい内容です。

目次

会社員に必要な3つの能力

様々な業種・立場の人と接してきた経験から、会社員に求められる能力は大きく3つに整理できると私は考えています。重要なのは、これらが「実務そのもの」とは別軸で評価されるという点です。

  1. ルール(規律性):決められた時間に出社する、会議に出席する、転勤などの指示に従う、コンプライアンスや社内慣習を守る力。「この会議は意味がないので欠席します」は基本的に許されません。
  2. 協調性:社内の人間関係を保ち、顧客の要望と上司の指示の板挟みに対応し、評価のなかで自分の立ち位置を築く力。コミュニケーション能力や折り合いをつける力が含まれます。
  3. 業務遂行力:営業なら数字をつくる力、料理人なら料理の腕、クリエイターなら制作力。職種ごとの本質的な仕事を遂行する力です。

このうち業務遂行力は、個人事業主にも経営者にも共通して求められるものです。つまり「規律性」と「協調性」の2つこそが、会社員という働き方を特徴づける能力だと言えます。

規律性・協調性はグラデーション

ここで多くの人が見落としているのが、規律性と協調性には0点から100点まで大きな個人差がある、という事実です。点数が極端に低い人(0〜10点程度)でも、独立して成功している人は実際に数多く存在します。

つまり、ルールを守ることや職場で円滑に立ち回ることは、もともと得意な人と苦手な人がいるということです。これを「気持ちの問題」だと思い込むと、判断を大きく誤ります。

「努力すればできる」という危険な誤解

規律性・協調性を高く持っている人ほど、それを「持っていて当たり前」と感じ、持っていない人に「甘えている」「覚悟が足りない」とラベルを貼りがちです。しかし、これは生まれつきの資質の差として捉えるべきだと私は考えています。

世の中にはこんな言説があります。

  • 「どれだけ頭が悪くても努力すれば一定レベルの大学に入れる」
  • 「才能がなくても努力すれば一定の球速までは出せる」
  • 「誰でも努力すればある程度のフォロワー数までは増やせる」

これらは、発言者本人が元々その能力を持っていたから言えることであり、万人に当てはまるわけではありません。規律性や協調性も同じで、努力だけでは埋められない個人差が確実に存在します。「やる気さえあれば誰でもできる」という考えには、十分注意すべきです。

規律性と協調性 点数別の傾向と、最も危険なゾーン

点数が極端に低い人(0〜10点)

このタイプは、会社員として続かないことが本人にも周囲にも明確です。しかし本人が自覚しているため迷いがなく、「得意な業務で生きていくしかない」と早い段階で覚悟が決まるのが特徴です。選択肢が限られているからこそ業務に集中せざるを得ず、結果として独立や創造的な仕事で活躍する人が一定数います。

中途半端にできない人(目安40点前後)

私が最も危険だと考えるのがこのゾーンです。規律性や協調性が「全くできない」わけではないため、表面上は“できている側”に見えます。しかし、その実態は大きなストレスや疲弊を抱えながら無理に踏ん張っている状態であり、心理的にはもっとも厳しいポジションです。

一方、規律性・協調性ともに高得点でストレスなく立ち回れる人は、会社員としての適性が高く、組織に残るのが合理的な選択です。

中途半端に苦しむ人への判断軸

無理をしながら踏ん張っている人は、まず「苦しさの度合い」を見極めることが重要です。目安として、次のように切り分けて考えてみてください。

  • ある程度納得して踏ん張れている(50点台程度):無理に環境を変える必要はない
  • 強いストレスや限界を感じている(25点程度):その環境にとどまり続けるのは望ましくない

ここで知っておくべき本質があります。規律性や協調性の点数を多少改善できても、苦しさの根本は解消されにくいということです。点数アップに努力を注ぐより、「そもそもこの環境が自分に合っているか」を問い直すほうが、はるかに賢明な判断になり得ます。

私が経験した「頑張りすぎによる限界」

これは私自身の話です。最初に勤めた会社、そして2社目では、まさにこの「中途半端にできない人」の状態でした。営業という業務はあまり得意な部類ではなく、仕事に追われて周囲が見えなくなり、実績が伴わないまま終わることが多々ありました。

そうした状況を見た先輩や上司からは、「この仕事に向いていない」「辞めた方がいい」「成長する気があるのか」といった言葉を投げかけられたこともあります。

ただし、環境だけが一方的に悪かったわけではありません。私自身に「頼まれごとを断れない」「無茶な依頼も引き受けてしまう」性格がありました。

次々と仕事を抱え込むうちに業務が溜まりすぎ、効率が落ち、いわゆるパンク状態に陥ったのです。こうなると、「いつか見返してやる」という計画を立てることすら、心身が疲弊して難しくなります。

「退却する勇気」とリセットの重要性

このような状態にあるなら、私はいったんその環境を離れるべきだと考えています。

厳しい言葉を投げてきた相手には「住む世界が違う」と境界を引き、一切関わらない。あるいは「絶対に負けない」という気持ちを内に秘めつつ、今のフィールドでは戦わず、別の場所で勝つことを目指して一旦退却する――そういう選択があってよいのです。

もちろん、次の転職先を決めずに辞めるのは、通常より一段階レベルの高い勇気が求められ、非常に怖いことです。しかし、一度リセットしなければ脳と体のリソースを使い果たし、心身が限界を迎えてしまいます。

うつ病など、完全には元に戻れない領域に進む前に、自分自身でリセットすることが何より重要です。これは逃げではなく、長期戦のための合理的な撤退です。

規律性・協調性を手放すと見えてくるもの

会社員としての能力を一度割り切って手放すと、向き合う対象は「業務」と「自分自身」の2つだけになります。簡単な道ではなく、成果が保証されるわけでもありません。しかし、雑音のない状態になることで、それまで見えなかったものや、出会えなかったものに気づける可能性が生まれます。

独立や新しい挑戦をする人に「どこへ行っても通用しない」「逃げているだけ」と言う人もいます。しかしこれは、自分に合ったフィールドを選び直す行為でもあります。会社員適性がなくても、独立して成功している人、あるいは自分なりにやっていけている人は確かに存在するのです。

まとめ:苦しさの度合いを見極め、賢く動く

会社員としての能力は、規律性・協調性・業務遂行力の3つで構成されます。規律性と協調性には大きな個人差があり、点数が低い人は、無理に会社員という枠に縛られるより、業務そのものに集中できる環境を選ぶことが新たな可能性につながります。

そして、中途半端に踏ん張って苦しんでいる人ほど、その苦しさの度合いを見極めることが大切です。向き不向きや、断れない性格によって業務が積み重なり潰れそうなときは、根性で耐えるのではなく、「退却する勇気」を持って一旦リセットする。それが長期的には最も賢い選択になり得ます。

私は、こうした「向き不向き」と「仕組み・型」を踏まえたうえで、セールスパーソンの戦力化と組織づくりを支援しています。営業人材の適性に悩む経営者・管理職の方、あるいはご自身の働き方を見直したい方は、ぜひお気軽にご相談ください。あなたに合った戦い方を、一緒に設計していきましょう。

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トレテク代表 久保埜 実(くぼの みのる)
セールスパーソン戦力化コンサルタント
【著者プロフィール】

医療系企業の営業職として従事しながら、“セールスパーソン戦力化コンサルタント”として、東京都八王子市と日野市を中心に事業を展開。
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